韓国で大きな話題になっている「黄色封筒法」とは・・労働組合のさらなる強化を目指す

韓国で、ノラン(黄色い)封筒法というものが大きな話題になっています。今日は、これがどういうものなのか、お伝えしたいと思います。ご存知、基本的には左側の政党、いまの野党「共に民主党」や、さらに左側とされる「正義党」は、労働組合と親密な関係にあります。今回の黄色い封筒法も、労働組合にスーパー有利な内容です。もっとも分かりやすいのは、使用者(会社)側は、労働組合のストなどにより発生した損失について、労働組合側に請求できなくなります。ケース・バイ・ケースではありますが、著しく制限されることになる、とのこと。

また、たとえば、BやCなど多くの企業が、Aという大企業から下請けを受けているとします。この黄色い封筒法が成立すれば、BやCの労働組合が、Aを相手に労働争議を起こすことができます。韓国の場合は、大企業、というか財閥の支配力が他国より特に強いので、BやCに値する企業が数えられないほど多いとされています。韓国経営者総協会側は、「A社に100社の下請け会社があるとすると、A社は自社の労働組合だけでなく、それら100社の労働組合とも団体交渉しなければならなくなる」としています。

 

他にも、いままでは労働組合のストの原因として認められなかった『解雇された職員の復職』などがすべて合法とされる、先の喩えだと『C社の労働組合が、A社を相手にストを起こすことができる』などなどの内容が、話題(?)です。経営者協会の人の喩え話通りなら、一気に100件のストが発生するかもしれない、ということになります。一言で、尹大統領が労働組合の動きに対して「法律に基づき、強く対応する」としているので、野党としては、「じゃ、法律を労働組合に有利に変えればいいじゃない」というスタンスを取っているわけです。

余談ですが、リストラ問題などで長く続いた双竜自動車関連ストで、ある市民が、でも中の人に黄色い封筒に入れたお金を渡したことがあり、美談になっているそうです。そこから来たネーミングだとか。関連省庁からは『スト万能主義になってしまう』という言葉が出ていますが、その通りかもしれません。ここからは朝鮮日報から<<~>>で引用してみます。あ、この法案の成立時期(予想)ですが、記事には何かの委員会を通過したといろいろ書いてありますが、国会本会議での通過は、「早ければ2月中の臨時国会で」との予想が主流です。

 

<<・・議論となっている黄色い封筒法(労組法2・3条改正案)と関連して、イジョンシキ雇用労働部長官が、国会に法案を通過させないよう要請した。イ長官は20日、ソウル政府庁舎で緊急ブリーフィングを開き、「法・制度全般と現場に大きな混乱をもたらす労組法改正案について、国会で再考していただくことを、再び、慎重に悩んでくれることを願う」という立場を明らかにした。 国会だと表現したが、共に民主党や正義党など野党が法案の通過に積極的であり、与党である国民の力は反対する状況なので、事実上、野党に対するメッセージである。

イ長官は「今回の改正案は憲法・民法との衝突、労使関係及び法・制度全般に対する十分な考慮なしに推進された」、「法的安定性と予測可能性がなく、法治主義の根幹を揺るがす立法」とした。「法が改正されると団体交渉の長期化、交渉体系の大混乱、司法紛争の増加など労使関係が不安定になり、現場の混乱だけを招くだろう」とし「スト万能主義が懸念される」とした。

 

合法の範囲が広がることについても批判した。現行労組法は、賃金交渉など未来の労働条件に対してのみストライキなどが許可されている。黄色い封筒法は、会社が団体協約の履行の可否、リストラなど現在の労働条件に対しても、ストライキを許可している。今はこのような部分について労使の意見が分かれた場合、労働委員会や裁判所の判断を受ける必要があるが、これからはストできるようにするということだ。 李長官は「賃金滞納、解雇者復職などの権利紛争に対して、裁判所や労働委員会の法律的判断ではなく、労組がストライキなどの力で解決できるようになるだろう」と述べた(朝鮮日報)・・>>

長官は他にもいろいろ話し、「結局は、企業側がダメージを受けることになり、それは投資や雇用を減らすことになるだろう」と話しています。確かにそれはそうですが、野党としては、だからこそ、かもしれません。最初からそれを目標にしての法案でしょうから。さて、尹政権になってから活躍(?)が目立たなくなった労働組合が、さらにパワーアップするのか。それとも、尹大統領が拒否権を行使するのか。したらしたで、そのまま終わるのでしょうか。ユンたんの大冒険は続きます。 今日も、更新はこれだけになります。申し訳ございません。明日から通常更新致します。次の更新は、明日(22日)の11時頃になります。

 

 

おかげさまで、また新刊の紹介ができるようになりました。今回は、マンションを買わないと『貴族』になれないと信じられている、不思議な社会の話です。詳しくは、新刊・準新刊紹介エントリーを御覧ください。経済専門書ではありませんが、ブログに思いのままに書けなかったその不思議な「心理」も含めて、自分なりに率直に書き上げました。以下の「お知らせ」から、ぜひ御覧ください。ありがとうございます

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年3月1日)からですが、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。・新刊として、文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察した<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>、帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。