韓国、「やはり基準金利の引き上げが必要だ」とする意見が増える・・為替レート、外貨流出の動きなどで

2月24日、韓国銀行(中央銀行)は基準金利を3.5%に現状維持としました。約1年半の間、7回も連続で金利を引き上げてきましたが、さすがに経済をこのままにするわけにはいかないと判断したのか、ついに金利を現状維持したわけです。本ブログでも取り上げましたが、中央銀行総裁は「今年末、物価上昇が3%台まで下がるなら、金利を引き上げる必要は無いだろう」としながらも、「金利引き上げの基調が終わったとは考えないでほしい」「運転中に、霧が濃すぎで、いったん車を停めただけ」とも発言しました。

それから各メディアの記事を読んでみると、中央銀行内部でも0.25%pの引き上げ主張がかなりあった、とのことでして。総裁の発言からしても、「あ、金利引き上げが終わったヒャッハー」とする動きを、強く牽制する必要があったのでしょう。ですが、それから1週間も経たないうちに、聯合ニュースなど一部のメディアが、「や、やはり基準金利の引き上げが必要かもしれない」という見解を載せるようになりました。ちなみに、1週間前までは、ほぼすべてのメディアが「金利引き上げのスピード調整が必要だ」としていました。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・約1年半ぶりに基準金利の引き上げを止めた後、ウォン/ドルの為替レートが通貨安に動き、株式市場では外国資金が流出している。まだ短期的な現象ではあるが、すでに市場では米国との金利差などを考慮すると、あまりにも早く基準金利を現状維持としたことで、国内外の経済主体に「緊縮はもう終わった」というメッセージを与えたのではないか、という指摘が出ている・・・・為替レートは、基準金利の現状維持を発表した当日1,297.1ウォンで、7.8ウォン通貨安になった。それから24日(7.7ウォン通貨安)、27日(18.2ウォン通貨安)と、取引日基準で2日連続で急な動きを示し、去年12月7日(1,321.7ウォン) 以後約3ヶ月ぶりに初めて1,320ウォンラインを越えた。

2月28日には0.4ウォン通貨高となったが、それでも1320ウォン台だった(1322.6ウォン)。23日の終値と比較すると、わずか3取引日間で2%近く(1.97%、25.5ウォン)動いたわけだ・・・・金利現状維持後の証券市場でも、外国投資家の売りが続いている。3月1日、株式取引所によると、外国投資家たちは金通委金利決定直後の先月24日(マイナス3千3億ウォン)、27日(マイナス3千248億ウォン)、28日(マイナス2千888億ウォン)と、3取引日連続で売りだった。3日間の累積純売りも規模だけ約1兆ウォンになる。特に、金通委があった先週20日~24日の場合、外国投資家たちは取引所で7,702億ウォン分を売り・・

 

・・(※債券でも、2月は売りが2,405億ウォン多かったという話の後に)最近、こうした外国為替市場や株式・債券市場の資金の流れには、基準金利の現状維持決定が影響を及ぼしたものと見られる。米国の場合、物価指標が再び動き出し、基準金利の引き上げをはじめとする連邦準備制度(Fed)の通貨緊縮がより長く、強くなるという見通しが増えた。最近のドル高の主な背景だ。

しかし、逆に韓銀は基準金利を現状維持したため、現在1.25%ポイント(米国4.50~4.75%)で既に22年ぶりに最も大きくなった米国との金利差は、Fedが3月と5月、最低2回の0.25%ポイント引き上げだけ行っても、1.75%ポイントまで拡大する。より高い収益率を求めて、外国の資金が流出、通過価値が下がる可能性も大きくなったという意味で、最近の為替レートと資金動向に市場のこうした観測が反映されたというのが専門家たちの分析だ。この問題は、韓銀やイ・チャンヨン総裁も現状維持の決定を下しながら懸念していた部分だ(聯合ニュース)・・>>

 

急にどうした、手首の関節は(掌を返し過ぎで)大丈夫か、そんなところですが・・一応、とても分かりやすい理由ではあります。為替レートが急に動くようになり、外貨流出の動きも見られる、と。去年4月15日、金融ICT融合学会長オジョングン氏がペンアンドマイクというメディアへの寄稿文で(以下、全て当時の時点での話です)「金利を引き上げなければならない重要な変数が、外国投資資金の離脱だ。2月中旬までだけでも、ドル当たり1190ウォン台を維持してきた為替レートが、1230ウォン台まで通貨安になり、為替レートによる差損を懸念した外国投資家の離脱が続いている。株式市場では3月中に4兆5千億ウォンが純流出され、4月中にも14日までに3兆3千億ウォン純流出されている」としながら、金利引き上げが必要だと主張したこともあります。

ちなみに、当時ほとんどのメディアが「円安が~」という記事を出していたことで、オ会長は「日本銀行は、米国連邦の金利引き上げにもかかわらず、金利を上げていない。これは、日本は資本流出を懸念していないという意味だ。日本円はグローバル決済比重で3%、大きな水準ではないが、ハードカレンシーであるうえ、日本銀行は米国連邦と常時無制限の通貨スワップを締結しており、資本流出に対する懸念がない。ただ、景気と物価だけで金利政策を運用することができる。この点が、私たちと違う」と指摘したりしました。

聯合ニュースも記事で指摘していますが、今の時点で起きている為替レートや外貨流出の動きだけで「急いで基準金利の引き上げが必要だ」と言い出すのは、時期尚早だと思います。ただ、こういう記事が出てくること自体、この分野が『弱点』だという意味でもありましょう。

 

 

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