サムスン電子の半導体部門、赤字に・・SKハイニックスまで合わせると1月~3月期で6兆ウォン規模か

なぜか「米国の補助金を取るか、中国の工場を取るか」という話になっている(それは一つの『点』にすぎず、全体図はもっと広いものだと思いますが)、サムスン電子とSKハイニックスの中国工場、及び米国の半導体法関連補助金。いままでは、いわゆるガードレール条項で、中国の工場をどうするのかという話ばかりでしたが、どうやら「補助金を受けた企業は、超過利益分を米国政府と共有する」ことになって、これがまた話題になっています。

SBSなど複数のメディアの報道によると、1億5,000万ドル以上の補助金を受けた企業が、予想より(事前に報告したものより)多くの利益を出した場合、その一部を米国政府と分かち合う、というのです。ただ、共有する分は直接支援の75%を超えないようにする、と。先も書きましたが、この件を「どちら『側』」なのかではなく、「補助金か、工場か」で考えていただけに、これで魅力が大きく減った・・というのが、主な雰囲気です。しかも、そんな中、サムスン電子の半導体部門が赤字になった、というニュースが流れました。

 

すでにSKハイニックスの半導体部門はマイナスになっていますが、今年1~3月期にはサムスン電子もマイナスになり、両社合わせるとその赤字規模は6兆ウォンに達するのではないか、と。JTBCは、韓国が輸出、特に半導体輸出にたよる部分が大きいだけに、これは国内経済そのものに大きな影響を及ぼすだろう、としています。半導体は景気サイクルによる好況・不況がありますから、いずれ表面的には回復に向かうかもしれません。

しかし、単に工場と補助金という側面だけ考えていては、長期的にはどうなるのでしょうか。ちょうとこの前、有名大学の半導体関連学科に人が来なくなった、というエントリーを書いたことがあります。その際、「かなり優秀とされる人たちだし、彼らなりの情報網に、すでに半導体関連では無理があるという話が広がっているのではないか」と私見を書きましたが・・無関係だとは思えません。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・私たちの主力産業である半導体輸出が、先月40%以上減少しました。また、世界1位と2位のメモリ半導体メーカーサムスン電子とSKハイニックスが、今年の1~3月期に半導体部門で6兆ウォンに達する赤字を出すだろうとの分析も出ています。半導体が私たちの経済に与える影響は大きいので、そのまま経済に負担となる可能性があります。

サムスン電子は、半導体部門でマイナスになる可能性が、ほぼ確実になってきました。2008年の金融危機から15年ぶりです。さらに、その金額は2兆ウォンと予想されます。また、今年の1月から3月までのみの分であり、いままで赤字1兆ウォン台を予想してきた証券会社らが、さらに暗い見通しを出しています。【キムヨングォン、ミレエセット証券研究員「半導体の在庫が予想よりも大幅に減少し、需要は減って、半導体会社の実績見通しはさらに下向すると思われます」】・・

 

・・SKハイニックスも同じです。昨年の10~12月期に10年ぶりの赤字でしたが、今年3月までさらに3兆ウォンの赤字を記録すると予想されています。サムスン電子とSKハイニックスを合わせると、約6兆ウォン台の赤字になるわけです。これは、コンピューターや携帯電話などの製品が、世界的な不況によって売れなくなったからです。DRAMはサムスン電子とSKハイニックスの主力製品ですが、価格は引き続き下落しています(JTBC)・・>>

引用部分にはありませんが、記事は、これが経済そのものに大きな影響を及ぼすだろうとしています。半導体輸出は、韓国の総輸出において約20%を占めています。『関連企業』まで視野を広げると、投資や雇用を減らす以外は手がないだろうし、それはそのまま経済全般に影響するしかない、というのです。サムスン電子やSKハイニックスのような企業ならまだ大丈夫かもしれませんが、中小企業、さらに下請けまで考えると、その雇用の減少だけでもかなりの影響になり、消費の減少など、半導体とは関係ない領域まで及ぶだろう、と。1社にたよる部分が大きかった分、波及力もまた大きいわけです。

 

 

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