韓国で広がる、米国半導体法(補助金、ガードレール条項など)への反発・・一部メディアは「同盟をドレ◯にしようとしている」と報道

本ブログもそうですが、最近、韓国の各メディアで半導体法に関する記事が増えています。いままでは、それでも『グローバル規模で動いているサプライチェーン再編成に参加しよう』という主張もありました。日米台の半導体協力、たとえばラビスタとIBMのこと、TSMCの熊本工場などを取り上げて危機感を持つべきだとしたり、いわゆるチップ4などで参加を促す内容の主張もありました。

しかし、最近はサムスン電子とSKハイニックスの中国工場に関する記事が増え、さらに米国半導体法のガードレール条項が少しずつ明らかになるにつれ、米国のサプライチェーン再編成そのものへの『反発』記事が増えてきました。記事の内容も、米国半導体法を「同盟に足枷(ヘラルド経済)」、「ドレ◯ 契約(デイリアン)」と書くなど、かなり強い書き方になっています。いつも読みづらくて申し訳ございませんが、◯は『イ』です。おジャ魔女ではありません・・というのはともかくして、以下、短く引用してみます。<<~>>が引用部部となります。

 

<<・・半導体を掌握するための米国の動きが非常に荒く、激しい。莫大な補助金を口実に、素材から装備まで半導体の生態系をすべて米国が吸収するという目標を明らかにしてきた。先月28日(現地時間)、米商務省は自国内の半導体生産を奨励するため合計527億ドル相当の補助金政策を発表した。 半導体生産に390億ドル、研究開発(R&D)に132億ドルだ。ただし、条件となる条項が多すぎる。補助金を1億5000万ドル以上受けとる企業は、超過利益を達成すれば米政府と一定部分を共有するようにした。 それとともに支援補助金の最大75%までを還収できると付け加えた。主要半導体生産製品と生産量、主要顧客とともに、生産装置と原料名も記載するようにした。企業にとっては営業機密にあたる。米国に投資中か、投資を計画中のサムスンとSKとしては、かなりの悩みとなる。 米商務省は、軍用半導体の開発と供給に協力する企業を優待するとも明らかにし、事実上「半導体のトレ◯ 契約」という本音を明らかにした(デイリアン)・・>>

 

<<・・米国政府が半導体企業に520億ドルを支援し、一定水準以上の利益を米国政府に返却し、半導体核心プロセスへのアクセス許可を要求するなど、一方的な足枷を条件に掲げた。これに国内半導体企業は戸惑いとともに、いかりを隠せずにいる。米国現地でも今回の米政府の条件を置いて批判的世論が強く起きている。米国内の建設・投資費用の増加が避けられず、国内企業と米国政府の「半導体同盟」の信頼が揺れる可能性があるという指摘が相次いでいる。これに対して国内だけでなく米国でも批判的世論があふれている(ヘラルド経済)・・>>

中でも興味深いのは、バイデン大統領がこの半導体法、補助金やガードレール条項について話しながら、「韓国企業」に言及した点です。こちらはJTBCです。企業名は明らかになっていませんが、多分サムスン電子だと思われます。記事は「バイデン大統領は、就任するときには、トランプ元大統領が台無しにした同盟を『復元する』と言いました。しかし、半導体支援法を見ると、同盟国の半導体企業をむしろ握りしめようとしています。それでも世界最大国米国が主導することであり、企業側はこうすることもああすることもできないでいます」としながら、こう報じました。

 

<<・・米民主党下院議員年賛会会席から出た話ですが、直接聞いてみましょう。【ジョー・バイデン アメリカ大統領「韓国企業の人に、なぜ米国に投資するのかと尋ねたところ、世界最高の労働者がいて、最も安全な投資先であるためだ、と答えました。私は、あなたが半導体法プログラムに参加したいなら、従業員の保育も提供する必要があることを、明らかに言いました」】。超過収益の共有、保育施設の設置など半導体生産とは無関係な条件を掲げたことを再び強調したのです。

もともと党内で立法成果を話す席ではありましたが、まるで、先に投資したいという私たち企業の要請に、米国が仕方なく条件をかけて応えてくれた、そのように聞こえなくもない部分です。まるで、「じゃ、補助金はいらないのか?」と言っているような雰囲気です。昨年議論になった、電気自動車の時(※インフレ抑止法)と似たような立場に見えます。またもや、米国が自国利益だけを優先して、同盟の立場は気にしない状況が再演されるのが懸念されます(JTBC)・・>>

 

さぁ・・どうでしょうか。バイデン大統領がわざわざそう話したのは、理由があるのではないでしょうか。補助金でもガードレール条項(サムスン電子とSKハイニックスの中国工場関連)でも、各メディアは『中国がいいたがっていること』をかわりに書いている、そんな気もします。インフレ抑止法のときもそうでしたが。

 

 

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