「前の談話を継承」の意味はどういうものなのか・・「継承しない」と言ったことは一度も無いが

「ついに、最終案が発表される」と、多くの記事が出ています。中には、パッケージ解決、いわばグランドセールについて日本側も考えているとか、そんな記事まで出ています。ただ、韓国側の複数の大手メディアが「共通して」出している内容は、そう多くありません。以下、それら共通している話を三つにまとめて、私見を書いてみたいと思います。まず1つ目ですが、「来週に『最終案』が、政府から発表される」ということ。中央日報の場合は「早ければ6日(明日)」としていますが、KBSなどは「早ければ来週」としています。

前にも討論会で最終案が発表されるという話がありましたが、実際は大まかな案が発表されただけなので(直前に外交部から『最終案を発表する場ではない』と話しました)、今回は本当に最終案なのかどうか、それまでは分かりません。ただ、『両方が合意し、一緒に発表する』形ではなく、片方が発表する形を取っただけでも、尹政権としては『形』があまりよくない、とも言えるでしょう。『合意』というのは、何かのギブアンドテイクがあったという意味になります。だから、いままでは、つい2~3ヶ月前までも、「首脳会談で合意案を発表する」のがあたりまえのようになっていました。いままで「誠意のある呼応を」と話してきたのも、そのためでしょう。しかし、結果的に、本当に片方だけの発表になるなら、ここは尹政権としては微妙です。

 

2つ目は、該当日本企業の参加を前提にしない(参加するならいいけど、前提としない)という点です。韓国企業など「民間」部門の出捐でなんとかする、と。国内でもっとも問題として指摘されているのが、この部分です。特にKBSの場合は、「大きな反発が予想される」としています。以下、いつも読みづらくて申し訳ございませんが、以下「◯」は「イ」です。日本からすると条約としての側面がもっとも重要とされる本件ですが、韓国としては、やはりシャザ◯とバ◯ショウです。ここでいうバ◯ショウの部分となります。日本側としては、最高裁判決が残るわけだから問題ですが、韓国側としては、「なんでそれを私たちが払うのか」ということで、問題になっています。

つい数日前、東亜日報に「いままで尹政権が日本側に提示した案には、該当日本企業の参加が最低限の前提になっていた」という記事が載りました。ほぼ同じタイミングで、朝鮮日報には「日本側は、その案には乗らないと言いきった」という記事も載っていました。2つの記事を合わせて考えてみると、両方にとって問題にしかならない案でも、尹政権としては、もうこれ以外は出来ることがなかった、といったところでしょうか。

 

3つ目は、シャザ◯関連です。ここは、共通して「尹政権が最終案を発表すると、岸田総理が、新しい談話ではなく、前の政権の談話を『継承する』と話す」となっています。読売新聞にも似たような内容の記事があり、佐藤正久議員がこの記事を引用ツイートし、「以前の談話は、総理が読み上げることはしない、継承だけ」「韓国側は、いかに日本側がやった感を出したかの演出に苦労するだろう」という趣旨を話したことがあります。その通りなら、読み上げたりするのではなく、単に継承していると話すだけ、のようです。

本当にそれだけなら、日本側としては何も変わりません。これは、「『既存の談話』の内容についての評価とは別」ですので、間違っても私がその談話のシャザ◯関連内容に賛成しているとは思わないでください。いままで各政権が「前政権の談話は継承しない」としたことなど、一度もありません。安倍政権以降、一部の談話の内容に問題があったと指摘されるようになってからも、さすがに継承しないという話が出たことはありません。そして、その談話を出した時点でも、各政権は「案件そのものは、すでに解決済みである」というスタンスでした。だから、日本側としてはこれといって変わることはないのでは、と思われます。

 

これ以外なら、『最終案を発表すると、次は首脳会談になる(G7招待などで)』というところです。いろいろ記事が出ていて、詳しく両国の間にどんな話し合いがあったのかは分かりません。ただ、「いまのままで、何か困ることでもあるのか」としか思っていない私としては、本エントリーに書いた三つの点も含めて、これといって賛成出来る部分はありません。なぜなら、なにをどうやっても、それは解決ではありません。すでに解決済みの件を掘り返すだけであり、どうせまた同じ流れが繰り返されるでしょうか。どんな展開になるか、来週以降になればわかるでしょうけど、記者からの質問に答える形でもいいので、岸田総理には「すでに解決済みの件である」と、ハッキリ言ってほしいところであります。

すべては、見てみないとわからないでしょう。とにかく来週あたりから、どんな動きがあるのか、注目したいと思います。 最後に告知ですが、今日(日曜)は、これで更新終了です。次の更新は、明日(月曜)の朝11時頃になります。ご理解の程をお願い申し上げます。また、3月1日発売の新刊の抜粋が「プレジデントオンライン」に掲載されました。ぜひお読みください。

 

 

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