一つ前のエントリーで、韓国経済にとって貿易関連の数値は、数値(金額)そのものより、経済そのものにおいての割合、言い換えれば心理的な影響そのものが大きいという趣旨を書きました。そして、それは、「韓国経済とサムスン電子」にも同じことが言えます。そのサムスン電子、特に半導体部門において、予想よりも実績がおもわしくないという予想が相次いでいます。すでに半導体部門が赤字になっているSKハイニックスに続き、サムスンの半導体部門もまた赤字になり、1~3月の営業利益は予想値の2分の1~3分の1になるのではないか、などなどです。
2月28日、サムスン電子の在庫が50兆ウォンを突破したというニュースを伝えましたが、昨日からは、「サムスン電子とSKハイニックスの『半導体』在庫が、46兆ウォンまで膨れ上がった」というニュースが流れています。サムスン電子に限って言えば、去年より75%も増加した数値になる、とも。半導体、特にサムスン電子が経済全般に及ぼす影響が大きいだけに、この件もまた多くのメディアから記事が出ています。マネートゥデイと 国民日報の記事から、それぞれ、実績に関する内容と、在庫などに関する内容を引用してみます。後者は、『閉まる中国、山積み在庫・・道に迷った半導体』という、哀愁漂う(?)題です。<<~>>が引用部分です。
<<・・サムスン電子とSKハイニックスの今年の半導体部門で大規模な赤字が予想され、「アーニングショック」(市場見通しを下回る実績)の懸念が大きくなっている。この日、ユジン投資証券は、サムスン電子の1~3月期の営業利益は8000億ウォンで、前年同期比94%急減すると予想した。市場の見通しである2兆2370億ウォンを大幅に下回る、まさにアーニングショックの予想だ。イ・スンウ、ユジン投資証券研究員は、「1~3月期、サムスン電子の半導体部門の営業損失は3兆7000億ウォンに達するだろう」とし「昨年末基準、半導体在庫は29兆ウォンを超えるなど、当分の間、実績に負担となる見通し」と説明した・・
・・SKハイニックスに対する証券関係者たちの評価も、きびしくなりつつある。現在、SKハイニックスの1~3月期の営業利益見通しは、平均でマイナス2兆7988億ウォンで、1カ月前のマイナス2兆6569億ウォンより、赤字予想幅が大きくなった。 キウム証券は、SKハイニックスが第1~3月期に3兆2000億ウォンの赤字を記録すると予想した・・・・半導体が振るわなくなるほど、個人投資家たちの元金回収も難しくなる。サムスン電子とSKハイニックスは、国内証券市場で、個人投資家たちがもっとも多く買った代表種目だ(マネートゥデイ)・・>>
<<・・「K半導体」が、前例のないリスクに直面した。景気低迷が深くなり、倉庫には売れていない半導体が山積みだ。米中対立、サプライチェーン再編などの余波で、「中国生産基地」の未来は不透明だ。半導体の不振は経済の根幹を揺るがす。半導体輸出額は昨年1292億ドルで、全体輸出額において約18%だった。13日、業界によると、サムスン電子、SKハイニックスの半導体在庫は46兆ウォンまで上昇した。サムスン電子事業報告書を見ると、昨年末基準でDS部門(※半導体総括部門)の在庫は29兆576億ウォンに達する。2021年末の16兆4551億ウォンより、76.6%も増えた数値だ。SKハイニックスも、昨年末の在庫が15兆6647億ウォンに達し、2021年の8兆9500億ウォンに比べ、75%増えた。メモリ半導体の需要が急減しており、製品や原材料が倉庫に山積みだ。市場では、反騰の兆しさえない(国民日報)・・>>
マンションではありませんが、これまた、ヨンクル問題の一つでもあります。2021年、サムスン電子の株価は9万6千ウォンまで上がり、「いずれ10万電子になる(株価が10万ウォンまで行く)」といわれていました。当時、シンマンジョンジャ(10万電子)というのがちょっとした流行語みたいになっていました。そこで、『これからも上がり続ける』という考えのもと、多くの個人投資家たちが出来る限りの資金をかきあつめて注ぎ込みました。その株価、いまは5万9千ウォン台です。オマンジョンジャ(5万電子)ともいいます。
ちゃんと利益確定して売った人もいるでしょうけど、マンションのヨンクルみたいに、お金を借りて後から入ってきた人も多いと聞きます。2020~2021年あたりなら、金利も低かったでしょうし。引用部分にはありませんが、先のマネートゥデイの記事によると、サムスン電子の個人投資家は、国内581万人。平均収益率は、マイナス16.94%です。それでも、マイナス19.87%のSKハイニックス(95万人)よりは良い方ですが。
おかげさまで、新刊発売です!今回は、マンションを買わないと『貴族』になれないと信じられている、不思議な社会の話です。詳しくは、新刊・準新刊紹介エントリーを御覧ください。経済専門書ではありませんが、ブログに思いのままに書けなかったその不思議な「心理」も含めて、自分なりに率直に書き上げました。以下の「お知らせ」から、ぜひ御覧ください。ありがとうございます!
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年3月1日)からですが、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。・準新刊として、文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察した<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>、帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・新刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・本当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。