韓国、2月だけで60代以上の就業者が41万人増加、15~29歳の就業者は12万5千人減少

国が働き口を作って直接与える政策、それ自体に問題があるわけではありません。韓国では直接雇用、財政雇用ともいいますが、必要な分は、ちゃんとやればいいでしょう。でも、主に文在寅政権から、この財政雇用が大幅に『ズレる』ことになりました。とにかく適当な(思わしくない意味で)仕事を量産して、人を集めて、彼らを全員就業者としてカウントするこの政策は、普通に働いている人たちからは強い批判を受けたものの、文政権でずっと続きました。本ブログでも何度か、『ネタ』にした記憶があります。

『失業率は低いのに、雇用率も低い(普通、失業率が低いと雇用率は高い)不思議』、『OECDワースト1の老人貧困問題』など、対外的なデータを気にしているから、という指摘もありました。いまもそうですがG8とか主張しているわけだから、政府は、こういうデータの『表面的な』是正にはかなり気を使っています。また、左側の政治家たちが持っている、『政府は、人の人生そのものに責任がある』という考えも反映されています。生まれてから亡くなるまで、とにかく何もかも政府が面倒を見るべきだ、という考えです。

 

これは、社会に政治が必要な根本的な理由、『全員が望むものは、全員分は存在しない』という現実から目をそらした考え方です。これに気づいた人たちは、小さな政府を目指します。しかし、気付いてない人たちは、大きな政府を目指します。韓国の左側政治家たちが、ちょうどそんなところです。働き口もその『全員が望むモノ』の一つで、先も書きましたが、政府が直接なにかをやるという考えそれ自体が間違っているというわけではありません。ただ、それはあくまで限られた範囲内で、守るべきラインを守りながら行うべきでありましょう。文政権の政策は、明らかにヤリスギでした。

そんなとき、「民間にまかせるべきだ!(きりっ」としながら現れたのが、尹大統領(当時は大統領候補でしたが)です。ですが、尹政権になってからもこの直接雇用・財政雇用はむしろ増えました。今年になってから、1月と2月で、政府は86万4千個の直接雇用を行いました。政府以外まで含めると104万個を超えています。2020年に文政権がはじめてこの件を大いに発表し、『新規直接雇用50万個を作る』としていたから・・なんか、大幅に増えています。で、直接雇用104万を行ったその1月と2月で、就業者は72万人増えました。政府は『かなり善戦した』としています。しかも、ニューシースによると、2月に増えた就業者数は31万4千人。60代以上は41万人も増えましたが、15~29歳の場合は12万5千人も減った、とのことでして。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・先月、就業者数が1年前より31万2000人増えたが、60代以上の高齢層雇用を除けば、10万人以上減ったことが分かった。政府は今年、民間主導で雇用を拡充すると強調していたが、財政を注いだ直接雇用に頼ってなんとか耐え抜いており・・・・前政権の雇用対策をそのまま踏襲したのではないかという批判が提起されている。16日、統計庁の「2023年2月雇用動向」によると、先月の就業者数は2771万4000人で、前年比31万2000人増えた。ただし、このような就業者の増加の大部分が60歳以上。就業者は60歳以上で41万3000人増えたが、60歳未満の全就業者数は10万1000人も減少した。

50代と30代の就業者はそれぞれ7万7000人、2万4000人増えたが、20代と40代がそれぞれ9万4000人、7万7000人ずつ減った。15~29歳以下の青年層就業者は12万5000人も減少し、4カ月連続で下落傾向を見せている・・・・産業別でも、比較的良質の雇用といえる製造業就業者が1年前より2万7000人減り、2カ月連続で減少した。1月、13ヶ月ぶりに増加傾向に転じた金融及び保険業就業者も、再び減少した(マイナス6000人、マイナス0.7%)・・・・ウ・ソクジン、ミョンジ大経済学教授は、「ユン政権は、前政権の財政雇用を批判し、民間雇用創出を公言していたが、結局、再び財政雇用に頼る姿になった」と話した(ニューシース)・・>>

 

その尹大統領、それでは日本に行ってきますとしながら(一時、私もこのフレーズよく言っていましたが)今日、訪日しました。会談は夕方だそうで、どうも間に合いそうになかったので、就業者エントリーとなりました。正午のニュースでは、北朝鮮のミサイル関連で話すとか、安保関連がメインでしたが・・さて、何かサプライズは・・よくもわるくも・・あるのでしょうか。ちなみに、日本の某地上波ニュースで「会談のあと、それぞれ記者会見します」としていて、ちょっと笑ってしまいました。それって「共同声明は見送り」の意味でしょう。

最後に、また「~オンライン」な話です。最近、おかげさまで各メディアに拙著の掲載が続いていますが、今回は文春オンライン(その1その2)に掲載されました。ありがとうございます。住居関連の部分がです。ダイヤモンドオンラインに載ったばかりですので、よろしければ、合わせてぜひお読みください。ありがとうございます。

 

 

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