シンクタンクがまとめた韓国の実労働時間、年間で1915時間(2021年)。日本1607時間、イギリス1497時間、など

一つ前のエントリーでも紹介しましたが、現在の52時間(※上限)勤務制度を、「69時間まで」に改正する動きが話題になっています。ユン大統領の支持率、20代の場合は17%まで下がったというデータも出ていますが、その主な原因は、主に日本関連と69時間関連だと言われています。今月初頭にこの話が出てきて、政府側は「相応の休暇が手に入る」「(日本の超過勤務のように)労働組合と会社側の合意が必要だ」と話していましたが、反発が強くなって、最近は「(休暇など)相応の措置を確実にするため、再検討に入る」となりました。

個人的に、本当に合意や休暇などが法案に含まれているなら、案をそのまま公開すればいいのに、と思いました。そもそも、国会での法改正が必要なので、いまの与党・野党の関係を考えると、法改正はほぼ無理でしょう。共に民主党としては「私たちが法案の通過を防いだ!」とアピールできる部分でもあります。また、例の解決案発表や首脳会談などで、支持率が揺れるのは十分予想できていたはずなのに、なんで重なるタイミングでこの69時間勤務制を取り出したのか、よく分かりません。

 

そんな中、「ほかはともかく、今も労働時間は十分長いのでは?」という指摘が出てくるようになりました。実際に働く時間を調べて、十分長いなら、わざわざその上限を引き延ばす必要があるのか、というのです。そこで、行政研究院というシンクタンクが、日本、韓国、ドイツ、フランスなどの労働時間をまとめました。ソース記事のソウル新聞はこのデータで、『OECDトップクラスで長い。改正する部分があるなら、それは労働時間の上限ではない』という結論を出しています。そういえば、前から労働時間が長いとかそんな指摘がありましたが・・どうなのでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・我が国の労働者は、ほとんどのOECD諸国よりも長時間働くという研究結果が出てきた。韓国の労働時間は、ドイツと比較すると年間500時間長く、OECD平均よりは199時間長い、まさに世界最高水準だ。韓国行政研究院の「韓国と主要先進国労働時間上限の現況比較」報告書によると、韓国全体就業者の年間実労働時間は2021年基準で1915時間で、経済協力開発機構(OECD)平均の1716時間より199時間長かった。ドイツと比較すると、年間566時間長く働いたことになる。ドイツの他に、OECD平均より労働時間が短い国は、デンマーク1363時間、フランス1490時間、英国1497時間、日本1607時間などが挙げられた。韓国よりも長時間勤務する国はメキシコで、2128時間と集計された・・

 

・・労働時間の上限を見れば、ドイツは関連法により、1日2時間延長労働が可能で、最大10時間まで働くことができるが、6ヶ月または24週の範囲で、1日平均8時間を超えてはならない。産業革命後の労働時間上限を最初に導入したイギリスは、1週当たり最長労働時間は48時間であり、日々の労働時間は8時間である。48時間を超える場合については法的基準を定めてない。労使間の合意による。フランスは、雇用創出、仕事と家庭の調和を目的に労働時間を短縮し、2002年1月法定労働時間は週35時間、年1600時間と明示した。1週当たり労働時間を35時間以下とする企業に対しては、財政的インセンティブも与えた。1日の最大労働時間は10時間、週あたりの最長労働時間は48時間であり、12週間平均44時間を超えてはならない。日本は本来、1日8時間、週40時間を基本にして、労使間の合意で制限のない超過勤務ができた。2018年には超過勤務上限を月45時間、年360時間と規定している(ソウル新聞)・・>>

 

ソース記事ではありませんが、いろいろ関連記事を読んでみると、『各国で勤労基準関連の法内容が異なるので単純比較はできないが、韓国の場合、週69時間までやるには、全面的な法律改正が無いと、維持できない』という意見も結構出ているようです。繰り返しになりますが、この件(及び日本関連)で、20代の支持率が急降下しています。ユン大統領の就任初期には、イデナム(20代男性という意味)の支持率が60%を超えており、むしろ伝統的な右側支持が多い60代よりも支持が厚いと言われていました。一部のメディアは、前の大統領選挙で勝てたのも、「もともと右側支持が多い60代以上に、20代の支持がプラスされた結果だ」という分析を載せるところもありました。繰り返しになりますが、なんでこのタイミングでこんな話を持ち出したのか、よく分かりません。分かりませんというか、知りませんけど。

 

 

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