次々と明らかになる、家計債務問題の詳細・・約204万世帯(460万人)が、総資産よりローン額が大きい

経済・景気関連で、スゴイ(複雑な意味で)すごい内容が続いています。まず、本題とはちょっと外れますが24日に紹介した家計債務データについて、少し書き加えたい内容があります。24日に紹介した内容は、ローンなど金融債務がある全借主のうち、総債務元利金償還率(DSR)が100%以上が全体の8.8%、全体融資規模の29.4%を占めている、というものでした。個人的に、かなりインパクトがある内容で、複数のメディアが関連内容を報じましたが・・なぜか、あまり話題にはなりませんでした。DSR100%以上というのは、ローンの元利金返済に所得の100%を使っているという意味です。

普通、40%以上でもリスクが高いとされ、60~70%だと『税金などを支払う分まで考えると、最低生活費すら残らない』とされています。あくまで個人的な推算ではありますが、8.8%なら、約122万世帯になります。稼ぐお金をすべて使ってもローンの返済ができない人が122万世帯あって、金額からして約540兆ウォン規模である、と。しかし、その直後の26日、ニューシースが、「ふっ、それぐらいで驚くのか」と(は言ってませんが)、DTA関連データを取り出しました。DTAはDebt To Asset ratioで、資産対比債務比率のことです。DTAが100%を超えると、持っている資産を全部売っても、債務が返せないという意味です。

 

家計債務を増やしすぎ、住宅価格は下がったわけですから・・記事によると、DTAが100%を超える、すなわち全部売っても債務が返済できない世帯が、「家計債務世帯の15.2%(今年2月基準)」です。全世帯数が約2200万世帯で、家計負債がある世帯は63~63%とされているので、家計調査で金融債務があうるとなると、約1364万世帯となります。その15%だと、約204万世帯。人数は記事には書いてませんが、韓国の平均世帯因数は2.3人(ドラマなどを見ると3世代が仲良く暮らすイメージがありますが、実際は1人世帯が総世帯の33%を超えています)。となると、推算とはいえ、軽く400万人を超えることになります。自分で書いていながら、もう何がなんだかよくわからなくなりました。単純比較できないことは知っていますが、経済参加人口が2800万人のはずですが・・さすがに400万人となると・・以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・住宅価格の下落などの余波で、財産をすべて売っても債務をすべて返済できない世帯が、全体金融債務保有世帯の、約7分の1だと明らかになった。当局は、過度だった資産価格の漸進的な調整を重視しながら、家計負債の削減と改善を誘導しなければならないと明らかにした。26日、韓銀によると、韓国の金融負債保有世帯のうち、資産対比負債比率(DTA)が100%を超える割合は今年2月基準で15.2%と推算された。韓銀は昨年3月、家計金融福祉調査資料をもとにこれまでの基準金利上昇、資産価格下落などを勘案してこのような結果を得た。

DTAが100%以下の世帯は、債務規模が資産より少ないため、住宅・証券など保有資産をすべて処分する場合、債務をすべて返済できる世帯を意味する。逆にDTA 100%超過世帯は、流動化可能な資産をすべて市場に出しても、返済できない世帯という意味だ。具体的には、DTAが70%を超える割合が、2月基準で28.3%を記録して、全体の4分の1を超えることが分かった(※推算で約380万世帯)。DTAが120%を超える世帯は全体の10.5%だった(※推算で約136万世帯)。我が国で金融負債を持つ世帯なら、4世帯のうち1世帯はDTAが70%を超え、7世帯のうち1世帯は所はDTA100%超えの状態であり、10世帯の1世帯はDTAが120%を上回った、という意味だ(ニューシース)・・>>

 

気になるのは、この「DTA100%超え」の債務規模が、どれぐらいなのかです。残念ながら、それは記事にはありませんでした。ただ、とんでもない規模だろうと、私の曇ったゴーストが囁いています。前のDSRもそうですが、いろいろケース・バイ・ケースではあるでしょうし、全員、全額が問題になるわけではないでしょう。でも、最近、量ではなく「中身」を分析する記事が増えたことで、率直に驚くしかありません。今ほどじゃないけど、前から多少の制限とかはあったはずですが、いったい、どこでどうやってここまで借りたのか、それも気になりますし。

当局が「ハイリスク世帯」とする、DTA100%以上の世帯だけを範囲にすると、2019年にはDTA130.7%、2020年134.8%、2021年に131.6%でしたが、それから金利上昇・住宅価格下落などがあり、いまは158.8%に急増しています。引用部分にはありませんが、記事はなぜか2015年(最新データは無いのでしょうか?)のデータを載せていますが、2015年時点ですでにDTA世界4位だったそうです。似たような基準で韓国よりDTAが高かったのは、ノルウェー、オーストラリア、デンマークだけだった、と。ただ、福祉に力を入れている国の場合、また異なる見方もできるのではないでしょうか。

 

 

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