新型コロナ禍の後、訪韓外国人観光客が、なかなか回復せずにいます。一時は外国人観光客の数が急増、また、訪韓する日本人観光客も多くて、これが大きなニュースになっていましたし、一部の見解では、政権の支持率にも影響していたと言われています。外国人観光客が多いのは、その分、自国を文化大国として思うようになる、というのです。実際はほとんどが買い物需要(文化関連よりは商店街などに人が多く、ソウル以外にはほとんど行かない)だったという話もありますが。まぁそこはともかくして。それから、「中国からの観光客が~」になって、「アジアからの観光客が~」という話になって・・それから、外国人観光客の数でも評価でも日本がワンスン (完勝)するようになり、あまり話題にならなくなりました。
今年1月、ユン大統領が自ら今年・来年を「韓国訪問の年」とし、外国人観光客3000万人(日本政府と同じです)を目標にしましたが・・新型コロナが収まったあとにも思ったより需要が回復せず、国内から海外に旅行する人は急激に増えました。複数のメディアが、関連記事を出しています。ソース記事のイーデイリーによると、日本の場合、今年になってから1月と2月、それぞれ約150万人の外国人観光客が訪日しており、新型コロナ前と比べると、1月55.7%、2月56.6%の成績となります。しかし、韓国の場合は、1月43万4429人、2月47万9248人で、回復率は30%台にとどまっています。以下、まず<<~>>で記事から引用し、それから、自分で書き加えたいと思います。
<<・・1兆9500億ウォン赤字、1兆7500億ウォンの黒字。今年1月、韓国と日本の観光収支の成績表だ。このままだと、我が国は当初期待していた新型コロナ終了効果どころか、新型コロナ前よりさらに深刻な観光収支不均衡事態を迎えることになる、という展望もまで出ている。日本は逆の雰囲気を見せている。 日本政府観光局(JNTO)によると、昨年8月から今年1月まで、1年前より14倍急増した1779億円の黒字を記録した。去年10に海外入国者に対する防疫緩和以後、8ヶ月連続観光収支黒字行進を続けているのだ。この期間の累積黒字規模だけで、50億900万円に達する・・・・今年に入ってだけで、月平均訪日外国人観光客は150万人に及ぶ。回復率が30%水準にとどまっている私たちとは対照的な雰囲気だ・・
・・文化体育観光部と観光公社が、昨年の「主要訪韓国」21カ国、約3万人を対象に調査した結果、「今後3年以内に海外旅行するなら、行きたい国」の1位は日本(17.7%)であり、韓国は2位(9.0%)だった。日本は、価格が高くても行くという、「ファンの心」が強く反映されている。日本は観光パラダイムを「量」より「質」に転換すると宣言するほど、自信がついた状態だ(イーデイリー)・・>>
韓国で海外旅行が増えたのは・・いろいろ理由がありますが、短く2つだけ取り上げてみます。一つは、外国旅行が、「スペック」判断の一つの基準になっているからです。バリエーションにもよりますが、例の金スプーンとか土スプーンとかの話にも、「1年に何回海外旅行するのか」という項目があったりします。特に日本旅行の場合は、『行ってきたこと』それ自体が必要になります。行ったことない、とは言えない雰囲気になっているわけです。似たような風潮は他の国にもあるとは思いますが、これが不思議なほど強く、また、一般的です。人気映画を見なかっただけで「ありえない」と言われるのは、よくあることです。
なにかの映画やドラマなどを「まだ見ていない」という趣旨で返事するとき、「そうだな。あれ見ないといけないのに(봐야되는데)」と答えるの人が多いのも、そのためです。2ヶ月か3ヶ月ぐらい前、うろ覚えで申し訳ございませんが、日本の映画市場、観客数かなにかでアバター・ウェイオブウォーターが1位にならなかったことで、「日本が先進国なら、なぜ世界中で1位の映画が1位にならないのか」という不思議な記事を読んだことがあります。似たような心理かもしれません。しかし、そのときに1位だった「スラムダンク」が、いま韓国でもすごい人気を集めているから、妙な展開になったものですね。
そして、もう一つは、国内の旅行地が、特に若い世代にとって、ものすごく評価が低く、コストパフォーマンスもよくないことです。これは経験による話でもあります。外国人観光客のためのインフラを用意するのは、観光産業において大事なことだと思います。ただ、やはりそこは、内国人が楽しめるインフラがあってこそ、外国人にも喜んでもらえる『場所』になれるでしょう。最近、バスツアーにハマっています。観光地(など)A、B、Cをまわるコースだとすると、「AとC目当てで予約したけど、Bはちょっとどうかな」と思うときもありますが、実際に訪れてみると、Bにも訪れてよかった、こういう良さがあったのか、と思ったりします。この前、サービスエリアに寄っただけですが、諏訪湖についても、御神渡りとか諏訪姫とか、いろいろ関連した話に興味が湧いて、いい時間を過ごすことができました。ちなみに、萌えキャラもいました(笑)。このように、色んなところをまわってみて、日本の新しい魅力に感動する日々です。こういうものがあるから、わざわざ遠くから来る人たちもいる、といったところでしょう。
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