ユン政権、電気料金引き上げ発表をキャンセル・・保守メディア「支持率を気にしただけ。文政権そっくりだ」

さて、本当は昨日発表されるはずの電気料金引き上げ発表が、キャンセルとなりました。いろいろ理由は述べていますが、保守メディアの週刊朝鮮さえ、「支持率を気にしてのこと」「文政権そっくりだ」と指摘しています。いままでユン政権は、文政権が電気料金を適切に上げなかったことこそ、いまの『ハンジョンチェ(韓電債)問題の理由だと主張してきました。ハンジョンチェというのは、事実上韓国唯一の電力会社である韓国電力公社の社債のことです。本ブログでも何度か取り上げましたが、この債券は、他の企業の資金流動性に大きな問題を起こしています。

最近、債券発行で資金を確保するのが難しくなっています。しかし、ハンジョンチェには政府保証が付いています。これが売れれば売れるほど、他の企業としては、債券が売れなくなるわけです。格付けが低い会社なら、なおさらでしょう。ある程度ならともかく、電気を売れば売るほどマイナスになる構造を社債で補っているため、ハンジョンチェの規模は3月24日基準で累積74兆5798億ウォン。今年だけでも長期債7兆6千100億ウォンが発行されました。一部のメディアは、このハンジョンチェを「(資金を吸収する)ブラックホール」と表現しています。このままだと、年末には累積ハンジョンチェが100兆ウォンを突破するだろう、とも。

 

ユン大統領は、この件を「文政権がちゃんと値上げしなかったからだ」としながらも、『適切』なラインまで上げることができないでいました。1月1日からkWh当たり13.1ウォン(9.5%)引き上げたものの、これではどうにもなりません。電力公社の2022年の年間営業損失は約34兆ウォン。産業通商資源部など政府機関は、少なくともkWh当たり51.6ウォンの値上げが必要だとしていました。民間の場合、これよりずっと高い値上げが必要だという分析も出ています。1月、電力業界と専門家たちの間では、「これではどうにもならない。急いで電気料金追加引き上げを行わなければ」という反応が出ました。当時、電力公社の株価も大幅に下がりました。当時、2026年まで電気料金を『現実的に』するとし、ユン政権は、これから順次料金を上げていく、としていましたが・・3月31日に予定されていた今年2回目の値上げ発表が、突然キャンセルされました。ここからは<<~>>で引用してみます。

 

<<・・国民の力(※与党)と政府は3月31日、電気・ガス料金の引き上げを暫定保留することに決めた。つい29日にも電気・ガス料金の引き上げが避けられないと意見を集めていた与党と政府なのに、選挙が近づき、支持率が下がると、後退した形となった。前政権が、政治的理由で料金引き上げを保留し、電力公社とガス公社の営業損失が増えたと批判してきた与党・政府なだけに、今回の決定で気まずい立場となった・・・・この日、政府と国民の力は去る29日に続き、国会で党政協議会を再び開催し、4~6月期電気・ガス料金引き上げ案を再議論したが、合意点を見つけることができず、決定を暫定保留した。

党・政は、電気・ガス料金の引き上げが避けられないという点を再確認したが、引き上げの時期と幅については、世論と国際エネルギー価格の変動推移など引き上げ変数を総合的に判断するために、時間をもっとおくことにした・・・・今回の決定は、表面的には国際情勢とエネルギー価格などを理由に料金引き上げを延ばしたが、結局は、最近下落しているユン大統領と党の支持率が影響を及ぼしたという分析が出ている。この日、韓国ギャラップが発表したユン大統領の国政支持率は30%で、4カ月ぶりの最低値だった。 国民の力の支持率も33%で、共に民主党と並んだ。ここに、来年の総選挙が1年先に迫ったことで、政府も与党も支持率に影響を及ぼす電気・暖房費の引き上げは容易ではなかったと見られる。とはいえ、文在寅(ムン・ジェイン)政権が政治的理由で料金引き上げを延ばしてきたと批判してきた国民の力が、同じ理由で料金を上げずにいるだけに、議論は大きくなる見通しだ(週刊朝鮮)・・>>

 

引用部分のニュアンスからも分かりますが、一部の保守メディアは「出来る限り早く料金を適切なラインまで上げないとならない」とする論調です。1月の発表のとき、ガスのほうはこれといって話がありませんでしたが、電気料金は3ヶ月単位で(1~3月適用分を1月1日に発表、4~6月適用分を3月31日に発表、など)毎回引き上げる・・といったニュアンスでしたし、実際、そのスケジュールで与党と政府が話してきたと聞きますが。そろそろ案を決めて発表しておかないと、夏季の電気料金にも間に合わない可能性もありますが。

 

 

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