韓国、「スラムダンク」430万人、「すずめの戸締まり」320万人、「今夜世界からこの恋が消えても」100万人突破

韓国の映画市場で、日本映画が観客数で30%を超え、韓国映画やハリウッド映画を超えて1位になりました。スラムダンクが430万人、すずめの戸締まりが320万人、そして、まだ見ていないので詳しくはわかりませんが「今夜世界からこの恋が消えても」という映画が100万人を突破しました。実写映画が韓国で100万人を超えたのは、ホラー映画以外では初めてだそうです。「人気作は確かにあったけど、日本映画は日常や叙情性を描くものが多いので、100万は難しい」と言われていた、とも。

逆に、韓国映画はあまり成績が思わしくなく、「すでにファン層ができていたから」「2~4月は競争作が無いから」とかの話も出ているようですが、ファン層はむしろ新しく開拓されたと見るべきだ、という見解もあります。たとえばスラムダンクの場合、いままでは男性ファンが多かった作品ですが、上映開始から1ヶ月経ったあたりから、20~30代女性のほうが、むしろ予約率が高くなっているそうです。本エントリー、引用ではなく私見を書いているだけなので、私がまだ見ていない「今夜世界からこの恋が消えても」は含めていない、すずめダンクだけの話になります。

 

まず、ここまで人気があるというのは嬉しい話です。なんか、すずめの戸締まりは中国でも大ヒットしているそうで、もっとファンが増えるといいですね。「君の名は。」もそうでしたが、日本的な考え方・・というか「感じ方」が根幹にある作品なので、もっと多くの人に見てもらいたい、と思っています。ただ、ちょっと書きづらいことではありますが、私はこの日本映画ブームが、そう長くは続かないだろうと思っています。もちろん、アニメファンは世界中にあるち、韓国にも徳厚(トクフ、『オタク』から来たセルフ美化造語)さんたちは多いので、ある程度の人気は維持できるでしょう。でも、いまのようなブームの持続は、容易ではないでしょう。繰り返しになりますが『私見』ということを前提に致しますが、それは、『根幹』で求めるものが異なるからです。

すずめダンクの話になると、ほとんどのメディアが『癒やし』について書いています。癒やしを求める社会風潮によく合っている、というのです。先も書きましたが、つい数年前まで「日常と叙情では限界がある」としていたのに、なんで急に癒やしを求めているとかそんな話が出てくるのかはよくわかりません。ただ、本当にほぼすべてのメディアが、『治癒』をテーマにしてすずめダンクを説明しています。確かに、すずめダンクだけでなく、日本の作品にも韓国の作品にも、「癒やし」なら描かれています。しかし、その対象が異なります。以下、「癒やし」という言葉が本当にこれらの作品の人気の秘訣なのかは分かりませんが、各メディアの書き方に合わせて、私も「癒やし」と書くとします。

 

日本の場合、癒やしとは、自分で自分に行う、ある種のケジメとして描かれています。誰のせいでもない、自分が自分に何かをやらなければならない、そこに癒やしがあり、そこに解決があり、そこに『次』がある、と。個人的に「おおかみこどもの雨と雪」が好きですが、そこでは二人がそれぞれ異なる道を歩むことで『癒やし』に向かう姿が描かれていました。これは、日常や叙情がどうとかの以前の問題で、日本の主人公たちにとって、多くの場合は「ラスボスは自分自身」です。でも、韓国ではそうではありません。これもまた『全て』と言えるほど多くの作品を見たわけではありませんが、その根幹にある癒やしは、自分以外の人にやりかえすことです。

そこに解決があり、それが『正しい』ケジメであり、そこに『次』があります。そう、誰かが「あなたは何も悪くありませんよ」と言ってくれること。それが、韓国映画などで根幹をなす『癒やし』です。昔は、そういう環境に耐える、矛盾した状態を耐え抜く凛々しい姿を描いて、感情移入を通じてカタルシスを得る・・そんな描き方も多かったですが、最近は何かの形でやりかえすストーリーでないと、そこから『何かの解決』を得ることができない・・そんな癒やしが、圧倒的に主流になってきました。本当に作品の人気の理由が『癒やし』なら、このように両国は『異なる形』でそれを求めているため、ブームが長くは続かないだろう、よほど知名度がある作品以外は。そう思っているわけです。いや、これも繰り返しになって恐縮ですが、続いてくれるなら個人的にはとても嬉しいですけど。

 

 

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