韓国政府、為替レート防御のため2022年458億ドル(約60兆ウォン)の外貨資産を売却・・外貨保有高の『現金』は推定で267億5千万ドル

韓国の外国為替当局が、去年、為替レート防御などのために約458億6700万ドルの外貨資産を売りました。データがある中では、年間最大の金額だそうです。といっても、データを公開するようになったのが2019年からですが。合わせて考えたいのは、去年、基準金利を6回(今年1月まで7回)連続で上げたことです。家計債務が世界1位とも3位とも言われている中、金利引き上げはもう限度まで来ていると見てもいいでしょう。朝鮮日報や中央日報(ソース記事です)など大手マスコミも関連記事を載せていますが、データを見てみると、去年の7~9月期がもっともマイナスが大きかった、となっています。

金利引き上げとその副作用が大きく報じられるようになったのが、去年10月からですので、タイミング的に、各データが繋がっている気もします。中央日報は当局の言葉として「問題になるようなレベルではない」としていますが・・もちろん見方にもよるとは思いますが、先月12日、外貨保有高は安心できるレベルではなく、日本、米国との通貨スワップが必要だとするキム・デジョン世宗大経営学部教授の主張を紹介したことがあります。その際、記事には「外国為替保有額の中で、現金に当たる『預金』は267億5000万ドル」という内容もありました。また、今年になってから大幅に減っている、とも(2月時点)。以下、<<~>>で各紙から引用します。

 

<<・・昨年、米国連邦準備制度(Fed)の急激な金利引き上げでドルの価値が急騰する過程で、為替不安が現れ、外国為替当局が60兆ウォンの外貨資産を売却したことが分かった。30日、韓国銀行がホームページに公開した「2022年10~12月期の外国為替当局純取り引き」によると、外国為替当局が昨年10~12月市場の安定のために実施した外国為替純取引額はマイナス46億400万ドル(約6兆ウォン)となった。外国為替純取引額は、総買収額から総売上額を引いた額である。 ただ、昨年7~9月期のマイナス175億4300万ドルより、規模は小さくなった。年間基準だと、外国為替純取引額はマイナス459億6700万ドルで、年間平均為替レートの1292.2ウォンを適用すると、59兆2700億ウォンに達する。昨年末基準で外国為替保有額4231億6000の10分の1を超える水準だ。2019年の外国為替市場の安定措置を公開した後、最大値となる(中央日報)・・>>

 

さて、これまた、本ブログで不定期に取り上げる「通貨スワップ」関連とも繋がっていると言えるでしょう。、ニューデイリー(3月9日)が、セジョン大学経営学部キムデジョン教授の主張を引用して記事を載せています。前にも紹介したことがありますが、教授は1~2年前から通貨安に備えての米国・日本との通貨スワップを積極的に主張してきた人物です。現在、米韓の金利差は1.5%p。いままでで最大(タイスコア)です。教授は、「結果的には韓銀も金利を引き上げしかない」、「金利差が広がり、ドル高状態が続くと、より高い収益率を求めて外国からの投資資金が流出し、さらに通貨安が進む」としながらいろいろ話していますが、ニューデイリーの記事には『現金』について、こう書いてあります。

<<・・為替レート防御のため、外国為替保有高が減少する可能性も高くなる。3月6日に韓銀が発表した2月末時点の外国為替保有額は、4252億9000万ドルで、1月末より46億8000万ドルも減少した・・・・外国為替保有額の中で現金に当たる『預金』の場合は、267億5000万ドルで、1カ月で74億2000万ドルも減少した。外国為替当局が為替レート防御のために、ドルを市場に売るなど市場に介入したためだと思われる。Fedが金利上げ基調を維持する場合、外国為替保有額の減少は勢いを増す可能性があるわけだ・・

 

・・キムデジョン教授は、「国際決済銀行(BIS)が勧告した我が国の外国為替保有高は9300億ドルで、我々は現在45.7%にとどまる」とし「外国為替危機の時、為替レートが1600ウォン台頂点まで約2年の時差があった」、「 今、後為替レートが1500ウォン以上まで動く可能性がある」と話した。教授は引き続き「外国為替市場からの影響に備えなければならない」とし「米国、日本との関係が急速に回復しているだけに、2021年末に終了した600億ドル規模の韓米通貨スワップと共に、安全装置として700億ドル規模だった韓日通貨スワップも再締結しなければならない」と主張した(ニューデイリー)・・>>

ニューデイリーの記事は2023年の話なので、先の中央日報のデータ(2022年)には含まれていません。他にも、サムスン電子の営業利益が90%減るとか95%減るとか(まだ予想です)、半導体輸出が34.5%減少、貿易収支のマイナス分の全体の64%超えているとか、いままで書いてきた内容の続報になれそうなデータがいろいろ出ています。さて、ユン大統領の秘策(あるでしょう、多分)はどんなものでしょうか。

 

 

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