去年、韓国で発行された社債の45%が電力『公社』1社の政府保証付き社債・・「153.7ウォンで電力を買い入れ、120.5ウォンで売った。マイナス分を社債で補っている」

この前、電気料金引き上げ発表が急にキャンセルされたとお伝えしましたが、それに関して『電気料金を上げるべきか』について議論が広がっています。複数のメディアの記事によると、4日、関連シンクタンクによる電気・ガス料金関連関係者懇談会がありましたが、左側はとにかく電気・ガス料金を上げてはならないと主張するだけでした。右側の場合は上げるべきだとする意見があったものの、政府の引き上げ発表そのものが急に延期となったので、これといって具体的な話、たとえばどれぐらい上げればいいのか、そんな建設的な話は出てこなった、とのことです。

そんな中、本ブログでもよく取り上げる韓国電力公社の社債(ハンジョンチェ)について、『去年韓国で発行された社債の45%』という記事がありました。社債の45%が政府保証付きって、いくらなんでもこれはちょっと。他の企業の社債は売れない、または安くなる、などなど。今日は、それだけでなく、電力公社の大幅な損失により、他にも影響をまとめた中央日報の記事を紹介します。記事には、具体的に電気を売るたびにどれだけのマイナスが発生するのか、電気料金を、ちゃんとした専門家委員会ではなく政府と与党が決めるからどうしても支持率ばかり気にすることになる、などなど、他の記事には無い着眼点がありました。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・昨年、電力公社は㎾h当たり153.7ウォンに電力を買い入れ、購入単価の78.4%である120.5ウォンで売った、マージンはマイナスで、売ればるほどマイナスになる。結局、昨年33兆ウォンに迫る営業赤字を出した。電力公社の問題は、債券市場と外国為替市場にまで影響を及ぼす。電気料金を上げないと、未来がどうなるのかを予想するのは難しくない。まず、金融市場の不安だ。電力商売でお金が稼げなくなり、電力公社は昨年43兆ウォンを外部から調達した。そのほとんど(37兆ウォン)が韓電債(ハンジョンチェ)だった。昨年発行された国内債券物量の4.8%で、会社債発行量でみるとほぼ半分(45.6%)になる。 中小・中堅企業が融通しようとしていた市中の資金を、電力公社が吸い込んだわけだ・・

 

電気料金を上げなかったということは、『また多量のハンジョンチェが投下されますよ』と市場に教えたのと同じだ。3ヵ月、6ヵ月後を見ている債券投資家たちは、債券価格の下落を心配し、保有物量を売りにだすだろうし、それはまた市中金利の上昇につながる可能性がある・・・・外国為替市場の不安にも関連している。輸出は6ヶ月連続マイナス、貿易収支は13ヶ月連続でマイナスだ。経常収支まで赤字が続くと、外国為替市場が揺れる。通貨安になると輸入物価が上がって物価にも影響する。産業通商資源部によると、電気料金を51.6ウォン/㎾h引き上げれば、電力消費は15.2%減少し、エネルギー輸入減少で貿易赤字が124億ドル(昨年年間貿易赤字の26%)減少する・・

・・原発輸出にも影響する。昨年の電力公社の負債比率は459%で、財務状態がこれでは、受注競争力に影響する。この他にも取り上げることが多すぎる。電力公社の持分の33%を持つ産業銀行の損失につながる。政府が最近3ヵ月、新しく産業銀行に1兆ウォンを緊急投入した・・・・大統領が、党・政協議強化を指示してから、与党が政府の電気料金引き上げを止めるようになった。3ヶ月に1回電気料金を決定してきた慣行が守られず(※3月31日に発表予定でしたが、キャンセルされました)、政策が予測できなくなったのだ。電気料金は政治に左右される政党ではなく、ちゃんとした委員会が決定する必要性があると、改めて思わずにはいられない(中央日報)・・>>

 

前にこの件で取り上げた朝鮮日報(週刊朝鮮)の記事もそうでしたが、右側のメディアは、今回の電気料金引き上げドタキャンに『文政権と同じだ』という見解を載せています。記事原文から直訳しますと「収益者負担の原則(公共施設から便益を受ける者が、その設置に必要な費用を負担し、その程度は便益を受ける程度に比例するという原則)」にもとづいて処理すべきだったのに、左側の考え方ではそれが通じなかった・・でも、なんで右側政権になっても通じないのか、という認識です。さぁ・・それが通じるならそもそも何の問題も起きなかったでしょうけど。 今日の更新はここまでです。申し訳ございませんが、次の更新は明日の11時頃になります。

 

 

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