海外旅行が「スペック」になるという不思議な話

いつだったか、韓国では海外旅行が流行っていて、特に日本旅行が大人気だという話をしながら、そこには他の国とは異なる側面もある、と書いたことがあります。個別のエントリーではなく、映画関連の内容でちょっとだけ書いた記憶があります。もちろんケースバイケースで、本当に好きで海外旅行を選ぶ人もいるでしょう。国内旅行にがっかりした人が多いだけかもしれません。しかし、海外旅行に「行きたい」ではなく、「行かなければならない」という側面が強いのも、また事実です。特に日本旅行は完全にブランド化している、とも言えるでしょう。

ほら、あれです。ブランド品を所有しているという、「そういうこと」にしたくて、ブランド品の空のボックスを買ったりする人が増えてきた、と前にもお伝えしました。あれと似たようなパターンです。低予算でもとにかく日本に行ってきたということになればいい、という風潮すらもあります。少ない予算で旅行に行ってくるプランを立てて行動するのは、とても計画性のあることですが、ネットに書いてある話の中には、いったい何が楽しいのか分からないほどの低予算っぷりを披露する人も結構います。ちゃんとした目当てがあって、相応の予算で行ってくる人たちからすると、愉快ではない話でしょう。

 

海外旅行というのが、人の社会的価値を決める数々の要素、いわば「スペック」になっていると書けばいいでしょうか。金のスプーンとか土のスプーンとかの話が有名ですが、バリエーション(結構な種類が出ています)によっては、年収や資産だけでなく、「1年に海外旅行◯回」という項目もあったりします。子どもの世界においての、限られた側面する内容ではありますが、なんと、この話にソースとも言える記事がありました。朝鮮日報の記事で、小学校で「皆勤ゴジ」という言葉が流行っている、とのことでして。修正します・・のゴジではなく、とてもまずしい人、またはモノゴ◯を意味する言葉です。

皆勤賞もほとんどの学校で消えたとは聞きますが・・だからといって学校に「皆勤」するのはとても素晴らしいことですが、なんでそうなったのか。それは、海外旅行に行くには、平日に休むことになるからです。外国といっても一泊二日で余裕の国もありますが、さすがに子連れの家族旅行になるので、週末だけで行ってくることはそう無いのでしょうか。海外旅行の場合「体験学習」として出席認定されるというのも理由のようです。だから、皆勤する子は、海外旅行に行く力がない家柄だ、ということになるわけです。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・2019年頃から、小学生の子を持つ母親が活動するマムカフェで「皆勤ゴジ」という言葉が問題になっていた。学校を開勤する学生は、海外旅行に行けないまずしい子の扱いを受ける、というものだった。新型コロナの期間中は海外旅行が制限され、この言葉も消えたように見えたが、今年になって海外旅行が本格再開されると、再び登場した・・・・このような理由で自分の子供がまずしいとされることを心配する両親は簡単に見つけることができる。

最近、マムカフェなどインターネットコミュニティには、皆勤ゴジという言葉により、仕方なく海外旅行しなければならないのか、という話題が多い。40代のC氏は「子どもが小学校3年生の時、『海外旅行できず学校だけ通う子はクラスにぼくしかいない』と泣き出した」とし「その時、大きな衝撃を受けた。最近、子供たちは一生懸命学校に通うのははずかしいことだ」と話している、それからはちょっと無理をしてでも年に1、2回程度は海外旅行に行くことにしている」と話した・・

 

・・京畿道のある小学校で担任を務めている教師Dさんは、「確かに以前より海外旅行経験のある子が多く、体験学習を申請すれば出席認定になるため、両親も学期中に海外旅行に行くことを気にしないようだ」 と言った。今回の学期、彼のクラスでは3人はすでに海外に行ってきたし、5人が海外に出る計画があると話している。彼は「(海外に)行かない子もいる。同じクラスの子に『なんでおまえは海外旅行にいかないの?ゴジなの?』と聞く子を見たこともある」と話す(朝鮮日報)・・>>

記事によると、住んでいる家の広さなどで呼び方(階級)を決めることは1990年代からあった、とも、私が旧ブログの頃から紹介した似たような内容のエントリーでも、着ている服の値段とか、マンションに住んでいるのかどうか、などで『立ち位置』が決まるという話は結構あります。慶尚北道のどこかだったと記憶していますが・・入学したばかりの小学生たちを整列させながら、「マンションに住んでいる子」とそうでない子を別々に列を作った、という話も記事になったことがあります。記事は専門家の話として、「大人のまねをしているという側面が強い」としています。たしかに、それはその通りではないでしょうか。

 

 

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