ユン大統領、やっと「力による現状変更に反対」を語る・・中国の反発に「他の国も言っている原論的(基本的)なことを述べただけ」

それでは、「それ言えユンパンマン」の時間です。 両岸問題において、ユン大統領がやっと「力による現状変更に反対します」と話しました。日本ではよく耳にするフレーズですが、実はこれ、他国との共同声明で似たようなフレーズが出たことはありますが、韓国大統領が独自で言ったのは初めてです。また、ウクライナ事態に関しても、民間人が巻き込まれるなどの問題がこのまま続くなら、いつまでも人道支援だけにとどまるわけにはいかない、と話しました。韓国の場合は武器の輸出に国家レベルで力を入れており、関連した制限もないので、米国は結構前から武器の支援を要請していました。ただ、いまも間接的には行っています(最終的な使用者を米国と限定する条件付きで弾薬を米国に輸出し、米国はそれ以外の弾薬をウクライナに回す、など)。

中国からは「余計な口出しをするとは」と、ロシアからは「ウクライナ事態への明らかな介入だ」とか、「quid pro quo(代価)」がどうとか、という反応が出ました。大統領室は、中国には「外交でそんな言葉を使うとは」と大使を招致しましたが、同時に、「力による現状変更反対は、国際的によく使われる基本的な(原文では『原論的な』)表現であり、それを言っただけ」と、一歩下がりました。ロシアには「いま武器輸出するという話ではない。記事(大統領がこれらの発言をしたのは、ロイターとのインタビューです)をよく読んでみてほしい」と話しました。ちょっと後の対応が微妙ではありますし、明らかに訪米前のスコア稼ぎでしょうけれども、「やっと、言えた」ことについては、評価すべき部分はたしかにあります。特に、中国に両岸問題について力による現状変更に反対すると話したのは、実に「やっとできた(はなまる)」といったところです。

 

ただ、それとは別に、「相応の分、米韓首脳会談で成果をあげなければならなくなった」という指摘が出ています。たしかに原論的な発言ではあるけど(他の国はもう言ってる)、既存外交方針から外れる内容でもあるし、中国やロシアの反発は十分に予想できていたので、それ以上の成果をあげて帰ってくる必要がある、というのです。また、引用部分にはありませんが、「そんな重要なことを、外国メディアとのインタビューで初めて言うのはどうだろうか」という指摘もあります。複数のメディアに似たような意見が載っていますが、本エントリーのソースはヘラルド経済です。ただ、これは私見・・心の曇った私の意見ですが、「逆に考えて、米韓首脳会談終わったあとに『メディアに話した個人的な考えで、会談などで公式に言ったわけではない』と言うためではないのか」・・な気も、しないわけではありません。いや、我ながら曇りすぎです。繰り返しになりますが、いまのところ確かに評価すべき部分があるので、どうなるのか、とりあえず様子見モードです。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・しかし、原論的な立場だといっても、中国とロシアがここまで反発する理由については考える必要がある。該当発言が出た時点と方式の問題だ。ある外交情報筋は、「原論的な発言だというのは、それはそうだが、韓米首脳会談を控えた時点だというのが、我が国に負担を与えたことも事実だ」と述べた。これまで政府が固守してきた外交原則と異なると解釈される可能性のあるのに、外国メディアインタビューを通じて公開した方式についても、指摘も出ている・・・・中国、ロシアとの関係が一層冷却される分、ユン大統領の今回の韓米首脳会談での成果に注目が集まる。

ユン大統領が強調してきた韓米日三国協力が、韓日首脳会談を通じて突破口を探しているが、「誠意ある呼応措置」を得ることができず、議論が続いている状況だ。中露との関係が梗塞した状況で推進される今回の韓米首脳会談で、実質的な利益を守護しなければならないという負担が大きくなったわけだ。アン・チョルス国民の力議員は21日、CBSラジオとのインタビューで、「最低限で、核燃料の再処理と、核推進潜水艦保有を得なければならない」とし、核の『共有』についても「実効的かつ定例的に訓練を共にしながら適切に使えるようにすべきだ」と明らかにした(ヘラルド経済)・・>>

 

さて、デンパンマン(バイデン大統領)が何をどこまで言ってくれるのか、ですが。いまのところ、いろいろ「話」は出てくるだろうし、両大統領がサムスン電子の半導体工場を見学(?)するなどのイベントもあるかもしれないものの、具体的なものを期待できる時点ではない、という予想が主流です。また、経済安保や、日米韓安保協力などについての議題がメインになるだろう、とも。この場合、「北朝鮮問題」に適用するなら支持率回復に大いに役立つでしょうけど、相変わらず、米は「対中」のつもりで言い、ユン政権は「対北」のつもりで語る、そんな展開になるのでは。 本題はここまでです。明日、また日帰り旅行です。今回も、某所で、日本の美しい風景を見てきます。またサブブログに写真でも載せたいと思います。 次の更新は、23日(日曜日)の11時頃になります。

 

 

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