韓国政府(企画財政部)、ガス公社に30億ドルの外国為替スワップを要請・・公社は「株主の反発」を理由に応じず

勉強不足で、他の国でもこういうことが一あるのかどうかは分かりませんが・・先月、政府がガス公社に外換(外国為替)スワップを申し込んで、しかも成立しなかった、という記事がありました。昨日、私がひたち海浜公園の美しい風景につつまれていた頃に「ソウル経済」が報じた内容です。政府(企画財政部)が、ガス公社に満期3ヶ月、30億ドルの外国為替スワップを要請し、ガス公社は株主を気にして、応じなかったというのです。

政権スタート前から何度も提起された、通貨スワップが必要だとする主張。去年5月にバイデン大統領が訪韓する前には、一部の専門家から「通貨スワップを最優先議題に」という主張まで出たりしました。そのたび、政府や金融当局などは問題ないとしてきましたが・・わざわざガス公社にこんな話を持ち込んだのは、どうも話が合わない気がします。さほど話題にはならないでいる記事ですが、一部からは『中央銀行が金利を現状維持した直後にこんな話が出てくることが、理解できない』という指摘も出ています。記事も題に「ガス公社に救助要請を出したのだ」とか書いていますし。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・政府が、為替レートの変動幅を減らすためにガス公社と外国為替スワップ締結を推進したことが確認された。22日関係省庁によると、企画財政部は先月、ガス公社に外国為替スワップ締結意思を打診した。企画財政部が要請した外国為替スワップ規模は30億ドルで、1件当たり満期は3カ月だ。企画財政部は外国為替スワップ規模を30億ドルから徐々に拡大する案も提案したと伝えられた。政府関係者は「最近のエネルギー価格の上昇で、ガス公社のドル需要が大きく増えた」とし「(外国為替スワップは)ガス公社のドル需要を分散させて外国為替市場の負担を減らそうという趣旨」と説明した・・

・・企画財政部はガス公社が為替レートの変動を大きくしたと見ている。昨年、ウクライナ事態で液化天然ガス(LNG)価格が上昇し、急増したガス公社のドル需要が、外国為替市場の不安定にしたということだ。実際、LNG価格上昇の余波で昨年、天然ガス輸入額は568億3000万ドルで最高値を更新した。1年前の308億4400万ドルと比べると約85%も急増した規模だ・・・・しかし、政府の提案にガス公社は応じなかった。外国為替スワップ締結による為替変動リスクの負担が少なくなかったというのが、公社側の説明だ・・・・ただし、ガス公社は国民年金とは異なる決定をした(※国民年金のことは後述します)。ガス公社は30億ドル規模の外国為替スワップを締結しようという政府の提案をその場でことわったという。為替リスクで外為スワップを締結できないというのは表向きの理由で、上場会社として株主の反発の可能性が大きかったという観測が多い・・

 

・・もしガス公社が外国為替スワップ締結後に為替変動によって損失が発生すると、これはデリバティブ損失とされ、財務構造に影響する。LNG価格の急騰などで未収金が10兆ウォンになった状況で、デリバティブ問題まで加われば、株主の反応は火を見るより明らかだ。ガス公社はすでに先月無配当を強行し、株主反発を経験したことがある。見方を変えてみると、このように余裕のないガス公社に救助要請を打つほど、外国為替市場の不安感が大きく、このような不安感は下半期になるほど大きくなる可能性があると、外国為替当局が懸念しているという意味だ(ソウル経済)・・>>

引用部分にある「韓国銀行と国民年金のスワップ」ですが、去年9月、両機関は100億ドルの外国為替スワップを締結しました。国民年金が海外(株式など)に投資するためのドル需要が大きいため、それが通貨安にかかわるという判断によるもの、と言われています。もともとは延長しないとされていましたが(外国為替スワップに延長に関する内容が無かったそうです)、また延長され、外国為替スワップ規模も350億ドルになりました。記事は「一言で言えば、為替レート管理のためのくにくの策だ」としています。

 

 

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