ホワイトハウス、米韓首脳会談の重要議題を紹介しながら「先端技術」は語らず・・半導体・バッテリー関連は「(米国への)投資」だけ

さて、米国を訪問しているユン大統領ですが、微妙な展開が続いています。去年5月にバイデン大統領が訪韓したときも同じ趣旨の文章を書いた記憶がありますが、私は、「今回の訪米は、12年ぶりの国賓訪問というだけでも相応の意味を持つものであり、米韓首脳会談内容も、(これからなにかサプライズが在るかもしれませんが)大きな話題になるような、いますぐ何かの変化をもたらすような内容は無いものの、そこまで批判されるようなものでもなく、普通の会談になるのではないか」と思っています。そして、それで十分だろう、とも。ただ、24日のギブ~テイク~関連エントリーでも書きましたが、国内の雰囲気は、異なります。

安保関連とかはそこまで話題になっておらず、重要なのは経済関連です。本ブログで何度も取り上げましたが、「経済と安保を別々に考えている」ためです。ユン大統領の就任以来、韓国では「もう完全に米国側に舵をきった」ということになっています。そして、「すでに私たちは米国側に大きなものを与えた」、「中国との経済関係が影響を受けた分、米国からそれ以上のなにかを受けないといけない」という論調も強くなっています。今回、半導体関連でなにかの『テイク』を期待する動きが特に強くなっています。対中輸出、半導体が低迷していることもあるし、日米台の半導体協力に、相応の危機感をもつ人たちも増えてきたからです。

 

しかし、事前に聞こえてくる内容は、どれも安保関連だけです。もちろんこれから追加の発表があるかもしれませんが、ホワイトハウスは今回の米韓首脳会談で主な議題になる内容に、先端技術関連、たとえば協力とか共有よか、そんな内容はありませんでした。あるのは、「半導体・バッテリーなどで、韓国企業が米国に投資した」な内容だけです。以下の「文化日報」引用部分にも書いてありますが、どちらかというと先端技術カテゴリーの話というよりは、(米国への)投資カテゴリーの話になります。技術がどうとかの話ではなく、雇用創出につながったという、見方にもよりますがバイデン政権の功績、ということになっています。

いまのところ、これ以外に半導体関連で出ているニュースは、一つ前のエントリーでも取り上げたマイクロン社関連の話と、その条件と噂されている、サムスン電子・SKハイニックス中国工場への装備搬入(輸出)猶予延長だけです。半導体法によって、補助金の条件として「ウェハー基準で5%の生産能力拡大しか認めないことになっているので、猶予したところで工場のアップグレードにも限界がある(時間稼ぎにしかならない)という見解もありますが、まだまだ再猶予を求める声が根強いです。中国市場での半導体発売を、何とか現状レベルでも維持したいと思っているのでしょう。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・ユン大統領とバイデン米大統領が来る26日(現地時間)首脳会談で、拡大抑止とサイバー協力、気候変動緩和、海外援助、投資、人的交流強化の結果を発表するだろうと、ホワイトハウスが24日明らかにした。ジェイク・サリバン、ホワイトハウス国家安保補佐官はこの日ブリーフィングで、「ユン大統領の国賓訪問は韓米同盟70年を記念するもので、私たちは同盟の過去70年を祝い、今後の70年を楽しみにしている」とし、このように 伝えた。サリバン補佐官は「会談は、北朝鮮が核・ミサイル能力を発展させている重要な時点になされるもので、両首脳はこれを緊密に協議するだろう」・・

・・ユン大統領は、バイデン大統領の長年の関心事である韓日関係改善の動きでも決断と勇気を見せた。 と強調した。また、「私たちは長い間、朝鮮半島に集中してきたが、韓米同盟はこれまで以上に域内と全世界でより多くのことをしている」とし「例えば、韓国はロシアによるウクライナ事態以来、ウクライナを固く支持している」と力説した・・・・「バイデン政権だけで過去2年余りの間、韓国は1000億ドル以上を米国に投資し、これは米全域にわたって雇用創出につながっている」と述べた。 この投資には、サムスン半導体のテキサス工場、現代自動車の電気自動車工場の建設、SKの大規模新規投資、バッテリー工場の設立などが含まれると彼は付け加えた(文化日報)・・>>

 

記事の殆どの部分は米韓同盟関連ですが、それぞれの「議題」が入るように引用しました。個人的に、半導体生産量とか補助金とかはともかく(そんな話をするためのブリーフィングでもなかったでしょうし)、「先端技術」関連の話がほとんど出てこなかったとは、個人的に興味深いと思いました。あと、ちょっとした追記ですが、二つ前のエントリーで話した「誤訳」のことで、ワシントン・ポストに記事を書いた(ユン大統領と直接インタビューした)記者さんが、インタビューファイルそのまま文字(韓国語)にして、ツイッターで公開しました。さすがに、音声ファイルを載せることはできなかったのでしょう。そこには、ちゃんと主語が「『私は』受け入れられない」となっていました。誤訳ではない、という意味です。ワシントン・ポストか、与党国民の力か、どちらかが事実と異なる主張をしているわけです。

 

 

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