「100年前」発言で、与党は「主語の誤訳」から「主語が誰なのかは重要ではない」に後退・・ワシントン・ポストの公式立場は「記事を守ります(stand by our reporting)」

ユン大統領の「100年前のことでシャザ◯という考えを、私は受け入れるわけにはいかない」発言、続報です。本ブログとしては、4つ前のエントリー、「100年前のことで~」の続報になります。さて、それからどうなったかといいますと、与党国民の力は「主語」を根拠に、誤訳だったという主張を続けています。「私は(ユン大統領が)」ではなく、「そんな主張を『日本が』受け入れるはずがない」という趣旨で話した、というのです。ただ、ワシントン・ポストの記者さんがツイッターにユン大統領の発言をそのまま文字にしてアップしました。そこには、間違いなく「私は」となっていました。

大統領室の資料を根拠に「主語は無かった」とする国民の力と、ワシントン・ポストのMichelle Ye Hee Lee記者(ツイッターによると、WP東京・ソウル支局長)。どちらかが、事実と異なることを言っているわけです。そんな中、韓国の地上波放送SBSが、この件をまとめ、ワシントン・ポスト側に「誤訳という主張について、どう対処するのか」を問いました。WPは、「私たちは記事内容を固守します(we stand by our reporting)」と答えました。WPも記者さんも、さすがに音声ファイルをそのままのせるわけにはいかなかったのでしょうけど、相応の確認をしたのではないか、とも思われます。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・「大統領室が公開した韓国語インタビューを見ると、ユン大統領はヨーロッパの未来志向的な協力を強調し、主語を省略したまま該当文章を使用した。そして該当文章は『~~(日本が)受け入れられない』と解釈しなければならない。すぐその後に『これは決断が必要なのだ』と言ったことを見ると、これが常識的だ」と、 国民の力のユサンボム首席スポークスマンは24日、解説しました。つまり、メディアは「100年前のことで~~~という認識は(私が)受け入れられない」という意味で報じたけど、原文は、「(日本の立場からするとでは)100年前ことで~~~そんな認識は受け入れないだろう」という意味だった、というのです。つまり、大統領の考えではなく、日本の考えを引用しただけだ、という意味です。

議論が大きくなると、ユン大統領をインタビューした<ワシントンポスト>ミシェル・イェヒ・リー記者は、自身のSNSに「誤訳という論議と関連して、インタビューを再確認した」とし、大統領が発言した原文を公開しました。韓国語でユン大統領の発言をそのまま上げたのです。リー記者が公開したユン大統領インタビュー原文内容には、「私は」という主語が言及されていました。SBSは、リー記者のTwitterを見て、もう一度事実の確認を求めました。最近の議論について何が正しいかを判断してほしいと思いました。ミシェル・リー記者は、「ワシントン・ポストの対外協力チーム(communications team)が公式コメントを送るから、それを参考にしてほしい」と言いました。30分後、ワシントンポスト対外協力チームから、次のような短い返事が来ました。

 

あなた(SBS取材チーム)の質問について、私たちは私たちの報道を(続けて)守ると答えます(In response to your question, we stand by our reporting)。それと共にリー記者のSNSの内容も一緒に見てほしい、記者のSNSは(ユン大統領の発言を)文字通り伝えたものだ、とも付け加えました。ワシントンポスト対外協力チームは、ユ・サンボム議員の主張が事実と異なるとは明確に回答していません。ただ、リー記者が公開したインタビュー原文を見ると、主語が「私は」となっており、記事には「I can’t accept」という表現を書きました。それには何の問題もないという意味になります(SBS)・・>>

ちなみに、国民の力のジャンドンヒョク院内スポークスマンは、今日のブリーフィングで、「誰が~という、主体が誰なのかという議論に流れるべきでない。前後の文脈に照らして、大統領の意志が何かを正確に伝えることが重要だと思う」と話しました。なんか、一歩下がったように見えます。勢いで(というか、アドリブ的に?)言ったのに、ことが大きくなりすぎた・・なだけかもしれませんが、それはともかく。ユン大統領が帰国すると、ほぼ間違いなく「そこをはっきりしてほしい」という要求が相次ぐでしょう。そのとき、どんなスタンスを示すのか。首脳会談より、こちらのほうが気になったりします。しかし、やはりもっとも壮大なオチは、前のエントリーにも書きましたが、「こんな発言が、ここまで話題になること」それ自体ではないでしょうか。

 

 

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