韓国、平均退職金が150万円(日本は2000万円)・・主な理由は「勤続期間」か

4月30日のものですが、退職金に関する記事がありました。年金制度がまだまだ弱く、少子高齢化が急速に(本当に急速に)進んで、家計債務などの問題もあり、高齢者の貧困率がOECDでもっとも高い、などなどで、他のどの国よりも老後についての心配が大きい韓国。関連した案件として、国会議員が国税庁から受けとった2021年の公式資料で退職金について調べてみたところ、平均退職金は150万円でした(ソースはファイナンシャルニュース、計算しやすさ最優先で1円を10ウォンにしました)。ちなみに、即場でネット検索しただけですが、日本の場合は平均約2000万円だそうです。

記事によると、「退職者10人のうち7人は、退職金が1000万ウォン(100万円)未満であることが確認された・・・・4月30日、国会企画財政委員会ジンソンミ議員が国税庁から受けた2021年帰属年齢別・勤続年数別・退職所得資料によると、全退職者10人中7人(74%)に該当する245万人の退職金が1000万ウォンに及ばないことが分かった。全退職所得者の1人当たりの平均退職金は1501万ウォンだった・・」、とのことでして。もちろんこういうのはケース・バイ・ケース、会社バイ会社、人バイ人でしょう。それに、私は退職金とは無縁の人生なので、あまり考えたことがありません。でも、150万円となると、まだ社会人になった直後だと記憶していますが、親族の方から聞いた話よりずいぶんと少ない金額です。

 

どういうことか調べてみたところ、退職金そのものが高いか安いかよりも、勤続期間、そして中間精算(まだ退職する前に、それまでの勤務期間に応じた退職金をあらかじめ精算、支給してもらうこと)が主な理由ではないだろうか、と思うようになりました。これは何かのソースがあるわけではなく、私見です。まず、2022年7月19日にTV朝鮮が報じている統計庁データによると、15~29歳の平均勤続期間は18.8ヶ月でした。経済活動参加率は51.5%、就業者の数は410万4千人で、雇用率は47.8%。「仕事をやめた理由」としては、「給料や勤労時間など」がもっとも多かった(45.1%)、とのことです。

似たような手指の記事が京郷新聞(今年3月7日)にも載っています。こちらは19~34歳を対象にしたもので、こちらは国税庁資料ではなく1万5千人を対象にした調査結果ですが、平均勤続期間は31.6ヶ月でした。勤続期間1年未満も32.7%になる、15000人のうち就業者は67.4%で、その1人あたりの平均年収は2162万ウォン(約210万円)だった、とも。967人を対象にした設問調査で範囲は広くないですが、就職関連の大手サイトが調べたところ、「サラリーマンが考えている適正勤続期間は『5年まで』」、という記事もあります(今年3月17日アイニュース)。その間に転職すべきであり、5年以上も同じところにいるべきではない、というのです。

 

そのまま転職できたり、すぐに再就職できるならいいですが・・尹政権になってからも、いわゆる「直接雇用・財政雇用(簡単な仕事を『ばらまく』政策)は続いています。むしろ、文政権より増えました。今年1月と2月で、政府・自治体は104万個の直接雇用をばらまき、そのおかげで(?)1月と2月で就業者は72万人増えましたが・・ほとんどは60代以上です。2月の場合、60代以上は41万人も増えたものの、15~29歳の場合は12万5千人、40代が7万7千人減少しました。特に40代は、ずいぶん前から減少傾向にあり、「経済のミッドフィルダー枠が機能しなくなっている」などの指摘が続いています。繰り返しになりますがケース・バイ・ケースとはいえ、これでよくも5年がどうとか言えるものだな・・と。

退職金の中間精算は、ネット情報で恐縮ですが、ほとんどは「マンションを買うため」です。なんとかしてマンションを買うため、または何かの投資のため、退職金の中間精算を行うというのです。ただ、この件にはデータなどはありません。どっかのサイトに、この中間精算を「冗談抜きで、老後の『すべて』がマンション価格にかかっている」と話す人がいましたが、妙に説得力がありました。

 

何度も引用したデータですが、ピュー・リサーチ・センター(Pew reserch center)が2021年11月18日に公開した報告書とも、つながっていると言えるでしょう。17カ国で「人生に意味を与えてくれるのは何か(What makes life meaningful)」を調べた結果ですが、日本を含めほとんどの国では「家族と子供」が1位でしたが、韓国だけ、「物質的な豊かさ」が1位でした。また、「職業的成就」が、すごく低いことも分かりました。京郷新聞(2021年11月22日)は「他の国では、人生に価値を与える源泉として2~3位に選ばれた「職業的成就」を選んだ回答者が、我が国では6%に過ぎなかった」と報じています。勤続期間の件も、こういうのと関係があるのでは。そんな気もします。  最後にまた告知ですが、今日の更新はこれだけです。先日、5月1日・2日は2回更新にすると告知いたしましたが、本当に申し訳ございません。次の更新は、明日の11時頃になります。皆様、良きゴールデンウィークを。

 

 

 

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