4年ぶりの韓国旅行で感じたこと(その2)

昨日、3つぐらい取り上げたいと書きましたが、残りの2つは、「空に色が無い」と「無愛想に拍車がかかった」です。空に色が無いというのは、青さが無いのはともかく、雲の白さもありません。というか、雲がありません。詳しくは、あるけど見えません(よく見ると薄っすらと見えます)。今回、家族と会って「帰化したお」と事後報告しました。返事は大体「わかったお」なものでこれといって問題はありませんでしたが、それぞれの兄、姉が全国各地に離れて住んでいるため、結構広い範囲をまわることになりました。

 ありがたいことに、天気に本当に恵まれて、帰国の日の午後まではずっと晴れて、日差しの強い日々が続きました。そこで、金浦空港から気づきましたが、空に色がありません。青いわけでもなく、ちょっと青みのかかった薄い灰色のスクリーンかなにかに囲まれている、そんな感じがしました。写真は、ソウルではなく、近くの地方都市で撮ったものです。ソウルはこれよりもう少し灰色です。最初は「こんな日もあるだろう」と思いましたが、次の日も、その次の日も、空に色がありません。雲もありません。よく見ると少し見えるけど、とても「白い」とはいえません。

 

日差しは強く、地上には濃い色で影が出来ているのに、空を見上げるとそこには青も白もありません。不思議な感覚です。(あとで合成編集するために)単色のスクリーンで撮影ブースを作って、その中に入っている・・そんな気がします。これが数日も続き、街で花をみかけることがあまり無いこともあって、いろいろ圧迫感がすごかったです。もっと地方に行くと、ある程度は空に青味(青いとは言えません)が見えるようになりました。気になって、姉(ソウルのすぐ近く)に聞いてみたら、「もう、これが普通。青い空が見える日もあるにはある」とのことでした。

旧ブログのときから、空気、大気のことは何度も取り上げました。一つ前のエントリー「グック」のこともそうですが、前からこうだったのかもしれません。でも、4年間、晴れの日は青さ全開になる日本の空に慣れたから、でしょうか。今回、ずっとジオラマかなにかに閉じ込められていた気がします。それに、前に住んでいたところに行ってみたら、ホテルを含め、知っていた店がいくつもなくなっていて、しかも閉店のまま(新しい店はオープンしていない)でした。そういうこともあって、ジオラマの中でも、あまり肯定的でない未来を描いた、そんなジオラマにも見えました。

 

もう一つは、無愛想に拍車がかかったこと。金浦空港、いつから「~てください」ではなく「~しなさい」に指針を変えたのでしょうか。日本語の「~てください」と「~しなさい」にあたいする韓国語表現は、ほぼ同じものがあります。「~へジュセヨ(~てください)」と「~ハセヨ(~しなさい)」です。たとえば、飛行機から降りた人たちに「もっと前へ移動してほしい」の趣旨をアナウンスする時、「移動してください」と言うでしょう。しかし、今回は全職員が「移動しなさい」と言っていました。なにかの指針があったのでしょう。そうでないとここまでいっせいに変わることはありません。日本だと「~てください」や「~お願いします」が普通ですが。

街でも、「ありがとうございます」に準ずる表現が聞けたのは、2回か3回だけです。ほぼ全てが「ネェー」です。使い方は異なりますが、日本語に直訳すると「はーい」になります。これはちゃんと答えずに、「はい分かりました」という意味を伝えるもので、この表現とのものが問題になるわけではありません。しかし、そこまで丁寧な表現ではありません。そこそこ高級なレストラン以外で「ありがとうございます」が聞けたのは、親の墓参りのときに乗ったタクシーの方からです。その方、私に「なんでそんなにありがとうって言うのですか(笑)」と聞いていました。皮肉ではなく、本当に不思議そうな顔でした。店では相変わらず「とにかく文章に尊敬語を増やせばいい」とし、「コーヒーでいらっしゃいます」など、不自然な敬語表現、いわゆる「事物尊称」があふれていました(コーヒーにまで尊敬語の対象にしている)。

 

日本では圧倒的にすみませんとよく言いましたが、韓国では日常で「すみません」「ごめんなさい」という表現はあまりつかわないので、「ありがとうございます」と言っていましたが・・それが不思議だったのでしょうか。墓があるところまで往復でお願いできますか、そこでちょっと止まってください、などなどがあったとき、ありがとうございますと言っただけですが。すべて終わって、タクシーから降りるとき、ドライバーの方が「ありがとうございます」とちゃんと言ってくれました。昨日の夕方、羽田空港に帰ってきて、無数に耳に入ってくる、感謝や配慮の言葉(すみませんという言葉も含めて)。バスが出発したあとに、バスに向かってお辞儀をしてくれるスタッフの方々。彼らの姿は、バス内からはよく見えません(窓からだとなかなか視野に入らない)。これこそ、「人」へも「物」へも、正しい「尊」や「敬」の示し方ではないでしょうか。窓からかろうじて見えるスタッフの方々(しかもすいぶん若い)に、つい私も「ありがとうございます」とつぶやきました。

 

最後に、銀行関連の話を、少し。今回のラスボス戦でした。国籍が変わった人が外国に資産を搬出するときには、中央銀行を介する必要はありません(国籍が変わっていない人でも、長い間外国に住み、韓国で経済活動をしなかった人なら搬出は可能ですが、その場合は中央銀行を介することになります)。ただ、どんな場合でも、その人が住んでいた地域の税務署から『この人は、韓国にいたとき、いま搬出しようとしている金額に相応する分の税金をちゃんと払っていた』という審査、許可を得る必要があります。この書類を「資金出処確認書」と言います。私の場合は預金だけですが、不動産販売代金などは契約書も提出しないといけません。銀行も、自分で外国為替関連業務を任せる銀行を指定する必要があるため、結局は自分で住んでいた地域にまた行くしかありません。

税務士(税理士)さんにお願いして書類は代行で発給済みで、銀行の方と事前に連絡して必要な書類はすべて用意していました。日本で「帰化を証明するもっとも公的な書面」は、戸籍謄本です。本籍(帰化したので日本になっている)、帰化の時期、帰化した際の国籍(前の国籍)などが全て書かれています。私は、オリジナルと、写本(韓国語に翻訳済み)も一緒に用意しました。銀行の方の話によると、「これ(資産搬出関連)が1回ですんなり出来たのは初めて」とのことです。理由は、関連書類です。詳しく聞いたわけではありませんが、必要な書類を事前に話しても、別のものをもってきて「これも同じだからいいでしょう」とする人が多い・・という意味でしょうか。私の心が曇っているだけかもしれませんが。受け取るには日本側の銀行でも相応の手続きが必要なので、来週からは日本での手続きになるでしょう。明日からは、ブログ本題(曇題?)に戻って、1日2回更新に戻します。ありがとうございます。

 

 

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