韓国メディアが見た日米半導体協力・・「似たような変化があった1980年代、米国の支援を得たのは韓国だった。今回は日米が密着している」

ソウル新聞が、クリス・ミラー氏の見解を引用しながら、韓国半導体メーカーが『1980年代日本メーカーのようになる可能性』を指摘しました。当時は、ソビエト連邦を意識して世界ナンバーワンの座にこだわった米国が、半導体を日本に渡さないために半導体協定などを結び、その過程のおかげで今のサムスン電子がある、という内容です。そして、今回は中国を意識した米国が、おなじく世界ナンバーワンの座にこだわって半導体に熱心ですが、そのためにもっとも協力しているのは日本である、とソウル新聞は指摘します。記事は日米の半導体協力を、『超密着』と表現しています。記事に直接的に書いてあるわけではありませんが、1980年代のようなことがまた起こり、今回は韓国メーカーがダメージを受けるのではないか、という趣旨です。以下、<<~>>で引用してみます。いつもより、引用が長めです。

<<・・アメリカ企業が世界メモリ市場を掌握した1970年代、東芝や日立、NECなど日本企業が急成長し、メモリ主導権が日本に移り始めます。当時、米国は世界で唯一、軍備で自国を脅かすことができるソビエト連邦を牽制するために外交と国防を集中していた時期です。ソ連との軍備競争で半導体を戦略物資として育成してきた米国の立場では、日本へのメモリー主導権移転は、自国経済と産業にクリティカルなことであり、同時に、アジアの潜在的なリスクを育てることになったのです。当時だけでも、中国はアメリカにとって警戒の対象ではありませんでした。

 

日本半導体の成長にブレーキをかけなければならなかった米国は、日本半導体企業が低価格ダンピング戦略で半導体市場を乱していると反ダンピング問題を提起し、日本半導体製品に関税を課すなど対応に出ます。続いて日本半導体輸出競争力を大きく落とす「プラザ合意」(1985年)を結び、日本半導体市場を圧迫する日米半導体協定(1986年)を引き続き結びます。この時、反射利益を得た企業が、サムスン電子です・・・・サムスンの後ろにはアメリカという心強い「友軍」がありました。米国は日本半導体の成長にブレーキをかけると同時に、サムスンに半導体技術移転を積極的に支援し、そのようにサムスン電子は停滞していた日本企業の存在を置き換えていきました。クリス・ミラー教授はこれを置いて、「米国が対立する日本と対立する韓国が、結果的に米国の味方になったわけだ」と表現しています・・

 

・・対外的には中国が米国にリスクとなるG2国家に成長し、リスクとなる「No.2」は容認しない米国の実力行事が本格化する構図になりました。ここで注目される流れは、米国と日本の「超密着」です。 米国は自国主導の半導体サプライチェーン構築のために半導体同盟の「チップ4」国家として韓国と日本、台湾に手を差し出した状況ですが、その中でも日本と最も緊密な関係を構築しています。米国と日本政府は、1980年代の葛藤はもう無く、中国という相手に対応するために再び手を握ることにしました。

西村康稔日本経済産業相は26日(現地時間)、米国デトロイトで開かれたアジア太平洋経済協力体(APEC)通商長官会議でラモンド米商務部長官と別途会同した後、半導体及び先端技術協力に関する共同声明を発表 しました。声明には、次世代半導体開発のための米国と日本の共同ロードマップと人工知能(AI)および量子技術に対する協力などが含まれました。英国ロイター通信は共同声明に関連して「米国が核心技術分野で中国に対抗するために同盟国を引き込む努力を示す」と評価しました。問題は、韓国半導体の戦略です(ソウル新聞)・・>>

 

ここからは今までの関連エントリーと重複しますが、韓国政府がこのような流れを受け入れず、マイクロン社関連、そして中国工場関連で米国と「ズレ」を見せている、という内容です。直接的に書いてあるわけではありませんが、記事の流れからして、『米国が対立する相手と対立して味方になる』流れを得ているのが、今回は韓国ではなく日本になっている、という趣旨の展開です。さて、どうでしょうか。1980年代のようなやり方は通じないでしょうし、今回は日本というより「友好国」であるため、一つの国だけを支援することもないかもしれません。しかし、現在の日米の『超密着』指摘に関しては、他の記事より現実的に書いています。特に、『まだ、水面上では静かに見える』という表現から、(ソース記事の)筆者の懸念が垣間見えます。今日の更新はこれだけです。サブブログのほうに、京都と上高地で撮った写真(レナの写真も2枚あります)をアップしましたので、よろしければ、御覧ください。次の更新は、31日(水曜)の11時頃になります。

 

 

おかげさまで、新刊が発売中です!今回は、マンションを買わないと『貴族』になれないと信じられている、不思議な社会の話です。詳しくは、新刊・準新刊紹介エントリーを御覧ください。経済専門書ではありませんが、ブログに思いのままに書けなかったその不思議な「心理」も含めて、自分なりに率直に書き上げました。以下の「お知らせ」から、ぜひ御覧ください。ありがとうございます

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年3月1日)からですが、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。・新刊として、文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察した<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>、帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・ンシアリーはツイッターをやっています。ほとんどは更新告知ですが、たまに写真などを載せたりもします ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。