低金利狙い? 韓国、新型コロナ期間中に自営業者が大幅に増加、年収は大幅に減少

韓国の街の景観の特徴に、「マンションと飲食店が多い」をはずすことはできないでしょう。特に、比較的新しく開発された「新都市」とされるところを見てみると、冗談抜きでマンションと飲食店の看板しか見えません。前から、韓国は自営業者が多い国です。日本より多いのはもちろん、一般的に自営業者が多いとされるイギリスよりも多いです。いまはずいぶん減少したものの、それでも650万人と言われています。いまネットで検索して出てきたデータだと、日本の場合は約200万人だそうです。基準が同じなのか分かりませんので、単純比較は難しいでしょうけど。

韓国の経済活動参加人口が約2800万人とされていますので、650万人となると、相当な数です。それもあって、経済・・というか「景気」関連で書くとき、本ブログも、何度も「自営業が多い」という話をしてきました。高度経済成長期には、何も考えずソウルに来た人たちが自営業をやるしかなく、自営業者が大幅に増えました。それがある程度減少するようになったものの、1997年の「IMF入り」でまた増えるようになりました。それから減少するようになったけど、年金システムも機能しない状態でベビーブーム世代が引退し、いわゆる「第2の人生」のために自営業をやりました。この自営業ブーム、いわゆる「創業ブーム」で、また増えました。

 

先の景観というものにもっとも影響したのが、この創業ブームではないでしょうか。コーヒー店、チキン屋、モーテルが多いのも、この創業ブームが主な原因です。ちゃんとしたノウハウも無しにやっていける時代ではないので、なんか、数が増え、すぐに閉店となり、家計債務ばかり増えていく、そんなところです。それからしばらく、自営業多すぎ記事は目立ちませんでしたが・・いったい何を考えているのか、新型コロナ期間も含めて2017年から2021年まで、自営業者が大幅に増えたことが分かりました。

ソース記事に書いてあるわけではありませんが、個人的に、低金利、すなわち創業資金が借りやすくなったのが主な原因ではないか、と思っています。もちろん、職を失った人が多い、引退者が多くなったなどの理由もあるでしょうけど・・いくらなんでも、あの期間中になんでここまで創業したのか、わけがわかりません。案の定、韓国経済TVの報道によると、彼ら約650万人の自営業者の2021年の平均所得は、年1952万ウォン(1円を10ウォンとすると約196万円)でした。どんどん減少しつつあり、2000万ウォンより下がったのは初めてのことだ、とも。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・2017年から2021年までの5年間、自営業者の数が180万人以上も増えたが、平均所得は毎年減少したことが分かった。2021年には平均所得が年間1千952万ウォンで、月163万ウォンにとどまったことが明らかになった。6日、国会企画財政委員会所属共に民主党のヤンギョンスク議員室が国税庁から受けた資料を分析した結果によると、2021年の自営業者(総合所得税申告者のうち事業所得を申告した人)の数は656万8000人だった。2017年472万6000人から2018年502万2000人、2019年530万9000人、2020年551万7千人と毎年増加し、5年で184万2千人が増えた。

特に新型コロナが1年間ずっと続いた2021年には、1年で105万1千人が増え、19.1%の増加率を記録した。 同期間、勤労所得者増加率2.4%の8倍に達する数値だ。このように自営業者数は毎年着実に増えたが、彼らの所得は減少するばかりだ。自営業者の平均所得(年間)は2017年2千170万ウォンを皮切りに、2018年2千136万ウォン、2019年2千115万ウォン、2020年2千49万ウォンに毎年減少した。自営業者数増加幅が最も大きかった2021年には、平均所得が1952万ウォンを記録し、2千万ウォン以下になった(韓国経済TV)・・>>

 

韓国の場合、自営業者の債務は家計債務にはカウントしませんが、約1000兆ウォンだとされています。ローン元利金償還猶予など新型コロナ関連特例措置が、9月で終了します(本当は去年9月まででしたが、1年延長されました)。この650万人、どうなるのでしょうか。どれぐらい、維持できるのでしょうか。ちなみに、これもまた両国の基準が同じなのかは分かりませんし、即場でネット検索してみただけですが、日本の場合は自営業者の平均年収は384万円だそうです。

 

 

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