韓国、『ノンバンクで30万円の債務が返せない人たち』が急増・・経済メディア「合法制度の最後のラインに立つ人が増えているという意味だ」

昨日も紹介しましたが、家計債務関連で記事が増えました。韓国銀行(中央銀行)自ら、公式に家計債務の『質』が低下していると指摘したから、でしょう。もともとそんなに高くもなかったとは思いますが、最近になって特にそうです。なぜなら、金利が高くなって、返す余力がある人たちはまっさきに債務から返済しました。その分、中身のレベルがどんどん低下しつつあるわけです。そんな中、マネートゥデイが、「300万ウォン(約30万円)が返せない人たちが増えている」という記事を載せました。『貯蓄銀行での少額ローン』についての記事です。

「少額信用ローン」は、担保無しの300万ウォン(約30万円)以下のローンを意味します。なぜでこのデータが重要なのか。彼ら少額ローンの人たちは、少しでも何か問題があれば『合法』の外側に出てしまう人たちだからです。『年利100~5000%』とされる世界へ旅立つ前に、彼らについてもっと把握しておくべきだ、という趣旨です。一つ前のエントリーで書いたばかりですが、こういう少額は、普通は第3金融圏(貸金業社)の仕事となっています。

 

しかし、第3金融圏の場合、もはや上限金利20%では利益が残せなくなり、最近はほとんどが開店休業のような状態です。業界1位が事業をたたむ(貯蓄銀行を引受し、貸金業から撤収)くらいですから。また、貸金業者の場合、データがちゃんと集計できないという側面もあります。よって、記事は、「いま貯蓄銀行(第2金融圏、実は銀行ではありません)で借りることができないと、そのままサグミュン(違法金融業者)のところに行くことになる」としています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・崖っぷちに立っている限界債務者が増えている。貯蓄銀行から出た300万ウォン以下の小額信用ローンが、1年間で約1000億ウォン増加した。延滞率も7.5%と高い水準だ。専門家は、限界債務者が年金利5000%に達するサグミュンに行かないように政策金融を拡大しなければならないと助言する。22日、79行の貯蓄銀行の今年1~3月期経営公示報告書を全数調査した結果、300万ウォン以下の小額信用ローンを10億ウォン以上扱った貯蓄銀行は合計38行で、全体残高は9863億ウォンとなった。少額信用貸付残高が10億ウォン以下の貯蓄銀行は公示義務がない。昨年同期は8869億ウォンだった・・

・・38行の貯蓄銀行の少額信用ローンの平均延滞率は7.5%と高い水準を維持している。少額信用ローンの規模が1000億ウォン以下の貯蓄銀行では、延滞率が10~20%で、高かった。延滞率10%以上~20%未満の貯蓄銀行が38行のうち11行、20%以上の貯蓄銀行が7行だった。去年同期には、延滞率10%以上~20%未満の貯蓄銀行が16行で今年より多かったが、20%以上の貯蓄銀行は2行だけだった・・

 

・・少額信用ローンが増えたのは、崖っぷちに追い込まれた脆弱債務者が増加しているという意味だ。貯蓄銀行から出る少額信用ローンは、金利が法定上限である20%に迫っており、高信用者はほとんど利用しない。ある大手貯蓄銀行の関係者は、「少額信用ローンを受ける債務者は、どこに行ってもお金を借りられない脆弱階層」とし「どこでも借りることができないため、貯蓄銀行で最も高い金利で少額信用ローンを受けるわけだ」と話した。また別の大手貯蓄銀行の関係者は、「生活費や病院費のように基本的な生計費がない人が貯蓄銀行で少額信用融資を受ける」とし「限界債務者が一番最後に受け取る融資だから、延滞率も高いしかない」と話した(マネートゥデイ)・・>>

本文にも書いてありますが公示義務の無い場合もあるし、貯蓄銀行によっては、延滞が3ヶ月連続でない場合は延滞カテゴリーとして集計しないと指摘されています。こちらは去年11月のビジネスウォッチというメディアの分析で、不動産プロジェクト・ファイナンス関連の記事ですが、発表されている延滞率は1.35%なのに、金額ベースで調べてみるとどう考えても20%超えていた、とのことでして。ぜひ、一つ前のエントリーと合わせて読んでください。次の更新は17時~18時頃になります。

 

 

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