韓国、最低賃金26.9%引き上げ案で対立・・また始まった最低賃金ファンタジー

また、最低賃金が話題になっています。ユン政権は労働組合などに強く対処しているので、今回は問題ないだろうと思っていましたが、アイニュース24など複数のメディアの報道によると、どうやら労働組合側の要求が認められる流れになっているようです。韓国は全国同額が適用されるので最低賃金委員会というところで最低賃金を決めますが、そこで、今回の目玉の一つだった『職業によって別々の最低賃金が適用されるようにする』案が、否決されました。労働組合側は反対していたので、労働組合側の要求が通ったことになります。

労働組合側は26.9%の最低賃金引き上げ(12,210ウォン)を要求しており、このまま行けば、大企業はともかく、自営業者は間違いなく店を畳むしかない、と言われています。もはや有名な(?)話ですが、文在寅政権では、最低賃金を無理にして引き上げました。文政権だけでなくリベラル(左派)側は、これを「正しい社会」「平等な社会」だと思っていたかもしれませんが、経済に何一つ良い影響はありませんでした。無数の人たちが職場を失い(雇用そのものが減った)、雇用側も被雇用側もこれといったメリットを得ることはありませんでした。しかし、まだ懲りていないのでしょうか・・

 

韓国の小商工人(自営業者)の数は650万人だと言われています。経済活動人口が約2800万人とされているので、相当な数になります。6月6日にもエントリーしましたが、彼ら自営業者の平均所得(年間)は2017年2千170万ウォンから減り続け、2021年には1952万ウォンと、はじめて2千万ウォン以下になりました。また、4月3日中央日報の記事によると、1019兆ウォンとされる自営業者たちの債務(これは家計債務とば別カテゴリーです)のうち、約70%が「回して防ぐ(自転車操業)」で行われている、との分析もあります。

 

ローン額基準では、全体の自営業者債務の70.6%、金額で720兆3000億ウォン分が、『多重債務』である、とのことでして。多重だからといって全額に問題があるとも言えませんが、記事は「一時的に資金をなんとかしようとしても、状況は変わらず、債務で債務を返済する流れが持続している」としています。そんな中、26.9%最低賃金引き上げとなると・・さすがにこの案がそのまま通るとは思えませんが、複数のメディアが、「このままでは非常にマズイ」と記事を載せています。もちろん、上げたほうがいいとするメディアもありますが(笑)。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・23日、業界によると、最低賃金委員会が去る22日、政府庁舎で開かれた第7次全員会議で来年最低賃金を業種別に区分するかをめぐって投票した結果、反対15票、賛成11票で否決された。これは、最低賃金を一括的に定める現行とは異なり、産業別に異なって定める方式だ。現行最低賃金法上でも導入できるが、最低賃金制が初施行された1988年にのみ、一時的に導入された・・・・労働側の強い反発でその翌年から現在までは全産業に単一適用されている。

経営側は、最低賃金の業種別適用を導入し、宿泊・飲食業など賃金支給能力が不足した業種には(※韓国では、飲食、宿泊などは、代表的な庶民創業分野とされます)最低賃金を低く設定しなければならないと主張してきた。一方、労働側はこのような適用は最低賃金制度の目的と趣旨に反するとしてきた。労働側と経営側は対立したが、主に学者で構成された公益委員が反対票を投げたと分析される・・・・労働側はこの日、来年度最低賃金の最初の要求案で時間当たり1万2千210ウォンを提示した。これは今年最低賃金より26.9%多い(アイニュース24)・・>>

 

ただでさえ、9~10月に新型コロナ対策(ローンの返済猶予など)が終わると、自営業者を中心に金融危機になるという話まで出ているのに・・26.9%とは。サグミュンもびっくりです。この自営業者関連で、他にもいろいろ「どうすんの、これ」な記事が出ているので、近いうちにまた取り上げるかもしれません。

 

 

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