関係者「手抜き工事は、もはや建築の『文化』レベルだ」・・韓国、公企業発注の大規模『骨なし(手抜き)工事』が社会問題に

本ブログでも2~3回取り上げたことがありますが、地下駐車場天井崩壊で明らかになった「スンサル(骨なし)」、すなわち鉄筋を減らした(場合によっては全然ない)マンション問題。政府は、とりあえず事故が起きたのと同じく「住宅公社(LH)発注によるマンション団地の、無梁版構造の地下駐車場」91箇所を調べましたが、その中の15箇所のマンション団地から鉄筋が漏れ落ちていることが分かりました。その中の8箇所には、すでに人が住んでいます。中には、154本の柱の全てに補強鉄筋が入ってないところもあります。

公企業発注で91分の15って、高確率すぎませんか・・というのが主な反応ですが、LH以外にも調査を拡大するという政府の発表もあり、これからさらに増えると思われます。それに、各記事を読んでみたところ、地下駐車場の柱に限っての話のようでして・・本体まで調べたら、いったいどれだけ増えるのでしょうか。ほぼ全てのメディアが連日トップニュースでこの件を報じていますが、個人的にもっとも『それだ』と思ったのは、今朝のニュース1の記事です。記事は、専門家たちの言葉を引用、これはシステム的な問題であると強調します。専門家の中には、このシステムを「建築という分野においての、『文化』である」と話す人もします。こんな中、それぞれの案件の責任者だけなんとかしたところで、何が変わるだろうか、と。

 

また、記事の引用部分に「前官礼遇」という言葉が出てきます。もともとは退任した公職者に相応の冷遇が与えられるという意味ですが、韓国では主におもわしくない意味で使われます。本件の場合、たとえばLHが発注する工事で、工事全般を監理を担当する会社を選定する場合、「必要以上に高い金額を払って、元LHの人がやっている会社を選ぶこと」を意味します。そして、その分、工事費を削ります。だから前官礼遇が手抜き工事の一因とされているわけです。ちゃんと仕事するなら問題ありませんが、ほとんどの監理会社は、工事に関する知識は無い、とも。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・設計・施工・監理など建設業全般の問題がそっくりそのまま明らかになっただけだ・・・・そういう不実建築文化を改善しなければならないという意見が多い。チェミョンギ産業現場団教授は、構造設計過程でアウトソーシング(※外注)が連鎖的に続く構造を指摘した。発注庁が設計用役を与えると、建築士が構造技術士に構造設計を用役し、また構造技術士が自分が直接構造設計をせずにキャリアの低い職員に仕事を任せる場合が起きる、というのだ。構造計算が終わった後に図面を描く過程も外部にアウトソーシングするのが一般的だという。

チェ教授は「構造設計をアウトソーシングする過程までは問題がないとしても、構造設計士が経験の少ない人に仕事を任せる過程でエラーが発生する余地が大きい」とし「もちろん、構造技術士が十分な検討を経れば良いが、そうでなかったとき問題が発生する」と指摘した。ジョボンホ・アジュ大学建築学科教授は、「自動車生産のような製造業は製作業者が設計まで全てするが、建築は設計と施工などそれぞれの過程が分離された構造」とし「相互補完となる構造なら、互いの問題を捉えることができるが、 方法で動作せずに鉄筋抜けが起きたようだ」と分析した。

 

構造が変更される過程で、専門家たちが他の構造との整合性をすべて検討しなければならないが、これを遵守せず、鉄筋が抜け落ちていくという意見もあった。ある専門家は「マンション設計はすべての部分がつながっており、一つを変えれば他の構造にも問題が発生すので、事前にシミュレーションが必要だ」とし、「詳細図に検討結果を反映しないなど、業界全般で安全を重要視していない。検証手続きを強化しなければならない」と話した。

匿名を求めたある建築社の所長は、「現場で設計どおり施工が進まないのは、単純なミスの場合もあるかもしれないが、設計が施工を正しく反映していない場合もある」とし「監理側も、構造上の問題について自分たちも知らないから、現場が話すどおりに判断する」と述べた・・・・チェ教授は「一部で指摘するように、前官礼遇などが発生した場合、設計者は前官礼遇にかかった費用を削減するために、アウトソーシングする建築文化だ・・・・まずその背景から改革しないといけないだろう。いまは、ただ(※個々の案件の)責任者だけなんとかしようとしているだけだ」と話した(ニュース1)・・>>

 

韓国社会において、唯一の『人生逆転』チャンスだとされている、マンション。それを買うための家計債務に構造的な問題が起きているのは、もはや文化ではないでしょうか。自転車操業文化、とか。それを作る側もまた、構造的な『文化』が作られていた・・といったところでしょう。いやな文化ですね、本当に。 最後にちょっとした告知ですが、新刊の一部が、週刊SPAに掲載されました。リンクはヤフー版です。抜粋したものではありますが、よろしければ、ぜひお読みください。

 

 

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