「脱中国」した資金による新規投資、日本とベトナムへ流入・・韓国への流入はむしろマイナス

先月12日にも、いわゆる「脱中国」とされる外国資金の流れについてエントリーしたことがあります。先月には主に株式市場の話(毎日経済の記事)でしたが、その資金の行く先は、アジア圏では日本>>インド>>台湾>>韓国の順でした。グローバル資金が脱中国を見せた今年4~6月、日本の証券市場に流入した外国資金は660億ドル。その資金の70%は欧州系の年金基金だという話も出ている、などの内容でした。年金基金の投資は、一般的に長期投資とされます。次がインドで、136億ドル。台湾は32億ドル。韓国の場合は24億ドルで、しかもほとんどがサムスン電子に集中していた、とも。

今回も関連した「脱中国資金」ですが、今回はグリーンフィールド投資のことです。グリーンフィールド投資とは、新規投資のことで、現地での雇用効果などが大きいとされています。「新規」なので、M&Aなどは含めません。同じく毎日経済、今日の記事によると、2017年~2022年、脱中国とされる資金によるグリーンフィールド投資がもっとも大きかったのはベトナム、次が日本でした。特に日本の場合は、最近になって急速に増えている、とも。韓国の場合、この期間中にむしろマイナスでした。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・米中間の通商関連対立が始まってから、外国人の買収・合併(M&A)資金及び生産設備に投資する資金(グリーンフィールド投資)の流出は大きくなってきた。4日、毎日経済と全国経済人連合会は、米中対立が始まった2017年を起点に中国に投資された外国人資金を分析した。分析によると、2011~2016年に比べて、2017~2022年に中国ではなんと1697億ドル(223兆ウォン)に達するグリーンフィールド投資の減少が見られた。グリーンフィールド投資は外国人が工場など生産設備を新たに建てたり拡大することで、現地で投資・雇用効果が大きいと評価される・・

 

・・問題は、この期間の、韓国に対する投資について、だ。中国を離れた外国人設備投資資金は、ベトナム(プラス246億ドル)、日本(プラス166億ドル)、シンガポール(プラス92億ドル)に集まった。 特に日本は、半導体産業を中心に大々的に投資誘致に乗り出した結果、実際にグリーンフィールド投資が大きく増えたことが確認された。日本は2017年から昨年まで657億ドルのグリーンフィールド投資金を誘致した。これは直前の同じ期間に比べて、規模が166億5000万ドルも増加したものである。半導体企業のうち、台湾TSMC、米国マイクロンなどがそれぞれ大金を投入し、日本に半導体工場を建設している。TSMCは日本熊本県と茨城県に投資した資金の3分の1は、日本政府からの支援だった。一方、韓国はグリーンフィールド投資部門でマイナス161億ドルだった。「脱中国」現象による利益がそっくりそのまま他国に流れたという意味だ。国内企業が景気萎縮を勘案して投資を躊躇する状況で、外国人にも韓国が投資先として魅力を失っているという話だ(毎日経済)・・>>

 

もちろん、全般的な「投資先としての魅力」がもっとも重要な要因でしょう。でも、最近・・でもないかな。本ブログでは半導体やバッテリーなどで、韓国の中国の『経済圏』は引き離すことができなくなっているとする意見を紹介してきました。特にバッテリー関連で、中国側は「米国のインフレ抑制法を迂回するため」と公言しながら、韓国に大規模投資をしている、とも。そういう内容と、本エントリーのデータは繋がっていると言えるでしょう。いままで紹介してきた記事の中でも、「半導体企業関係者」が「同盟(米国)との義理だけで、中国から離れることはもうできなくなっている」と話したこと、そして、SKグループの会長さんが「中国市場をあきらめると、回復できない」と話し、系列社資産を売却しながら中国での工場建設に力を入れている・・という記事は、本当に印象的でした。こういう流れを、投資家たちが知らないはずがないでしょう。 最後に告知ですが、おかげさまで好評の新刊の一部が、週刊SPAに掲載されました。リンクはヤフー版です。抜粋したものではありますが、よろしければ、ぜひお読みください。

 

 

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