韓国、1954年データ作成以来 初めての「2年連続1%台成長」か・・本格的に始まった低成長時代

どのような経済圏も成長ばかり続けることはできないでしょうけど、どこから出てきた数字なのか、「いまの基調を維持するには、少なくとも◯%の成長が必要だ」という話はありました。結構前から言われていたのでどれくらい信憑性が高いのかは分かりませんが、韓国は4%成長、中国は8%成長が必要だ、と。でも、それはもう「昔むかしあるところに」の話。中国も、いわゆるチャイナブームはとっくに終わったと言われていますが、韓国もまた、十年ぐらい前から「低成長時代」というキーワードが出ていました。

しかし、低成長時代という話が出てきてからも、ダイナミックとか、技術力の超格差とか、そんなキーワードばかり注目され、その時代をどうするのかについても議論は、ほぼありませんでした。5年任期の政府としては(大統領単任制)、そんなことは言い出せなかったのかもしれません。そんな中、一部のメディアが、「2年連続1%台成長の可能性が指摘されている」と報じました。経済成長データは、朝鮮戦争の後、1954年から作成したそうですが、初めてのことだそうです。JPモルガンなど、複数の大手がそう予想している、とも。ソース記事は東亜日報ですが、他にも韓国日報など大手が結構動いています。ちなみに、いままで政府は「上低下高(下半期に回復する)」を主張してきました。主な根拠は、中国のリ・オープニング(新型コロナからの経済活動再開)。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・韓国経済が今年に続き、来年も1%台の低成長にとどまるというグローバル投資銀行(IB)らの分析が出た。2年連続1%台の成長になれば、統計作成が始まった1954年以降、初めてとなる。1997年、2008年などの衝撃でマイナス成長したり、0%台の成長率を見せたが、その翌年には回復してきた。しかし、今ではそのような経済の回復力が弱くなり、低成長基調が長期化、固着化する可能性があるという懸念が高まっている。国際金融センターによると、ゴールドマンサックス、JPモーガンなど8つの主要外国系投資銀行が先月末基準報告書を通じて明らかにした来年の韓国成長率見通しの平均は1.9%だった(※ 政府2.4%、中央銀行2.3%)・・

 

・・韓国経済が下半期には良くなるという期待感は薄くなって久しい。輸出は8月に入っても10日までマイナスで出発し、11カ月目の減少傾向だ。6月に輸出減少幅が1桁に減り期待が高くなっていたが、先月から再び2桁に拡大した・・・・特に最大貿易国である中国の7月の消費者物価上昇率が2年5カ月ぶりにマイナスに転換し、デフレの懸念が出ている・・・・中国国内総生産(GDP)の25%を占める中国不動産が揺れ、消費萎縮などにつながり、これは韓国経済にも輸出減少、成長率下落などの影響を及ぼす(東亜日報)・・>>

 

記事は、またもや「根本的な構造改革と経済体質改善」が必要だとしていますが・・何をどうすべきだと言うのでしょうか。サムスンなどに頼る部分が大きいので、逆にサムスンの実績などによって高い成長率を記録する期間があるかもしれません。しかし、いままで指摘されてきた、低成長時代に備えるべきだ(どう備えるべきとは具体的に言ってませんが)とする予想が、本格化してきたと言えるでしょう。なにせ、2000年代になってから韓国経済を支えてきた2本の「柱」、家計債務と中国経済で、ともに構造的な問題が発生しています(※これは私の見解で、ソース記事に家計債務関連の内容はありません)。家計債務は再び増加に転じたと言いますが、第1金融件の住宅担保ローン、すなわち韓国の金融機関のローンの中でもっとも良い条件のローンでも、一部は金利7%台に突入しています。政府の介入によりなんとか抑えてきた金利安定が、少しずつ力をうしなっていると言えるでしょう。

 

それもそのはず、『借りやすくするからマンション買ってください』な政策ばかり出しておいて、各金融機関には「社会的責任を果たしてほしい」としながら金利引き上げに圧力をかけていました。こんな政策が長期政策として機能するはずないでしょう。一部の専門家は、いわゆるヨンクルについて「もう耐えるしかありません」と言っています。家計債務は増えるとしても今までのように景気・経済をリードする形にはなれません。中国については、いうまでもありません。まだまだ安米経中(安保は米国、経済は中国)という概念にとらわれているし、サプライチェーン再編においても、その立ち位置はハッキリしていません。この状態で政権交代があれば、どうなるのでしょうか。はてさて。

 

 

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