韓国大統領室、日米韓首脳会談の『安保協力強化』について「いかなる新しい義務も課せられない」

日米韓首脳会談が行われ、共同声明も発表されました。個人的な意見ではありますが、映画に喩えると、「面白くない映画ではないけど、予告編が壮大すぎで本編がパッとしなかった」パターンです。米国としては、日米韓の関係において、かなり踏み込んだ『文書化』または『制度化』を望んでいたのではないでしょうか。でも、結果的にそこまで踏み込むことはできなかった、と。決して会談内容がよくなかったという意味ではありません。経済安保各分野でいろいろ話があって、共同声明で中国という国名もちゃんと入れることができました。

でも、事前に「画期的なものになる」「ベースアップになる」という発言がいろいろ出ていたので、ちょっと。どれだけ趣旨を具現化できるのか、そして継続できるのか。そこがこれからのポイントになるでしょう。さて、朝鮮日報はウィソンラク元・駐ロシア韓国大使の言葉を引用して「日韓関係を韓国主導で管理できるようになり、国際的地位が上がった」としています。具体的にどういうことかは書いてありませんし、さっそく中露側をもっと意識すべきだとも言っていますが、なぜこの人の発言を記事の「題」にしたのでしょうか。これまた『立場』的なものでしょうか。

 

逆の立場のハンギョレ新聞は、ホワイトハウス側の「3カ国協力を『lock in』する」という発言について、「制度化し、各国で政権が変わっても、これを不可逆なものにするという意味だ」としています。いまのところ、ハンギョレ新聞と同じ趣旨を話す専門家が多い気がします(全部確認したわけではありませんが)。韓国だけでなく、日本、米国(トランプ政権は、バイデン政権に比べて同盟メインではなかったなどで)での政権交代を意識しての、『制度化』が必要だった、というのです。そのための何よりの『Lock』が、日米韓首脳会談の定例化である、と。こうして考えると、米国側は次の選挙まで考えて、このタイミングで日米韓国首脳会談をセッティングしたと見ることもできるでしょう。

 

ただ、先も書きましたが、経済安保、特に安保面において、予告編で見せていた壮大なスペース・オペラには及ばなかった・・と、私は見ています。なにせ、これもハンギョレ新聞の記事ですが、大統領室関係者は「3国で情報を共有する必要があるのかどうか判断するのは、それぞれの国だ。たとえば、私たちが必要ないと思う案件では、日米と情報を共有する必要はない」と話しています。昨日紹介したばかりですが、首脳会談前から、すでに韓国大統領室のキムテヒョン国家安保室1次長は、「3国共助は、いままでに比べ、インド太平洋まで範囲を広げることになるだろう」としながらも、「ただ、安保面においては、お互いに協議するというだけであり、お互いに守る義務を持つわけでもなく、集団同盟になるわけでもない」と話しています。その延長線上のもの、でしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・軍事安全保障・経済通商・サイバー分野のリスクが、3国共助に乗り出す根拠となる。大統領室のハイレベル関係者は記者たちと会い、「(※今回の日米韓首脳会談で文書化する内容は)三国が、『私たちの利益と直結する案件だ』と考えたとき、情報を交換することができ、メッセージを調整し、共同対応方案を設けることができるという文書だ」とし「別に発表する理由は、日米韓でこのような問題を消極的に処理してきたため、今後は緊密かつ積極的に議論しながら、必要なことは解決していこう、という趣旨だ」と線を引いた。

しかし、当該公約は事実上の準同盟に次ぐ3国集団安保体制に行く足場だと考えられる可能性も大きい。大統領室関係者はこのような懸念について、「既存の日米同盟、韓米同盟条約と衝突することは無い」とし「いかなる新しい国際法的義務も課せられない」と強調した。この関係者は、「三国の中で特定の国が特定の域内で発生する政治・経済、あるいはサイバー・軍事リスクを、「我が国ではこれがリスクではないから、情報共有しない」と考えれば、そうしていいのだ。 3カ国が同時に「これは私たちにとって重要な安全保障リスクだ」と言ったとき、情報共有しながらメッセージ調整を始めるという意味だだ」と説明した(ハンギョレ新聞)・・>>

 

 

おかげさまで、新刊「韓国人として生まれ、日本人として生きる」が発売中(2023年7月29日発売)です!2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」を受け入れ、その連続性を大事にしながらも、「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。「両国間の架け橋になりたい」などと全然思っていない理由は何か。『日本人』として初めて韓国を訪れたときの感想をメインにして、一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。新刊・準新刊紹介エントリーもぜひ御覧ください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年7月29日)からですが、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。帰化した人たちがよく口にする「両国間の架け橋になりたい」などの言葉について、私はなぜ「そんなつもりはありません」としか思っていないのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・新刊は、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。