大統領室「日韓は同盟ではありません。安保協力といっても、情報共有のことです」

日米韓首脳会談の直前から直後(17日~19日)、韓国側からは大統領室、与党、各メディア(聯合ニュースなど)ともに、「『Commitment to Consult』は準同盟ではない」という見解が相次ぎました。本ブログでも何度か取り上げましたが、これは、有事の際、3国は協議(consult)する義務を持つ、という内容です。日韓の間で協議義務を設定することで、3国間の安保協力を底上げさせる、となっています。でも、個人的に、すでに日米と米韓はすでに同盟関係なので、現状でも事実上の協議はなにかの形で発生するのではないか、とも思っています。もちろん、何かの形で『文書化』しておく、という意味はあるでしょう。

実際はどうであれ、主に海外の一部のメディアはこれを「準同盟関係になる」と評価していますが、大統領室から与党まで、そうではない、と強調してきました。大統領室のキムテヒョン国家安保室1次長は、首脳会談の前から「3国共助は、いままでに比べ、インド太平洋まで範囲を広げることになるだろう」としながらも、「安保面においては、お互いに協議するというだけであり、お互いに守る義務を持つわけでもなく、集団同盟になるわけでもない」と言い切りました。

 

同じ趣旨の発言は各紙の記事に載っていて、ハンギョレ新聞の取材に「大統領室ハイレベル」関係者も、「いかなる新しい国際法的義務も課せられない」、「三国の中で特定の国が、特定の域内で発生する政治・経済、あるいはサイバー・軍事リスクを、『我が国ではこれがリスクではないから、情報共有しない』と考えれば、そうしていいのだ。 3カ国が同時に『これは私たちにとって重要な安全保障リスクだ』と言ったとき、情報共有しながらメッセージ調整を始めるという意味だ」と話しました。また、ニューシースの記事によると、別の関係者も「日米、米韓は同盟関係だが、日韓はそんな関係ではない」としながら、次のように話しました。また、聯合ニュースも、「今回の首脳会談は、『今出来ることはこれくらいだ』を示しただけで、それ以上は難しい」という専門家の見解を載せました。以下、各紙、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・3国協力体が「準安保同盟」水準だという観測について、「米韓、日米は同盟であり、日韓はそんな関係ではない」と明らかにした。大統領室の関係者は、ユン大統領の米国出国前に龍山(ヨンサン)庁舎で取材陣と会って、「同盟というのは、相互防衛のことだが、韓日はそのような関係ではない」と話した。続いて「日米韓国安保協力とは、あくまで特定のリスクに対して、必要な情報を共有し、自己安全保障に直結する問題だと合意できた際に行う、三角安保協力体のことだ」と強調した(ニューシース)・・>>

 

<<・・相互防衛条約は、条約締結国のうち一方が他国の有事の際、他の条約締結国が何の条件もなく介入することを原則とする。それに比べて(※今回の首脳会談での)「三者公約」は、「各自の利益に直結すると考える時」という条件が付くという点でも、同盟と比べられるものではない。「三者公約」には、この公約が米韓相互防衛条約と日米安全保障条約を代替またはそれらと衝突する、国際法または国内法上の権利または義務を創設しないと明記している。有事の際に三国が協議して共同対応することを追求しながらも、既存の米韓・日米同盟はそのまま維持し、新たな義務・権利関係を設定しないという意味だ・・

・・キム・ドゥスン韓国国防研究院(KIDA)責任研究委員は、「政府も、日米韓安保協力強化には同意するが、日本との同盟までは現実的に考えていないだろう」と話した。パク・ウォンゴン梨花女子大学教授も、日韓同盟は不可能だとし、「そのため、三国公約は日米韓が現在の状況でできる安保協力の最大値がこの程度の水準だという点を示すもの」とした(聯合ニュース)・・>>

 

韓国の方からこれを言ってくれると、私としては「そうそう、そうですよね」と評価したくもなりますが・・大統領室からすると、この反応はどうでしょうか。首脳会談の直後から、ここまで何度も繰り返して「準同盟ではない」と強調する必要があるのでしょうか。まるで、自分で自分の参加した会議の実績を評価下げしているようにも見えます。別の国を意識してか、それとも国内世論を意識してのことか、その両方か・・といったところでしょうか。

 

 

おかげさまで、新刊「韓国人として生まれ、日本人として生きる」が発売中(2023年7月29日発売)です!2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」を受け入れ、その連続性を大事にしながらも、「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。「両国間の架け橋になりたい」などと全然思っていない理由は何か。『日本人』として初めて韓国を訪れたときの感想をメインにして、一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。新刊・準新刊紹介エントリーもぜひ御覧ください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年7月29日)からですが、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。帰化した人たちがよく口にする「両国間の架け橋になりたい」などの言葉について、私はなぜ「そんなつもりはありません」としか思っていないのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・新刊は、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。