なんか、経済・景気関連の記事が増えました。それもそのはず、今月になってからあまりハッピーじゃないデータがいろいろ出てきました。雇用倍率(韓国では雇用倍数と言いますが)が5月時点で0.37でした。2024年、事業者の廃業数が、初めて100万件を超えた、というニュースもありました。いままでは「廃業100万」といっても、98万件あたりの数字を便宜上そう言っていただけなのに、2024年には本当に100万を超えたそうです。1995年からこの統計を集計していますが、はじめてのことだ、とも。また、ソース記事でもある韓国日報の(ソース記事と、引用はしませんが別の記事での)報道によると、非賃金労働者が2023年基準で862万人になった、とのことです。単純計算で就業者の約30%になります。
韓国の経済活動参加人口が約2800万人だとされているので、かなりの数です。いわゆるフリーランスが非賃金労働者にあたいしますので、副業でやっているだけの人もいるし、うまくいく人もいるでしょうけど、問題はそこではありません。記事によると、実際はただの社員なのに、フリーランス契約ということになっている人が多いとのことでして。なぜなら、「社員」の場合、会社側が各種社会保険の一部を負担することになりますが、フリーランスとの契約なら、その必要がないからです。記事によると、事実上、社員と同じ働きをするのに、各種社会保険は無しの状態である、とのことでして。このようにいろいろとデータが出揃ったところ、韓国日報が「『IMF』(IMF管理下だった期間)のあと、変わっていない」としながら、頭囲jを振り返る記事を載せました。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・もっとも大きなの経済難とされている、1997年の『外替危機』(※いわゆる「IMF」)は、その年1月、財界順位14位だったハンボ・グループの不渡りで触発された。政・管に対して全方位ロビーで6兆ウォンに迫る不法融資を受けて成長したハンボグループが倒れたことで、金融圏は大きな影響を受けるしかなかった。政治家と高位公職者、銀行長らが賄賂収容の疑いなどで相次いで逮捕されたが、ジョンテス ハンボグループ会長は、国会のハンボ関連聴聞会に出席し、「追加で融資だけもらえたら、不渡りなんかにはなかった」と最後まで大声を上げた。「3,000億ウォンを追加投入したとしても、2ヶ月しか耐えられなかっただろう」というハンボ関係者の陳述に対して、会長は「資金の流れは主人である私が知っている。モスム(※下男)にそれがわかるわけないだろうが」と叫んだ。自分は主人、職員はモスムという彼の認識、に少なくない国民が憤怒した。
予告なしに迫った危機で、モスムの皆さんは大きな対価を払った。整理解雇制が導入され失業率が一気に8.7%まで上昇した。 40代中・長年層が特に大きな影響を受け、家計の経済は崩れ、失職者が自営業に追い込まれ、2002年の自営業者数は史上最高(621万人)を記録した。過剰競争で自営業の廃業率が高まり・・・・労働者派遣制が拡大し、雇用不安は日常化し・・・・非正規職の割合が50%に迫った。外国為替危機を前後して青少年期を過ごした、いわゆる「IMF世代」は、激しい競争の中を生きたにもかかわらず、安定した未来を約束するのは難しく、「88万ウォン世代」になった。
家の購入も結婚も出産も諦める「Nポ世代」になった(※~を諦めた、すなわち「ポギ」したという意味で、最初は3ポ世代と呼ばれていましたが、それから5ポ世代、7ポ世代と諦めるものがどんどん増えて、いまは多くのものを諦めたという意味のNポ世代という呼び方が一般的です)。それ以来、国の富は大きくなったが、良くなったことは無い。働きたくても仕事がない時代が続いている。求職者1人当たりの働き口の数である求人倍数は、外国為替危機以後最低水準(0.37)になった。青年80万人が求職をあきらめて「ただ休んだ」という。
一方、60歳以上は休めない。就業者が700万人を突破した。高齢貧困率が40%に迫るためだ。法の保護さえも正しく受けられない。プラットフォーム労働者・フリーランスなど、勤労基準法・4大保険(※国民年金、健康保険、雇用保険、産業災害保険)の適用が受けられない非賃金労働者が就業者の30%(862万人)を超えた・・・・結局、限られた働き口を、どのように分けてより多くの雇用を作るかが核心だ。世代間公平性問題が核心である。定年延長問題は年金制度とは別に考えることができない。技術革新と産業構造の再編も労働市場の再調整なしでは不可能である(韓国日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。