習近平主席が、G20サミット不参加するというニュースが流れました。場所がインドだから、というのもありますが、やはり米国及びG7陣営を避けるためではないのか、国内問題もかなり大きいし、などと言われています。BRICSには参加したものの、これといって成果はなかった中国。9月2日、中国が「日中韓首脳会談での韓国の役割を支持する」とし、日中韓首脳会談を開催するようにユン政権を圧迫したのではないか、との分析をお伝えしましたが、それもまた、G20はなんとかスルーして、もう少し自分側に有利な場を作るための動きかもしれません。日中韓首脳会談そのものがまだまだ未確定なので、まだなんとも言えませんが。
さて、この件、個人的に気になるのは、韓国メディアの「米中対立」に関する見解です。前にも同じ趣旨を書いたことがありますが、全てのメディアではないものの、かなりの数のメディアが、米中対立はすでに過ぎた、米国が中国に和解を申し込んだ、長官クラスの相次ぐ訪中がその証拠だ、デカップリングではなくデリスキングという言葉を使うようになった、そんな論調の記事を出しています。これは、「ユン政権が米国側に完全に舵をきったけど、それから米国は一歩下がった。いまからでも、ユン政権も一歩下がるべきだ」、そんな主張のための論拠になっています。
一部の専門家は、「訪中したハイレベルたちから、既存路線から外れる発言はなかった」、「デリスキングというのは、ちゃんとしたルールに基づいて対立しようという意味であり、決して対立終了を意味するものではない」などと指摘していますが、まだまだ多くの韓国メディアは、スタンスを変えないでいます。「経済安保」を、単に「経済と安保」としか見ず、どうしても経済と安保(中国と米国)を分けて考え、その両方を手に入れようとする考えが、このような無理のある主張を生み出しているわけです。今回、習近平主席がG20に参加しないことについても、ちゃんと『G7側と対面する準備が出来ていない』と伝えるメディアもありますが、多くのメディアは「場所がインドだからだろう」「11月のAPEC首脳会議で米中首脳会談するだろう。バイデン大統領も『会う』と言ってるよ?」としか報じていません。
今回の件がインドと中国の対立に与える影響について指摘するメディアもそうありませんし、中国内部の問題が今回の不参加の一つの理由だと指摘するメディアも、そうありません。政府から民間まで、韓国では中国の不動産など内部問題を「韓国には大きな影響は無い」としているから、でしょうか。ソース記事は朝鮮日報で、この記事は中国内部の問題などについてちゃんと書いています。しかし、「関係者」の言葉を簡単に述べるだけで、そもそも何も決まっていない中韓首脳会談について、「中韓首脳会談の可能性が低くなった」と報じています。重要なのはそこではない気がしますが。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・ロイター通信は、G20首脳会議の主催国であるインド政府関係者と中国駐在外交官など情報筋を引用し、「今回の会議に習近平主席の代わりに李強首相が参加することになるだろう」と伝えた。不参加の理由は知られていない。今回の会議期間にユン大統領が習近平の代わりに出席した総理と会談する可能性は低い。中国の首相は首脳として多国間会議に出席するが、配列は明らかに習近平主席より低いためだ・・・・北京外交情報筋は、「2012年末の執権以後毎年参加したG20に参加しないのは異例」とし「開催国インドとの関係、米中首脳が会う準備ができていない状況、山積した中国内部問題 などが影響を及ぼした可能性がある」と分析した。
習近平主席が会議に参加し、米中首脳会談の時期も延期されることになった。 両国首脳は昨年11月、インドネシアのバリで開かれたG20首脳会議では会った。特に今年6月からトニー・ブリンケン国務長官、ジャネット・イエロン財務長官、ジョン・ケリー特使、ジーナ・レモンド商務長官など米国ハイレベルが相次いで中国を訪れ、米中首脳が会う時期が近づいたという分析が出た。 ただし、両国はG20サミットでの首脳会談については、事前にあまり話し合わなかったことも分かった(朝鮮日報)・・>>
余談ですが、ロシアのプーチン大統領も参加しない、とのことです。ある意味、とても分かりやすい構図です。こっちか、あっちか、と。それでも、多くのメディアは「米中対立は~デリスキング~」という主張をやめないでしょうけど。
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