IMO(国際海事機関)「処理水海洋放流は海洋投棄ではありません。ロンドン条約的に問題ありません」

最近、共に民主党の李在明(イジェミョン)代表が、海洋投棄を防止するための「ロンドン条約」加盟国88カ国に書簡を送り、日本の処理水放流にロンドン条約を適用すべきだと主張しました。前例もある、と。しかし、各政府機関及び専門家たちは、「国際海事機関IMOは、すでにその件について『海洋放流は海洋投棄ではない』というスタンスを決めている」と主張していました。いわば、IMOとしてはすでに終わった問題なのに、いまそのような書簡を送る理由は何なのか、というのです。中央日報がこの件をまとめたので、今日、エントリーしたいと思います。ちなみに、イ代表が主張した「前例」というのも無かった、とのことです。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・イジェミョン「共に民主党」代表は、4日、ロンドン条約とロンドン議定書に加入した88カ国に海洋放流関連で、いわゆる「親書」を送った。しかし、国際海事機構(IMO)はすでに、「放流行為はロンドン議定書でいう投棄 (dumping)と見ることは難しい(※海洋放流はdisposal)」など内容の法律検討を終えたことが分かった。 国際法学界では、すでに議論がある程度終わった事案なのに、国際機関にこのような書簡を送って得られる実益は何だ、という質問につながる・・

 

・・当時(※去年10月)IMOは、本件に対して法律検討を始めた。パク・ソンフン海洋水産部次官は4日、メディアブリーフィングで「当時、加盟国の間で、本件をロンドン議定書システムの中で議論すべきかどうかについて議論があったが、IMOは『当事国の全権事項』とまとめ、副次的に『投棄ではない』という立場を出した」と説明した・・・・「IMOは「日本の海底トンネルが人工海洋構造物でもなく、放流も海に向けた処理行為に該当しない」という意見を出したわけだ。イ代表はロンドン条約・議定書加盟国88カ国に送った、いわゆる「親書」で、「(昨年)事務局のロンドン議定書適用に対する法律意見書で摘示されたように、ロンドン議定書の解釈は締約国の固有の権限であり、ロンドン議定書を 広範囲に適用した前例がある」と記した・・

 

・・しかし、イ代表が言及したIMO意見書は、代表の主張とは異なり、「ロンドン議定書を広範囲に適用した前例がある」としたことがない。IMOは過去スペイン代表団の主張を取り上げ、「過去にはロンドン条約・議定書の広範な適用が『考慮』されたことがある」とし「だがこれは国連海洋法協約の一般的な解釈規則と矛盾する」と指摘した。さらに、日本が現時点で放流するようになった背景を考えなければならないという指摘もある。実際、日本は2011年3月、『合法的に』投棄することもできた、ということだ。ロンドン条約5条は、「人間の健康に関連して受け入れられないリスクを引き起こし、他に実行可能な解決策がない緊急時」には、特別許可証を発行して投棄できるようにしているからだ。

 

しかし、当時国際社会では日本の迅速な災難克服を優先視したが、特別許可証を通じた日本の「合法的投棄」は手続き的な問題で時間がかかるし、海洋環境に及ぼす影響も懸念される状況だった。 それで、投棄を迂回する「放流」なども考慮可能な選択として浮上したが、日本は自国民と自国海域、隣接国海域に及ぼす影響を正確に評価できないという判断の下、まずは保管することに決めた。半減期と今後なされる処理技術の開発などを念頭に置いた措置だった。すでに当時、国際法的な議論はある程度終わったという学界の意見が出てくるわけだ(中央日報)・・>>

 

去年のIMOの判断は、IAEAのように「科学的に安全なのか」を判断するためのものとは方向性が異なり、条約上の内容として問題があるのかと見るものでした。結果、「陸からしかアクセスできない施設で、ちゃんとパイプを作って海洋放流することは、ロンドン条約でいう人工海洋構造物からの投棄ではない」、としました。これをロンドン条約に含めると、世界中の原発が全部ひっかかるでしょう。どこかから指令でもあったのでしょうか。結果に関係なく、何かの「ノルマ」のために書簡を送った、とか。ちなみに、中央日報はイ代表側が書簡を「親書」としていることについて、「普通、大統領の書簡でないとそうは言わない」ともしています。ちなみにイ代表は最近ハンスト中ですが、夕方には警護を理由に別の建物の室内に入ることになっており、与党側からは「出退勤しながらハンストする人は初めて見た」という反応も出ています。

 

 

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