建設現場、35%が違法下請・・もっとも多いのは「登録もしていない」会社への下請け

本ブログでも何度か取り上げましたが、2~3ヶ月前から、韓国では鉄筋不足工事が大きな話題になりました。住宅公社が発注した工事だけでも多くの鉄筋不足が見つかり、「骨なしチキン」にちなんで「骨なしマンション」という言葉が流行ったりしました。「住宅公社(LH)発注によるマンション団地工事」、しかも「無梁版構造の地下駐車場の柱の部分」だけ、マンション団地91箇所を調べたところ、15箇所の団地から鉄筋が不足している、というデータが特に話題だったと記憶しています。154本ある柱の全てに補強鉄筋が入ってないところもありました。

拙著や本ブログでは、ちょうど去年~今年にかけて、家計債務など民間債務(韓国の場合、家計債務に自営業債務はカウントしません)による経済成長などを集中的に取り上げてきました。そして、その中心にもマンションがあったし、その結果として出来上がった「マンションを買う以外、身分上昇の道はない」とする社会現象にも、プロジェクト・ファイナンスの影にも、常にマンションがありました。そんなことなどなどを取り上げてきただけあって、「そこまでして買ったのが、この骨なしチキンか」と思うと、もはやどんなリアクションをとればいいのか、分からなくなります。

 

今日もそれと関連したニュースですが、下都給(下請け)関連です。政府(国土交通部)が全国の建設現場を508か所を調査したところ、主に、該当の仕事をする資格を持っていない、特に、登録すらしていない会社に「破格の安さで下請け仕事を任せる」などの理由で、35%の現場で違法の下請けがありました。現場の数で179か所、249社、333件となります。事前にちょっと疑わしいところを調べたとはいえ、いくらなんでも多すぎないか、と聯合ニュースなど大手も記事を載せています。特に、再下都給に関する問題も多く、破格の安さで仕事を受けて(元請けから下請け仕事を受けて)、それをさらに破格の安さで下請けに任せる(下請けが下請けに仕事を任せる)案件も問題になっています。元請けから下請けの仕事を得た会社は、特定の条件を満たしていないかぎり、さらに下請け仕事を任せることはできません。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・国土交通部は20日、建設現場の不法下請け集中取り締まりの結果とともに、対策方案を発表した(※引用部分に対策関連はありませんが、関連法案を強化するという内容です)。国土部は手抜き工事の主な原因の一つである不法下請けの取り締まりに、5月23日から8月30日まで「100日集中取り締まり」を実施した。労務費支給率、電子カード発行率が低い工事現場など不法下請けが疑われる現場508カ所を調査した。その結果、179の現場で249社の不法下請け333件が摘発された。現場10カ所のうち3カ所以上(35.2%)で起きたのだ。摘発された企業は元請け156社と、下請け93社だ。

無資格者・無登録者に下請けを与えた場合が221件(66.4%)で最も多く、下請業者が再び下請を与えた場合が111件(33.3%)だった。建設産業基本法によると、下請業者は下請けを受けた工事を、再び下請けに出すことはできない。発注者や受給人(施工社)の書面承諾を受けるなど、特定の要件を備える場合には可能である。無資格者よりも、無登録者に下請けを与えた場合が多く、特に、下請け会社が与えた不法「再・下請け」の97.6%は無登録者へのものだった・・・・今回の集中取り締まりでは不法下請け以外にも賃金を不適切に支給した116の建設現場が確認された。 施工チーム長や人材紹介所が、チームメンバーの給料を一括受領した場合などだ(聯合ニュース)・・>>

 

骨なしかと思ったら、登録無しだったでござる・・といったところです。社会的成功のための最後の「ハシゴ」とされているマンションですが・・まさかそのハシゴが手抜き工事だったとは。あと、個人的に気になったのが最後の部分ですが・・普通に一括で受けてちゃんと配るなら問題ないですが・・どうもそうは思えません。「上の立場の人たちは、上なりに上下関係が出来上がり、下の立場の人たちはその上下関係を問題視しながらも、下は下なりの上下関係を作る」。その典型例とされる場合が多いと聞いています。また、秘密(不法の件)を守るため、わざと一定分の賃金を未払い(チーム員にちゃんと渡さない)にしておくという話も聞いたことがありますが・・個人ブログだったので、「そういう話もあった」レベルの話です。ソース記事に書いてあるわけではありません。

 

 

おかげさまで、新刊「韓国人として生まれ、日本人として生きる」が発売中(2023年7月29日発売)です!2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」を受け入れ、その連続性を大事にしながらも、「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。「両国間の架け橋になりたい」などと全然思っていない理由は何か。『日本人』として初めて韓国を訪れたときの感想をメインにして、一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。新刊・準新刊紹介エントリーもぜひ御覧ください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年7月29日)からですが、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。帰化した人たちがよく口にする「両国間の架け橋になりたい」などの言葉について、私はなぜ「そんなつもりはありません」としか思っていないのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・新刊は、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。