韓国、超高齢社会への対策は・・有料老人ホームの数、日本の 0.2%

高齢者問題に関して、また、合計出生率、すなわち少子化問題についても、積極的に記事を載せている朝鮮日報。今回はちょっと異なるベクトルではありますが、『シニアタウン』についての記事がありました(韓国語版日本語版)。もとは14日の記事ですが、日本語版が今日ネット公開されたこともあるし、エントリーしてみます。記事によると、日本の有料老人ホームは16,724カ所(入居者63万4395人)なのに対し、韓国の場合は全国に39カ所しかなく、全部合わせて(単位は「世帯」ですが)8840世帯分しかない、とのことでして。高齢化社会に進入したのは日本が先でですが、そういうところまで考えても、インフラがあまりにも足りない、と。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・昨年基準、国内シニアタウン(※日本で言う有料老人ホーム)は全国39カ所、8840世帯規模に過ぎない。私たちより先に超高齢社会に進入した隣の日本の場合、韓国のシニアタウンに該当する有料老人ホームが現在1万6724カ所、入居者は63万4395人であり、それと比べると0.2%にもならない水準だ。 日本の65歳以上の高齢層(約3600万人)が韓国(927万人)より多いことを考えても、実に少ない数字だ・・

 

・・シニアタウンをめぐる状況は、全世界で高齢化速度が最も速い韓国が、これに対する準備があまりにも足りないという証拠でもある。2025年、韓国で65歳以上の人口は初めて1000万人を突破して超高齢社会(高齢人口比率20%以上)に進入すると予想される。高齢社会から超高齢社会に到達するのにかかる期間は、英国50年、米国15年、日本10年だが、韓国は7年だった。高齢人口が急増しているが、彼らからすると、「子どもに負担を与えず、自由に老年を送ることができるところを見つけることができない」という声が出てくるわけだ。専門家たちは、「これまで政府政策は、挙動が不便な高齢者に集中していたので、民間レベルのシニアタウンに対する関心そのものが弱かった」と指摘する(朝鮮日報)・・>>

 

日本語記事には0.2%、韓国語記事には2%となっていますが、多分、「箇所」の対比だと思われるので、0.2%にしました。さて、体が不自由とされる高齢者(65歳以上)が利用する施設として、療養院、療養病院などがあるけど、長期療養が必要だと判断されないと、入ることができません。民間が主導する老人ホーム、韓国で言う「シニアタウン」の必要性は、結構前から指摘されていますが、韓国の状況からして、まず大企業でもないと無理(土地と建物すべての権利を所有する業者が、自分で運営しないといけない)だと言われています。ちなみに、朝鮮日報の他の関連記事によると、米国の場合はCRCCとされる超大型のシニアタウンが各地にあって、約70万人が利用しているそうです。日本の有料老人ホームの場合も、最初は高いというイメージがあったけど、最近は72万5000円まで平均価格が下がっている、とも。

 

さて、ここからは、記事に書いてあるわけではありませんが・・そもそも、有料ホーム施設に入る資金を持っている高齢者が少ないので、すなわち事業の将来性や拡張性(?)などの問題で、インフラが増えないでいるのではないか、高齢化(人数)の問題ではない、そんな声もあります。高齢者貧困率がここまで高いのが、その論拠になるのではないか、と。これもまた、旧ブログ時代からずっと書いている内容ですが、『借りにも敬老の国といいながら、高齢者貧困でOECDワースト』たる現実。ブログでダンボール拾いの高齢者たちについて書いたところ、当時はまだ日本と韓国の間の観光旅行が話題になる前だったこともあり、コメント欄では「まさか」な反応が結構多かったことを覚えています。

大手の中でこの件をもっとも積極的に取り上げているのも、朝鮮日報です。2020年にも、統計庁とOECDのデータなどをもとに、高齢者の総体的貧困率が43.4%(同じデータで米国23.1%、19.6%)という記事を載せ、ネットで話題になったりしました。知っている人にとってはさほど目新しいデータでもありませんが、それでもまだ知らなかった、または知らないことにすると決めた人たちも多かったみたいで。他にも、単身世帯の高齢者の場合、その72%が貧困層とされるなどの記事が確認できます。はてさて、1980~1990年代、「親の面倒は子がみるものだ」という考えだけを強調し、福祉関連の制度・インフラ整備が大いに遅れたこともありますが・・そういうパターンがまた繰り返されるのでしょうか。

 

 

おかげさまで、新刊「韓国人として生まれ、日本人として生きる」が発売中(2023年7月29日発売)です!2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」を受け入れ、その連続性を大事にしながらも、「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。「両国間の架け橋になりたい」などと全然思っていない理由は何か。『日本人』として初めて韓国を訪れたときの感想をメインにして、一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。新刊・準新刊紹介エントリーもぜひ御覧ください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

 ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2023年7月29日)からですが、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。「韓国人として生まれた」より「日本人として生きる」を上位の概念にしたのはなぜか。なぜ名前を変えなかったのか。帰化した人たちがよく口にする「両国間の架け橋になりたい」などの言葉について、私はなぜ「そんなつもりはありません」としか思っていないのか。一つ一つ、自分なりの持論を綴りました。 ・新刊は、<韓国の借金経済(扶桑社新書)>です。本書は経済専門書ではありませんが、家計債務問題の現状を現すデータとともに、「なぜ、マンションを買えば貴族になれるのか」たる社会心理を、自分なりに考察した本です。帰化を進めている私の率直な気持ちを書いた<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。