先生、なぜ電気料金が安いと企業の短期借入金が増えるのですか?

去年から、韓国各メディアから「ブラックホール」とされてきた、「ハンジョンチェ(韓電債)」問題。その影響が、各企業の短期借入金急増という結果で現れています。まず、ソース記事にハンジョンチェ関連内容はありません。本エントリーは、「高金利」とほぼ同じくらい、ハンジョンチェも影響を及ぼしたのではないか、そんな個人的な見解によるもので、一応ソース記事も引用しますが、それは短期借入金関連データの引用であり、ハンジョンチェ関連の話は載っていません。

電気料金を安くするため、事実上の唯一の電力会社である韓国電力公社は赤字で電気を販売しました。韓国電力公社は最大の公企業で、発電部門は6社の子会社に分割されているものの、配電部門においてはいまだ1社体制です。導入予定だった価格入札制度(PBP)もまだ未定のままで、変動費反映市場(Cost Based Pool、CBP)で運用されています。

いわば、価格競争が存在しない韓国の電気市場。その中でずっと安い電気料金で電気を供給していましたが、累積する赤字が大きくなりました。その分をなんとかするため、電力公社は社債の発行を大幅に増やしました。これを韓電債、ハンジョンチェと言います。去年、約6%金利で30兆ウォン発行された、と言われています。その結果、9月30日マネートゥデイの記事によると、公社の累積赤字は約50兆ウォン、債務は約200兆ウォンです。政府保証がついているため、市場では「金利の高い国債」とされているハンジョンチェ。

 

債券に投資する人たちは、これを優先的に選びます。しかし、他の会社の社債は、その分、売れなくなります。高金利及び経済沈滞の中、各企業は、社債による資金調達がさらに難しくなったわけです。それからしばらくこのハンジョンチェ関連記事はさほど話題になりませんでしたが、社債関連で、その影響が出てきました。債券発行に失敗した各企業が、金融機関からの短期借入金を急激に増やしたわけです。こういうのは金額より「割合」が重要な気がしますが、金融部門以外の各企業の債券・借入金のうち、23.49%が短期借入金でした。ソース記事の韓国経済によると、これはリーマン・ブラザーズ事態などで世界金融市場が揺れていた2008年の韓国企業短期借入金とほぼ同じ水準です。日本の場合、短期借入金は1.27%にすぎない、とも。電気料金を安くしたら企業の短期借入金が増えたでござる現象、<<~>>で引用してみます(繰り返しになりますが、ソース記事にハンジョンチェ関連の内容はありません)。

 

<<・・企業の短期資金需要が急増し、全体借入金のうち、1年以内に返済すべき短期借入金の割合がグローバル金融危機水準に迫っている。17日、韓国銀行資金循環表によると、6月末基準企業(非金融法人)の債権と借入金は総2561兆9920億ウォンだ。このうち短期借入金が601兆8310億ウォンで23.49%だ。昨年6月末の22.44%から1%ポイントほど高くなった。グローバル金融危機で資金難が広がった2008年末の23.89%以降、15年ぶりに最も高い。韓国と経済規模が類似したイタリア(20.98%)より高い水準である。日本の場合、短期借入金の割合は1.27%にとどまる。

 

企業の短期借入金が増えたのは高金利の影響だ。韓銀の基準金利引き上げで社債発行が難しくなったからで、相当数の企業が短期資金融資に頼るしかなかったと把握される。韓銀によると、社債純発行額は4月から9月まで6ヶ月連続マイナスだった。この期間の累積純発行額はマイナス7兆6970億ウォンだった・・・・借入金の返済のため有償増資を行う企業も少なくない。 最近、大規模有償増資をしたSKイノベーションやCJ CGVなどが代表的だ。SKイノベーションは有償増資代金1兆1500億ウォンのうち3156億ウォンを債務返済に使うことにした。CJ CGVも現物出資を差し引いた現金有償増資額約4100億ウォンのうち、約2200億ウォンを借金返済に使う計画だ。

それでも有償増資が可能であればまだ幸いだ。問題は、稼ぐお金で利息返済もままならない限界企業が多いという点だ。韓銀が昨年末、外部監査企業2万5135カ所を調査したことによると、限界企業が3903カ所に達した。特に7年以上の長期限界企業は903カ所であり、これら企業の借金だけで50兆ウォンを超えた。景気が低迷した中で高金利が続くと、限界企業の中で流動性危機に陥るところが連鎖的に出てくる。 この場合、金融不安が大きくなる。韓国経済人協会は「借入金の増加で韓銀が基準金利を0.25%ポイントだけ引き上げても、多くの企業が利子費用を負担できなくなる可能性がある」と明らかにした(韓国経済)・・>> 明日は、1日更新を休むことになりました。次の更新は、20日(金曜日)11時頃になります。

 

 

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