韓国財閥グループ出身経営者「日本は、中国に積極的に進出しなかった。結果、それは正解だった」

三越京城支店として1930年代にスタートした、韓国デパート最大手「新世界(シンセギェ)」。その会長出身であるク・ハクショ氏が、日本・韓国企業の中国進出について寄稿文を載せました。東亜日報系列「新東亜」です。1980年代に日本に滞在したこと、それからサムスン電子に復帰して(新世界はサムスングループでした)中国関連の仕事をした経験などを背景にしていますが、結論から書きますと、いま韓国経済は『産業構造的に、離れることができないほど中国経済と結びついている(原文ママ)』のが大きな問題ですが、日本はそうではない。日本企業が積極的に中国に進出しなかったことは、結果的に正解だった、というのです。

当時から、詳しくは初期にいくつかの企業が中国に進出してその実態に気づいてからは、日本は中国進出にものすごく慎重だった、と。それから、韓国企業は競争的に中国市場に進出したけど、日本はそれとは明らかに異なるスタンスで、それは技術流出をはじめ、いまの構造的な問題を作りました。結果的にそれは日本経済に良い影響となり、日本経済は韓国とは異なる状況になっていて、最近の各社の半導体工場新設、経済関連指標の好調なども、当時から中国進出に慎重だったことも一因である、とも。それ以外にもいろいろ書いてありますが(納得できる話も、謎の主張もいろいろ)、本エントリーは該当部分だけ<<~>>で引用します。

 

<<・・(※日本は中国に対する多くの研究資料を持っていて、当時から企業の内部保留がすごかったにも関わらず)振り返ってみると、日本はこの時から中国を長期的に「強力な競争相手」として警戒していた。フォルクスワーゲンが中国市場に飛び込んだ時も、トヨタは動かなかった。韓国企業は競争的に中国市場に飛び込んだ。中国にテレビ、冷蔵庫をはじめとする家電製品だけでなく、CRT、コンプレッサーなどの核心部品からメモリ半導体に至るまで様々な工場を建てた。これらの核心部品は工場の設備自体が先端技術を伴う産業であるため、技術流出は時間の問題であった。その結果、韓国は産業構造上、抜け出せないほど中国に結びつくことになった。中国産業近代化の最大の貢献者になってしまったのだ。日本が懸念していた通り、中国は電子製品だけでなく自動車市場でも日本と1~2位を争う競争国となった。韓国の産業化過程で日本が架橋の役割をしたとすれば、中国の産業化の過程には韓国が架橋の役割をしたとも言える。

 

韓国は、米中の間で顔色を気にするだけで、主導的に決定できることは何もない立場だ。中国依存度の低い日本は、米中がどんな決定をしても構わないというスタンスだ・・(※最近の日本経済の好調に関するいくつかの経済指標の話のあとに)・・円安で外国人投資も集まっている。米中が激しく競争し、中国経済リスクの中でも日本経済が生き返るのは、日本が中国に依存しなかったからだ。1980年代初頭の円安好況の時は、1ドル当たり270円を超えることもあったが、1980年代半ばには円高になり、1ドル当たり90円まで円の価値が高まったこともある・・

・・ 急激な円高で最も得た国は韓国だ。その中でも、サムスン電子や現代自動車のように日本企業と競争した輸出企業がそうだ。生産性向上のための努力をしなくても毎年二桁で賃金を引き上げ、成果給をばらまいても、円高で日本が輸出競争力を失ったおかげで韓国の輸出企業が好況を享受した。今は1ドル当たり130~150円水準で円安だが、日本は1ドル当たり90円台の円高を経験した競争力を備えた国だ・・・・流通企業は撤収すればそれでいいかもしれない。しかし、半導体のようなデバイス産業は容易に撤収することもできず、継続的に投資しなければ工場を稼働し続けることもできない。そういう点で、私自身もまた、中国投資にもう少し慎重であるべきだったと後悔している(新東亜)・・>>

 

この内容、韓国ではものすごくレアです。韓国メディアの記事には、まだまだ『経済安保』を『経済』と『安保』の別の概念でしか思わない見解が多く、「米国とは同盟だから、中国での経済活動も別にいいのではないか(友人だからそれくらいいいだろう、というスタンス)」という主張も珍しくありません。なんか、サムスンには超格差技術があるので問題ない、という話も目立ちますが・・はてさて。

最後にちょっとした報告ですが、「韓国人として生まれ、日本人として生きる」の最後の部分でちょっとだけ話しましたが、韓国の国民年金を、全額日本を送金する(国籍変更による一時金返還)こと、やっと完了しました。今回は国民年金公団との国際郵便と暗号化Eメールでなんとかなって、助かりました。領事館で基本証明書(日本で言う戸籍謄本のようなもの)をとってみたら、ちゃんと「国籍喪失」となっていました。当たり前のことなのに、こういうのを見ると、なんというか、実感がわくというか、そんな気持ちになります。あ、そうだ。円安のおかげで予想していたより得しちゃいました。ホルホル。 で、ここからが「重要な」報告ですが、今日の更新はこれだけです。次の更新は、明日の朝11時頃になります。

 

 

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