「子の気を守るために外国製自動車が必要です」・・韓国社会の「所有と存在」は

11月30日、「なんで子の気を抑えるのか」について書いたことがあります。タイムリーというかなんというか、複数のメディアに、同じ趣旨の話が出ていたので、紹介します。結婚はしたものの、意図的に子を産まない人たちがいます。いわゆるディンク(Double Income, No Kids)さんたちです。その人たちを相手に、韓国保健福祉部がセミナーを開催、なんでディンクっているのかを聞きましたが、そこでもっとも出てきたのは『比べられる』ことでした。

ドル(初めての誕生日)に「歩けるのか」から比べられ、学校はどこに入ったのか、職場はどうなったのかまで、全てを比べられるから、自分自身で経験したから、もう自信がなくなったというのです。毎日経済など複数のメディアが報じていますが、そこで出た話の中で印象的なのが、「子の気が折れないようにするために、外国製自動車に乗せて学校に通学させる必要がある」、と。そこまでする、いや「できる」自信がないので、もうディンクります、と。いや、アニメのお嬢様キャラかよ、としか思えない話です。以下、ちょっとだけ<<~>>で引用してみます。

 

<<・・「子どもを学校に乗せて行く時、子どもの気がおれないように無理をしてでも外国製自動車を買うというから、心配だ」、「学校に皆勤する子が『皆勤ゴジ』と呼ばれるものだからもうほかに言うこともない(※これも前に紹介したことがありますが、学校に皆勤する子は『海外旅行できないから』ということで、皆勤するしかないゴジ(モノ◯イ)と言われるそうです)」、「ドルのときに子が歩くことから、学校、職場まで、ずっと比較される」。結婚はするが子供を生まない理由が、時間・経済的余裕はもちろん、無限の競争が繰り広げられる社会の雰囲気のためだという指摘が出た(毎日経済)・・>>

 

このゴジですが、小学生たちの間で当たり前のように広がっている言葉です。皆勤ゴジだけでなく、ジョンゴジ(傳貰に住むゴジ)、ウォルゴジ(月貰、すなわち月々の家賃を払うゴジ)、バンゴジ(半地下ゴジ)、ヴィルゴジ(ヴィラに住むゴジ、ヴィラの本来の意味とは異なり、韓国では小さなアパートなどをヴィラと言います)、エルサ(アナ雪のエルザ、住宅公社LHが安く賃貸するマンションに住むゴジ)、ヒュゴジ、ジュゴジ(同じく政府などが供給するところに住むゴジ)、などなどです。マンションを所有しているとしても、それはそれでまた比較されることでしょう。階数とか、広さとか、価格とか。ソース記事は京畿日報に載っている大学教授の寄稿文ですが、教授はこのことを、哲学者エーリッヒ・フロムの「所有と存在」においての、おもわしくない意味での所有的存在様式そのものだとしています。

 

韓国メディアのこういう『有名人がこう言ったから~』な書き方は好きではありませんが、この場合は主張が本題とよく繋がっています。経済的な富と価値でなにもかも等級を付け、お金と物質、名誉と権力を追求することで、他人を『下』にできると考えているというのは、まさに「存在と所有」の所有にかたよった姿そのものであり、だからこそ、「多く」は持つことができるかもしれないけど、決して「豊か」にはなれないでいる、と。知識においても、「深く」知ろうとせずに、「より多く」知ることだけを求めるから、自分なりの考え、または「理解」なしに、内容そのものを暗記してしまう、などなどです。

それらの社会風潮が、上記のゴジ無双として現れているのではないのか、と。また、指導者を盲目的に信じることもまた似たような流れであるとのことですが、つい一つ前に書いた「陣営論理」とも繋がる気がします。そういえば、「深く知る」が無いという話は、もはや恒例行事になっているノーベル賞関連とも繋がっていると言えなくもないでしょう。私の場合、このような風潮を、『疲れる』と書いてきました。所有とか存在とかの難しい言葉はよく分かりませんが、その中にいると、ゴジで・・いや、マジで疲れます。申し訳ございませんが、今日と明日は1回更新と致します。次の更新は、明日(10日)の11時頃になります。

 

 

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