韓国の年金事情、データまとめ・・18~29歳の約4割が何の年金にも加入せず、55~79歳の約5割は何の年金も受領せず

最近、ソウル市の独自調査ではありますが、青年貧困問題、そしてOECD発表の老人貧困問題を相次いで取り上げました。似たような問題として、今日は「年金はどうなっているのか」を、既存の情報と新しい情報をまとめて紹介したいと思います。まず新しい情報のほうですが、毎日経済(10月26日)によると、若い層(18歳~29歳)の約39%が、何の年金にも加入していません。国民年金はもちろん、何の私的年金システムにも加入していない、とのことでして。

韓国の国民年金加入が義務になったのは1999年です。よって、30代~50代では年金加入率などがずっと上がっていました(義務になったのが1999年からなので、加入率が上がって当たり前です)。しかし、最近の18歳~29歳を調べたところ、国民年金そのものに対する不安と、ちゃんとした仕事ができなかったなどの理由で、『何の年金にも』、すなわち国民年金、職場による加入や私的に加入した年金などもない人が39%になっています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・若者の年金準備不足だ。18~29歳747万人のうち、国民年金、退職年金など1つ以上の年金に加入した人は456万人で61.1%にとどまった。290万人一つの年金も準備できないでいる状況だ。就職年齢がますます遅くなり、時間制パートタイム雇用を好む若者層が増えたためだと思われる(※記事は「好む」となっていますが、果たしてそういう問題でしょうか?)。30~50代の年金加入率は80%台を上回った。しかし、30代のうち93万人、40代121万人、50代135万人が国民年金はもちろん、何の年金にも加入していないことが分かり、老後の準備に深刻な穴が発生したものと見られる。国民年金に対する不安で加入せず、退職年金は住宅購入などのために引き出す事例が多いためだ(毎日経済)・・>>

 

退職年金を途中で引き出した(解除した)という話が出ていますが、退職金データでも同じことが見られます。国会議員が国税庁から受けとった2021年の公式資料で退職金について調べてみたところ、平均退職金は1500万ウォンでした(ソースはファイナンシャルニュース)。理由はいろいろあるでしょうけど、勤続期間が短いこと、そして、マンション購入などのために退職金を「早期に引き出して使う(中間精算)」からです。10人の7人は1000万ウォンにならない、とも。去年11月15日、デイリアンが、韓国経済研究院という機関が調べたデータをもとに報じています。研究院は65歳以上の世帯基準年金受領実態を調査したところ、韓国の年金受領額は月82万8000ウォンでした。同じ基準だと、日本の50.4%です(記事時点の為替レートで、日本の場合は約164万4000ウォン)。

 

また、毎日経済の記事は「30~50代は加入率高いからね」というふうに書いていますが、年齢代を75歳まで拡大してみると、そうでもありません。こちらは韓国経済TVの7月25日の記事からですが、55~79歳人口1548万1000人のうち、年金を受領している人の割合は50.3%(778万3000人)でした。1人当たりの月平均年金数受領額は75万ウォンでした。この場合は「加入」ではなく「受領」ですのでご注意を。韓国の場合、国民年金は63歳から受領します(68歳からの案が検討されています)。記事時点では最新データとなる統計庁「2023年5月の経済活動人口調査(高齢層付加調査)」によるもので、国民年金、基礎年金、公務員年金、私学年金、軍人年金など公的年金をはじめ、個人年金まで含めたものです。

民年金財政推計専門委員会が今年1月に公開した「国民年金財政推計」を見ると、国民年金の基金は2055年に消尽します。今年生まれた人が、30代になった直後といったところでしょうか。ただ、これでも、2030年以降に合計出生率が大幅に改善され、2030年頃に0.9人以上、2040年頃から1.2人以上になるという前提での算出です。実際は、社会人になった直後かもしれません。来年の合計出生率予想は、0.68人です。

 

ええっと、曇った話のあとにこんな告知で申し訳ございませんが、本ブログ、今日の更新はこれだけで、このまま明日まで休みます。クリスマスだし、またレナとイルミネーション写真でも撮りに行ってきます。書店めぐりも。次の更新は26日の朝11時頃になります。また、年末年始の更新ですが、今年は珍しく年末に旅行を準備しており、29日から2024年1月2日まで休むことになります。これはあとでまた告知致します。それでは、メリー・クリスマス。穏やかな聖夜になりますように。

 

 

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