韓国、不動産建設「保証」問題・・財界40位グループが存続の危機

韓国経済・金融関連でほぼ例外なく出てくる「PF(プロジェクト・ファイナンス)」。自己資本などはほとんど無しに、マンション団地などを作るプロジェクトだけで融資を受けることです。プロジェクトの総括会社である「施行会社」がお金を借りるわけですが、ちゃんと借りられない場合が多いので、建設を担当する「施工会社」が保証することになります。Aという施行会社がBという施工会社に「マンション団地作るの任せるから、PF保証になってくれ」と頼むわけです。すべてがグループ内で解決できる超大手財閥もあるにはありますが。今日は、その保証債務に関することがメインになります。URLは「ずっと一緒だよ」にしてみました。

韓国施工能力16位とされる泰栄(TAEYOUNG)建設がワークアウト(民事再生手続き)を申請すること、本ブログでも取り上げましたが・・それから『韓国的なこと』がいくつか起きていて、もう一回取り上げます。現状、財界40位とされる泰栄グループですが、もはや建設だけでなく、事実上のグループ存続の問題になっています。なにせ、ワークアウト(民事再生手続き)そのものができないのではないか、と言われています。つい数日前にワークアウトしますと言っていたのに、なにがあったのでしょうか。

 

泰栄建設がワークアウト手続きに入ると発表する前に、泰栄グループ側は債権団に『グループの別の会社を売却して、泰栄建設の債務返済に使います』などの約束をしました。ですが、その売却代金の半分以上を、泰栄建設ではなくグループの持株会社である「TYホールディングス」の債務返済に使ってしまいました。債権団からすると「えっ?」なところです。韓国経済などによると、ワークアウトは、債権団の75%が同意した場合に成立します。もしワークアウトできなかった場合は裁判所による回生手続きが始まりますが、この場合は「協力会社の工事代金など商業取引すべての債権が凍結されるし、判断によっては会社が清算される可能性もあります。

 

今日、債権団会議が開かれるとのことなので最終的にどうなるのかはわかりませんが、一部からは『持株会社とSBSだけ生かすつもりではないのか』という話も出ています。SBSは韓国の地上波放送で、YKホールディングスが所有しています。財界40位とされる泰栄グループが、不動産PF(プロジェクト・ファイナンス)にたえられず、一部とは言え『事実上の解体(持株会社だけ生き残る)』という話まで出ているわけです。なんでここまで来たのか。そんなにローンを組んだのか。実は、マネートゥデイの記事によると、直接借り入れたお金より、保証したことによる債務のほうが8倍は多い、とのことでして。マネートゥデイなどの記事によると、泰栄建設のPF(プロジェクト・ファイナンス)関連債務は9兆ウォンにおよぶとのことで、結果によっては金融部門に広がることになります。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・泰栄グループと債権団は(※系列社売却代金など)資金約1550億ウォンを泰栄建設に支援することに合意した。しかし、確保した資金をTYホールディングス(※グループ持株会社)が保証したマンション団地プロジェクトファイナンシング(PF)の債務500億ウォンを返済するために使用したことが明らかになった。そのあとも泰栄グループ側はこの資金を活用してTYホールディングスが保証した債務390億ウォンを償還したと伝えられた。系列会社の売却で確保したお金を泰栄建設ではなくTYホールディングス支援に活用したのだ。 債権団の関係者は「SBS持分を持つTYホールディングスだけを生かすという意志を明らかにしたのだ」とし「債権団がワークアウトに同意する可能性が低いと見ている」と話した(韓国経済)・・>>

 

<<・・企業構造改善(ワークアウト)を申請した泰栄建設に間接的に融資を出した金融会社の中には、キャピタル会社、貯蓄銀行、相互金融組合など第2金融圏が少なくない。2金融圏は、比較的資本力が弱く、延滞率が高く、泰栄建設のリスクが転移する可能性があるという懸念が出ている。泰栄建設の不動産PF(プロジェクトファイナンシング)ローンは、間接債務だけ9兆ウォンを超える。泰栄建設の主・債券銀行である産業銀行が金融債権団に送った文書によると、泰栄建設が不動産PF事業のために間接的に金融会社から借り入れた金額(保証債務)は9兆1816億ウォンだ。泰栄建設が金融会社から直接借りた金額は1兆3007億ウォンで、保証債務が直接債務の8倍に近い・・

 

・・保証債務は、施工会社である泰栄建設ではなく施行会社が受け取ったPFローンであるが、泰栄建設が保証をしており、事実上、泰栄建設のリスク・エクスポージャー(危険露出額)に分類される。施行会社はキャピタル・貯蓄銀行・相互金融など2金融圏からPFローンを受けることが多い。泰栄建設の保証債務の債権者の中にも、2金融権が相当数含まれていることが分かった(マネートゥデイ)・・>>

今回の件で金融会社が急激に影響を受ける可能性はそう高くないと言われています(根拠はよくわかりませんがそういうことになっています)。ただ、去年の「江原レゴランド事態」のように、資金の流れそのものがいまよりさらに慎重になり、他の建設会社の資金流動性リスクにつながり、それがさらに金融部門のリスクを増やすことになるのではないか、と言われています。

 

 

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