国会の財政関連セミナーで、大学教授が『国家財政が健全だという主張は、ただの錯視にすぎない』と主張し、一部の経済メディアが取り上げています。韓国の家計債務及び民間債務が勇気爆発でバーンな状態なのは周知の事実ですが、それでも多くの専門家たちが『政府債務にまだ余裕があるので、全体的な国家財政は健全である』と主張しています。これについては、どちらかというと国内でも見解が分かれていますが、たまに『ハードカレンシーなのかどうかによる』という意見があって、個人的には面白い指摘だと思っています。
本ブログで何度か取り上げた『ハードカレンシーを使わない国』の財政状態を比較したIMFデータ、皆さん、覚えておられますか。IMFが先進国と分類している35カ国のうち、ドル、円、豪ドルなどハードカレンシーではない国、ノルウェー、ニュージーランド、デンマーク、マルタ、スウェーデン、シンガポール、アイスランド、イスラエル、チェコ、韓国、香港。これらを一つのグループにして、国の財政状態などを比べたデータです。ハードカレンシーを持っている国と比べても、立場が異なるので意味がないという趣旨によるものです。
韓国はこれらの国の中で、政府債務が4番目に多いとされています(GDP53.8%、政府統計53.5%)。増加速度が早いのでもうすぐ2位(不動の1位はシンガポールで普通に100%超えています)になると予想されています。とはいえ、これが「まだ余裕がある」「比較的財政健全」とする一つの論拠になっていたわけですが(見方によってはそうも見えませんが、論拠にされていました)・・しかし、韓国経済の記事によると、セミナーに参加した仁川大学貿易学科名誉教授オクドンソク氏は、『他の国とは異なり、韓国の場合、カウントしない部分がある』とのことでして。普通、これら11カ国の場合、政府債務をGDPの40~50%に維持していますが、このカウントしない部分まで入れると、110%を超えてしまうというのです。どういうことなのか、<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国の政府債務比率が、公務員年金と軍人年金の充当債務を含む場合、国内総生産(GDP)比110%を超えるという分析が出た。ニュージーランドやスウェーデンなど韓国より高齢化が進んだ先進国の2倍になす・・・・専門家たちは「韓国の財政は健全だ」という錯視から抜け出すべきだと強調している。オク・ドンソク仁川大学貿易学科名誉教授(元韓国租税財政研究院長)は18日、国会で開かれた「急増する国家債務の診断と解決法」セミナーにて、「2022年基準、累積された公務員・軍人年金充当債務が1234兆8000億ウォンでGDPの57.1%に達する」と述べた。オク教授は、政府が法的に赤字を保全している公務員・軍人年金の充当債務を含む場合、韓国のGDP比一般政府債務(D2)比率は2022年基準で110.6%まで高まると指摘した。政府の公式統計値である53.5%の2倍を超える数値だ・・
・・OECD統計では最も最近の基準である2021年基準で韓国のD2比率は50.6%で、OECD平均(89.2%)より低い・・・・大型投資家でもある国民年金が保有した国内の国債・公債保有金額がD2にカウントされず、一種の「錯視」現象が現れているという指摘も出た。オク教授によると、国民年金が保有した300兆ウォンに達する国債・公債保有金額は「内部取り引き」とされ、D2としてカウントされないでいる。2022年のD2(1157兆2000億ウォン)の26%に達する規模だ。オク教授は「小規模開放経済として韓国はハードカレンシーを持っていない国家(※一般的に上記11カ国)の国家債務比率平均値である50%を準拠としなければならない」とし「不十分な財政数値が国際信用格付け下落につながり、財政と金融のリスクを同時に呼び起こす可能性があると覚えておくべきだ」と話した(韓国経済)・・>>
そういえば、傳貰(ジョンセ)保証金なども「個人間の取り引きだから」として家計債務にカウントしないと聞いていますが・・似たようなやり方、でしょうか。すべての国が完全に同一の基準で集計しているのか・・というとなんとも言えませんが、いわゆる「統計によるマジック」ではないのか。どうしてもそう思ってしまうのは、なぜでしょうか。で、また告知ですが、明日は1日更新を休むことになりました。次の更新は、21日(日曜)の11時頃になります。
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