韓国ユン政権が毎年出している「不思議な」不動産浮揚策・・今年は「新生児特例ローン」

韓国政府、中央銀行、金融当局などは、家計債務を「管理する」とよく発言します。基本的には減らすという意味ですが、どうやら管理には別の意味もあるみたいです。なにせ、実際に出される政策は、家計債務が増えるものばかりです。不動産関連政策として、『借りやすくする』ものばかり出てくるから、家計債務が増えるしかないわけです。ソース記事のノーカットニュース(CBS)もそうですが、「家計債務を管理すると言いつつ『ローンが組みやすい』不動産政策(不動産関連は動く金額が大きい)を出すのは、いったいどういうことなのか」と指摘する専門家やメディアも少なくありません。

2022年~2023年の間には、家計債務が減少する時期もありました。家計債務だからって余裕のない人ばかりというわけでもないし、高金利になったので、返せるものはさっさと返して返済費用を減らそうとしたわけです。これは普通の流れでしょう。でも、2023年1月、ユン政権は『特例ボグムザリ(居場所、マイホーム)ローン』という政策を打ち出しました。既存の制度を拡大したものになります。9億ウォンまでの家を担保にして、普通より安い3%~4%利子で5億ウォンまでローンが組めるようにする、というモーゲージローンです。お金を貸すから不動産を買ってほしいという政策です。この政策だけで43兆ウォンが動きましたが、記事によると、そのほとんどは不動産市場へ向かいました。

 

これが、去年「一時的に」不動産(マンション)価格が上昇した大きな原因です。ポイントは、DSR関連条項がなかった点です。DSRは、年所得において債務返済がどれくらいなのかを意味します。これが高いと、新規ローンなどがうまくいきません。でも、ボグムザリローンにはこの条項がありませんでした。そして、約1年後の今年、それでも不動産価格が下がると、『新生児特例ローン』というものが出てきました。去年1月1日から子を出産または養子縁組した世帯には、9億ウォン以下の家を購入する際、5億ウォンまで比較的低金利でローンできるようにする、というのです。27兆ウォン規模だと言われています。前のボグムザリローンとは異なり、完全に家を買うのが前提で、同じくDSR関連での条件もありません。これで不動産価格が上昇するとしても、一時的なものでしょうが・・1年後にはまた別の政策を出すのでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・昨年の秋、金融委員会や韓国住宅金融公社など金融公企業に対する国会の国政監査で、批判が集中した案件がある。いわゆる特例ボグムザリローン。昨年1月に導入されたこの制度は、9億ウォン以下の住宅に対し、所得基準なしで最大5億ウォンまで貸し出すというモーゲージローン商品だった。金利上昇期だった昨年、最低で年3%の固定金利を維持し、総債務元利金償還率(DSR)制限も受けず、大人気だった。43兆ウォン以上の金が不動産市場に流れ、下落傾向を続けていた不動産市場を再び盛り上げた・・

・・今月29日から、政府は27兆ウォン規模の新生児特例ローンを始めた。昨年1月1日以降、子を出産したり、養子縁組した世帯が9億ウォン以下の住宅を買うときに、最大5億ウォンまで貸し出すという商品だ。こちらもDSR条件はない。夫婦合算で年所得が1億3000万ウォン以下なら可能だから、ハードルも高くない。こちらも申請が多く、ホームページがダウンしたりした。最近、ソウルの外郭や首都圏で9億ウォン以下の中小型住宅に対する取り引きの問い合わせが増えているという。1年前、ボグムザリ・ローンのときと似ている・・

 

・・金融委員会は今年の業務推進計画を通じて、家計債務をおさえるために一部の伝貰(ジョンセ、家を借りること)保証金のローンにもDSR条件を適用するようにする予定だと話した。だが、家計債務の増加と不動産価格上昇の核心とされるこれら特例ローンには、いずれもDSR関連条項は無い。核心には手が出せないでいるわけだ。DSR条件を強化して家計債務を管理しなければならないと言いながら、大規模な公的融資を出してくる政府の政策は、的外れだ。ジョドンジョル韓国開発研究院(KDI)院長は今月初め、「政府の公的支援融資が7年で3倍も増え、家計債務を増やしてきたと思われる」と話した。家計債務を管理しなければならない政府が、むしろ家計債務を増加させているというのだ(ノーカットニュース)・・>>

さすがに『毎年』出すものでしょうか。こういう政策。それに、『子を出産した世帯』にしてなにか家族のマイホームなイメージを強調していますが、これ、単に「マンション買ってください」でしょう。財源の問題で範囲をしぼって、それっぽいフレーズをつけただけではないでしょうか。この手の政策の『毎年』恒例化は、ユン政権とて、家計債務を「管理」したら、不動産が倒れるということを政府も知っているという意味でもあります。借りる人も貸す政府も、『返す』『管理する』ことはあまり考えていない、というか考える余裕がないのでは・・そんな気もします。総選挙対策でもあるでしょうけど。ちょうどソル(旧正月)連休も始まったところだし、家族が集まって話すことも増えるでしょうから。 今日の更新はこれだけです。次の更新は、明日(11日)の11時頃になります。

 

 

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