韓国の証券アナリストが見た、「日本市場にはあるけど、韓国市場にはないもの」

本ブログでも何度か取り上げましたが、今年になって約1ヶ月の間、主に株式市場での資金の流れに関する記事が増えてきました。たとえば「中国から離れた資金は、主に日本とインドに向かっている(去年時点のデータでは、日本が圧倒的でした)」「外国資金は韓国株式市場から離れつつある」などの記事が目立っています。日経平均指数がバブル以降最高値を目指すとか、新しく半導体関連の投資が相次いでいるとか、日本での雰囲気とはまったく異なるもので、中には「日米の株式市場は連動しているのに、韓国株式市場が中国・香港と連動しているように見えるのはなぜか」とする話もあります。

それは、ま、「安米経中」をあれだけ強調してきたから、当然のことでしょうけど・・そこはともかくして。そんな中、2月中に発表される予定のユン政権の「日本をベンチマークしての、PRB改善政策」の内容が、大いに注目されています。PBRというのは、NiPpon Bench maRk・・ではなくPrice Book-value Ratioの略で、株価純資産倍率のことです。2月中に発表されるというその政策は、SBSのソース記事によると「去年4月東京株式取引所が出した政策とまったく同じ」もので、『株価が純資産価値を下回る』いわゆるPBRの1未満の企業に対し、その改善をうながすというものです。

 

ただ、記事を書いたキムハッキュン・シンヨン証券リサーチセンター長は、『日本にはあるけど、韓国にはないものがあるので、そううまくいくだろうか』と疑問を提起しています。『どんな政策も、結局は民間(企業側)の自発的参加が必要だ。日本は、たとえば『物言う株主』文化など様々な民間の参加で株式市場の変化を成し遂げたけど、韓国証券市場や企業の場合は、そうなるとは思えない』というのです。そして、変化の一環として取り上げた『物言う株主』も、2次安倍内閣から政策と、民間の参加があってこそのものだった、と。以下、いつもなら引用しますが、ネット公開されていない部分は引用せず、簡単にまとめて紹介します。今回のエントリーだけ、以下の<<~>>は引用ではなく記事の簡略なまとめです。

 

<<・・筆者さんは、今回ユン政権が発表予定の「企業バリューアッププログラム」の内容がすべてわかっているわけではないけど、日本のPBR改善をそのまま行うだけでは、これといった成果は期待できないだろうとします。「民間の力が加わってこそ政策が効果を発揮できるが、これこそが、韓国と日本がもっとも異なる点である」というのです。筆者は、政策そのものだけで市場を変えることはできないけど、それに相応する形で民間の力が集まってこそ、市場が生まれ変わるとしながら、安倍内閣から始まった『物言う株主』を挙げています。政府政策と、そこに参加する民間の変化の一例として、です。

 

民主党政権の後に始まった2次安倍内閣は、2013年初めから、「日本は株主価値の向上を通じて停滞した経済に活力を吹き込むというアイデア(原文ママ)」を持っていて、その一環として、外国のアクティビスト・ファンドの資金を日本内に引き込むなど、『物言う株主』文化を促しました。そこに日本内部、民間企業や投資家たちもそういう変化へ参加し、それまでは日本であまり見られなかった『物言う株主』文化が定着、ある程度の時間を経て、いまの日本の株式市場を支えている一因になっている、というのです。こういう民間の変化は、海外資本に対するおもわしくないイメージと、企業ガバナンスなどからして、いまの韓国市場ではそうそうできるものではない、と・・>>

どうであれ、やはり「そう短期間で変えられるものではない」というものでしょう。本件、本当に多くの関連ニュースが出ていて、様々な形の意見が出ていますが、いわゆるアベノミクス関連で褒める内容の記事まで出てくるとは、ちょっと驚きました。これ、めったに見られない、本当にレナ・・じゃなくてレアです。大規模半導体団地関連もそうですが、いろいろと「それはどうかな」な意見が多いですが、どれを見ても任期中にできそうにないものばかりというのも、またユン政権としては気になるところでしょう。だから気が楽、と思っているかもしれませんが(笑)。

 

 

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