韓国のバッテリー産業、三元系バッテリー核心素材は96.9%が中国から

経済関連記事でいろいろと「~しなければならない」とする見解が出ていますが、具体的なものはありません。でも、これを『具体的』と言っていいかどうかはちょっと微妙ですが、共通する点があるにはあります。「中国経済が回復しないと、韓国経済の回復も難しい」です。ダイレクトに書いている場合はそうありませんが、こちらからなにをやってもその効果は限定的で、結局は中国経済が復活するのを待つしかないというのです。なにせ、去年の春あたりまで、政府レベルで『中国のリオープニング(新型コロナ後の経済活動再開)』を強調していましたから。

不動産関連、金融関連で中国関連ニュースが流れるたび、一部のメディア・専門家は「それでも中国なら大丈夫だ」とか、「韓国不動産市場への影響はない」などの主張を出すのも、同じ心理によるものかもしれません。特に、前にも取り上げたことがありますが、要は韓国の『不動産市場』への影響ではなく、不動産問題による中国経済の動きそのものが韓国への影響を及ぼすことなのに、それを「韓国の『不動産』問題には影響しない」とする分析が記事になったときには、さすがにちょっと驚きました。

 

そんな中、韓国貿易協会の研究院が、「対中輸出は2023年よりは回復するだろうけど、いままでのような『対中輸出大当たり』はもう来ない(※記事の題です)」という報告書を出しました。ニュース1聯合ニュースなどのメディアが記事にしています。対中輸出の弱化は、中国内の需要減少による部分よりも、商品の競争力による部分がもっと大きい、というのです。いわば、本ブログで何度も取り上げた「対中輸出減少は、一時的なものではなく、構造的な変化によるもの」論の一環です。特に、『電気動力化部門』というのが気になります。これは何なのかというと、陽極材(正極材)、リチウムイオン電池、電気車などを合わせたものですが、ここで発生する対中貿易赤字が、全体対中貿易赤字とほぼ同じ金額になる、とのことでして。他には・・そうですね、これといって目新しさはありませんが、この当たり前の主張が、「え?なぜ?」なものとして伝わる雰囲気があること。これ自体が注目点ではないでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。今回『も』引用イコール オチの内容なので、引用してそのまま『また明日』と致します。

 

<<・・韓国の対中国貿易収支が、昨年韓中修交31年ぶりに初の赤字を記録した中で、今年対中輸出と貿易収支は大幅に改善されるものの、いままでのように一方的に大規模貿易黒字を出すことは期待できないという研究結果が 18日出た(※韓国貿易協会)・・・・中国輸入依存度の高い代表品目の二次電池核心素材の輸入が増加し、対中国貿易赤字の要因となった。昨年、対中国水酸化リチウム輸入額は前年比53.2%増加した49億3000万ドルで、合計48億ドルの貿易収支赤字を記録した。三元系(NCM)バッテリー核心素材であるニッケル・コバルト・マンガン水酸化物の輸入も前年より31.1%増加した28億1000万ドルで、貿易収支は28億ドルの赤字だった。報告書は、該当分野で昨年、対中国輸入依存度が96.9%に達し、前年より4.3%ポイント(p)上昇したと分析した。

対中国電気自動車用バッテリーの輸入も毎年2桁以上の増加率を見せ、貿易収支は赤字に転換した。昨年中国から輸入したバッテリーは81億ドルで、前年より50.7%増えた。昨年中国から輸入した自動車は12億ドルで、前年より106.8%増えた。中国のIT技術力の向上で韓国のIT製品の競争力が相対的に低くなったことも、「輸出大当たり」にならない要因だ。昨年、半導体・コンピュータ・ディスプレイ・無線通信機器・家電など5大IT品目の対中輸出減少額は198億ドルで、全体輸出減少額(310億ドル)の64%を占めた(ニュース1)・・>>

 

<<・・協会が、ある国の輸出変動を競争力要因と構造変化の要因に分解する不変市場シェア(CMS)モデルを通じて分析した結果、昨年韓国の対中輸出減少から、中国の需要減少の要因による割合は30.1%にとどまったが、競争力の弱化と商品構成の弱化要因の割合は、それぞれ31.9%、37.9%となった・・・・競争力低下が輸出に影響するなら、中国からの輸入に影響したのは、二次電池や二次電池素材など品目の輸入急増だ。電気自動車と二次電池産業が発達し、中国から輸入される二次電池完成品や正極材、前駆体、リチウムなどバッテリー素材の輸入が急増する傾向だ。

特にリチウムや前駆体など中国が二次電池の上流産業分野で長く構築してきた影響力が大きいため、国内企業の自給などサプライチェーン変化努力があっても、短期間で対中依存度下げることは難しい。正極材、リチウムイオンバッテリー、電気自動車を合わせた「電気動力化品目」の貿易収支赤字は、2020年までに40億ドル水準だったが、2021年には78億ドル、2022年には129億ドルを経て、2023年には162億ドル まで大きくなった。これは2023年全体の大衆貿易収支赤字額である180億ドルとほぼ一致する規模だ(聯合ニュース)・・>>

 

 

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