韓国、医師増員のことで医師協会と政権の衝突・・各紙が「日本ではこうではなかった」と報道

最近韓国でもっとも大きな話題になっていることは、医師増員関連です。ユン大統領は医師の不足を指摘、約2000人、大学の医科大学生を増やす(募集定員を増やす)という政策を出しました。ちなみに、国民1000人あたりの医師の数は、同じ年度のデータではありませんが日本が2.3人、韓国が2.5人で、OECD平均の3.5人よりは不足な状況です。これについてはちょっと後で追記するとして・・この決定に医師協会(医師会)をはじめ医師たちが強く反発、病院から退職して診療そのものをやめる形となります。いまはまだそれほど可視化されていませんが、このままだと「医療大乱」になります。

世論調査などでは、国民の約80%が賛成するというこの政策。総合病院で長く待たされた経験なら誰もがあるでしょうし、とりあえず「医師になる」を目標にして勉強している人たち・・小学生たちも多い中、これといって反対する理由もないでしょう。ちなみに、10~20年前までは『サの字が付く職業(読みが~サで終わる職業)』、すなわち医師、弁護士、検事などになることが一般的な「勉強の目的」でしたが、最近は他がパッとしなくなったからか、医師になるという人が急増していると聞きました。有能とされる学生はほとんどが医科大学を目指すため、半導体などでも人を見つけるのが難しくなった、と。結構前から半導体が国家産業の主力だったことを考えると、妙な展開です。

 

で、一部の有名病院の専攻医(インターン、レジテント)たちが現場を去ると表明し、国務総理が警告、医師協会が総理に警告する流れですが・・そこで、日本の事例を報じるメディアが増えてきました。国民日報は日本の事例を紹介しながら(他にも中央日報など複数のメディアが取り上げています)、「日本など海外の医師たちは、韓国ほど競争してお金を稼ぐという認識が強くない」という話などと伝えています。現場を離れる医師たちを応援する気はありませんが、このような書き方だと、普通に働いていた医師たちまで一括りにされるのではないか、そこは気になります。以下、<<~>>でちょっと引用してみます。

 

<<・・保健福祉部が先月、日本厚生労働省・医師協会と面談した結果でも確認される。日本は10年間、医師の人員を拡大して4万3000人ほど増えたが、集団行動のような医師団体の反発はなかった。日本医師協会は「医師数不足に対する社会的共感があったため、協会でも反対はなかった」と伝えた。日本以外にも医師数が増えることで医師たちが集団行動に乗り出した国家の事例は見つけるのが難しい。韓国で医師たちが病院を離れる方式の意志を示す理由について、ジョンヒョンソン延世大学校保険行政学科教授は「韓国は医療制度の特性上、医師の数が増えると、健康保険料から入ってくる収入を分かち合うことで収入が減るという意識が強いためだ」とし「海外では韓国とは異なり、医師たちが競争してお金を稼ぐ概念が、伝統的に強くないので、こんな現象は見られない」とした(国民日報)・・>>

 

繰り返しになりますが、今回の専攻医たちの行動には同意できませんが・・政府は、OECDデータで「医師の数が足りない」を強調しながら政策を発表する前に、まずは現在の医療人力たちともっと『事前に』話し、感謝を示すべきだったのはないか、そんな気もします。どちらかというと、こう医師会と対立することで、支持率が上がっている側面もありますので。「医師が少ない」と「医師が足りない」は別の問題です(まったくの無関係だと言っているわけではありません)。たとえば、医師の数が多くても、それを支える全般的な医療インフラが無いと、意味がありません。また、韓国の場合、「定員増やしても整形外科医師だけ増える」という指摘もあります。それでは、一般的に話す「医療システムを運用するための医師の数」とは趣旨が異なるではないか、と。

それに、データからすると、日本も韓国も、新型コロナのときのような特殊な状況下でもなければ、医療システムの機能が止まるようなことはそうないし、OECDからも両国の医療システムは高く評価されています。たとえば医療機関で適切な治療が行われるのかというデータとして、Avoidable mortalityというものがあります。OECDの2020年データがあったのでちょっと見てみましたが、人口10万人あたりの「回避できた可能性があったのに亡くなった方」の数は、1位アイスランド(131人)、2位スイス、3位日本(134人)、4位イスラエル、5位韓国(142人)でした。こういう話をしてから、もう少しデータに基づいた話を『事前に』して、それから政策の発表をしたら、ここまで大きな対立にはならなかったのは。日本と異なる点も、もちろん問題意識の共有とかそういうのもありますが、こういう『話し合い』を重視するかどうか、そこから来るものではないでしょうか。

 

 

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