韓国の「私教育(塾など)」、去年は約2兆5000億円で最大・・「医師になる」ためが一因

私教育。韓国関連ニュースに興味をお持ちの方なら、一度は目にされた言葉でしょう。公教育以外に、私的に行う教育、いわば、塾などのことです。これは私が小学生だった頃から、社会問題として話題になっていました。当時は、大学生を家に呼ぶ「家庭教師」がメインでした。1970~1980年代、当時の大学生となると、それはもう最高のエリートで、そんな人を家に呼んで子の教育をお願いするには、かなりお金がかかりました。特にソウル大となると、それはもうスーパースターでした。塾などのインフラも少なく、大学生が稼げる環境も整備されていなかった頃。余裕のある家からすると、大学生たちはわざわざ家まで来てくれる信頼できるエリートでしたし、大学生の立場からしても、授業料をなんとか自分の力で用意するための方法だったので、ある意味、ウィン・ウィンだったかもしれません。

問題は、そこまで余裕のない人たちの反発でした。ちゃんと学校に通って勉強しているのに、お金の力にまけてしまうではないか、というのです。また、いつものことですが加熱した側面があって、家庭教師を呼ぶにも必要以上の高額がかかるようになり、政府レベルで「公教育を信じましょう」というキャンペーンを実施したりしました。でも、政府としては「優秀とされる人力が、自分の資産を蓄積し、早く社会に出てほしい」が本音でした。実際、人材とされる人たちは兵役期間が短くなったり、研究所などで働く制度ができたりしました。こういうのもまた、不公平だとし、結構な反発があり、中には軍部隊内での銃器事件に発展したケースもあります。

 

それからも、「塾」がメインになってから、誰もが私教育の沼にハマりました。『私(うちの子)だって私教育が受けられるんだぞ』とでも思ったのでしょうか。隣の子が2箇所塾に通っているとなると、うちは3箇所にしなければならない、そんな雰囲気になってしまい、いまでも韓国の私教育熱気は続いています。前にも紹介したことがありますが、「小学校での縄跳びで高い点数を取るための私教育」まであるとのことですから、あきれたものです。そんな私教育ですが、どんどん増えて、去年はついに「小中高校生」で27兆ウォンになった、とのことでして。ざっと2兆5000億円ってところでしょうか。サンプル調査ではありますが、すごい話です。大企業(OECD基準雇用人数250人以上の企業)による雇用は13.9%だけ(OECD平均32.2%で、日本が40.9%)。医師になるという人が多すぎで困っている状態。定員増やすと言ったら診療システムが止まる、などなど。そこまでやって、どこに行ってなにをするのかは分かりませんが・・聯合ニュースなど多くのメディアが、さすがに、多少あきれた論調で記事を出しています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・昨年、初・中・高校生の私教育費が27兆ウォンを超えた。『医大熱風』が続く中、大学修学能力試験(※大学入試テスト)で「高難度問題」をなくす論議が起きているが、私教育費は3年連続で最高値を更新した。私教育を受けているソウルの高校2年・3年生の場合、1カ月の平均私教育費が初めて100万ウォンを超えた。教育部と統計庁は全国小・中・高校約3000校の学生、約74000人を対象に「2023年小中古私教育費調査」を実施した結果、このように集計されたと14日明らかにした。昨年の私教育費総額は27兆1000億ウォンで、1年前より4.5%(1兆2000億ウォン)増加した。1年間、該当学生数は528万人から521万人に、7万人(1.3%)減少したが、私教育費総額は増えたのだ。増加率自体は前年(10.8%)の半分水準だ(※ソース記事には明記されていませんが、物価高やローンの返済などで支出が増えたから、とされています)・・

 

・・しかし私教育費総額規模は2021年(23兆4000億ウォン)、2022年(26兆ウォン)に続き、3年連続で最高記録を記録した。これに先立ち、教育部は昨年国会に提出した「2024年度成果計画書」で、2023年小中高校生の私教育費目標を24兆2000億ウォンで、前年比6.9%減らすと明らかにしていたが、その目標は達成できなかったことになる。私教育費の増加は「高校生」が主導した。高校の私教育費総額は7兆5000億ウォンで、前年より8.2%増えた。高校の私教育費は、全私教育費の2倍近い速度で増加したもので、増加率は2016年(8.7%)以後、7年ぶりの最大だ。昨年6月、高難度問題をなくす論議が浮き上がり、修学能力テスト出題基調が変わることもあると思い、塾に駆けつけた高校生が多かったためと解釈される。「医大熱風(医科大学を希望する人が多い)」が続いた点も、高校の私教育費を押し上げた主な原因に挙げられる(聯合ニュース)・・>>

盧武鉉大統領のとき、「大学を増やせばいい」という考えのもと、大学進学率はものすごく増えましたが、卒業してもちゃんと就職できない人もまた大幅に増えました。今回は高難度問題をなくすとか言ってますが、意味があるのでしょうか。そんなこんなで、本当につかれる話です。私も大学受験のときには塾にも通いましたが・・授業と授業の間(授業によっては30分以上も間が空いたりしました)に近くのゲーセンで「ゴールデンアックス」やった記憶しかありません。ほとんどは自分の部屋でやったような。寝たいときに少し寝て、起きてまたやって・・だったような、気がします。

 

 

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