韓国専門家「政府は去年9月以降、不動産PF(プロジェクト・ファイナンス)統計を発表していない」・・分かれる専門家の意見

本ブログでも2~3回取り上げたことがありますが、「4月危機説」というものがあります。自己資本はほぼ無しに『プロジェクト』だけでローンを組んでマンション団地などを建設する、「PF(プロジェクト・ファイナンス)の満期が集中し、政府が一部PF管理に乗り出すなどの影響で、PFを中心に建設会社に大きな影響が及ぶだろう、という予測です。前にも書きましたが、私は4月がどうとかの話よりも、こういう話が1年で何回も出てくる今の不動産市場・建設関連の資金の流れそのものが問題ではないだろうか、と見ています。市場がもろい、信頼されていないからこんな「◯月」の話が1年に2~3回も出てくるのでしょう。だから、「◯月」はあまり意味がなく、こういう話が出てくるそれ自体が問題ではないだろうか、と。

それと似たような趣旨の話ですが、韓国政府がPF関連統計を去年9月以降発表していないという指摘がありました。ソースはCBS(ノーカットニュース)で、4月にもっと危機感を持つべきだとする専門家と、十分対処できる、大丈夫だとする専門家の対談形式です。その中から、気になる二つの部分を取り上げてみます。一つは、アメリカのサブプライムローンで世界中が揺れていた頃と、今の韓国不動産市場の比較。見た目は当時より問題ないように見えるけど、そうではないという部分。そしてもう一つは、政府発表の部分です。「大丈夫だ」とする側は、普通に大丈夫だとするだけなのでピックアップはしませんが、何の問題もないという意見ではなく「問題はあるけど十分対処できる」という趣旨で、現実味のある意見でした。以下、政府発表部分は<<~>>で引用してみます。

 

<<・・巷では今、政府がなにかを隠している、4月の総選挙までは明らかにしないだろう、だそういう話が出回っています。その根拠の一つとされるのが、不動産PFローン残高が、今、メディアを通じて公開されたのは134兆ウォンであり、建設産業研究(※民間調査機関)が調べたところ、セマウル金庫など金融委で監督しない範囲の不動産PFローン残高まで含めれば、200兆を超えるとされています。ところが、この残高基準は23年9月時点、「6月~9月期」基準です。それからの不動産PFローンの残高が出てないはずはありません。また、4月ごろになって、監査が本格化すれば(※政府が管理監督を強化するとしています)、それからいろいろ発表されるだろうから、総選挙までは問題がきちんと現れないということです(CBSノーカットニュース)・・>>

 

これに対して「大丈夫派」の専門家は、「中国ではあるまいし(原文ママ)」としながら、わざわざ隠す理由がないとしています。そして、サブプライムローン問題の時との比較ですが、これは、パッと見ると当時よりはマシのように見えます。ソース記事には書いてありませんが、「大丈夫派」の一つの論拠でもあります。当時よりPFを金額は大幅に増えましたが、未分譲マンションがずっと少ないからです。サブプライムのときは、韓国のPF残高は80兆ウォンで、未分譲マンションはいくつかある調査の中で最大で16万5000戸でした。しかし、今は去年9月の発表で不動産PFは134兆ウォン(200兆ウォンとも言われていますが)で当時より大きくなっているものの、未分譲マンションは6万戸水準とされています。ちなみに、サブプライムのときには、李明博政権が未分譲マンションを買い取って賃貸住宅として利用したりしました。

 

こうしてみると、当時よりマシに見えますが、実はそうではないというのが「うわあぁ派」の主張です。未分譲が減ってPFは大幅に増加したというのは、『未分譲にカウントされるまでマンションを作ることもできないでいる』という意味だ、というのです。PFというのは、最初はブリッジローンとされる高金利・短期融資で資金を用意し、工事が始まってから、それよりは少し金利が低く、期間も長い、いわゆる「本PFローン」の乗り換えます。しかし、最近はブリッジローン状態から工事もできず、本当になんとかして利子だけ返済しているところが多すぎで、未分譲にカウントされるほどのマンションを作ることすらできないでいる、と。うわあぁ派の専門家は、「分譲すらもできない土地の状態のまま、ただPFに縛られている」と話しています。

この話には、「サブプライムローン事態から、第1金融圏(普通の銀行)はプロジェクト・ファイナンスにあまり力を入れないようになった」ことを合わせて考える必要がありましょう。それからは、資金力の弱い第2金融圏が集中的にPFに投資するようになりました。さて、繰り返しになりますが、個人的に、こういう◯月リスクというのが、1年に2~3回も出てくることそれ自体がもっとも問題だと思っています。政府発表のことなども、そういう心理を強くしている大きな要因でありましょう。ちなみに、4月といえば総選挙ですが、前回の韓国政治エントリーでお伝えした通り、最近は与党の支持率が躍進、慎重に過半数の話まで出ていましたが、数日前から、また首都圏などで与党の支持率が下がってきたというニュースも出ています。はてさて。

 

 

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