実際に今まで引用したことのある記事のデータですが、引退平均年齢が約49歳、年金受領者は50.3%(55歳~79歳、公的・私的年金すべて)、勤続期間が短く、中間精算が多いため、退職金も約150万円だとされている韓国。中間精算とは、マンション購入などのために退職金を前もって引き出して使うことを意味します。しかも、急激な少子化により、国民年金制度が「全国民加入」になってからわずか23年で加入者が減少しています。老後対策として自営業を始めた人が多いものの、そんな急な創業でなんとかなるほど市場はあまくなく、自営業債務・家計債務の状態はおもわしくありません。
このような状況ですから、各メディアが関連記事を増やしています。去年12月、高齢者の貧困率データが発表されてからは、特にそうです。本ブログでも去年12月19日のエントリーで取り上げましたが、OECDデータ(当時の最新レポートですが、データは2020年のものです)で、66歳以上貧困率が40%を超えているのは韓国(40.4%)だけでした。アメリカが22.8%、日本が20.2%、などなどです。76歳以上を範囲にすると、50%を超えている、とのことでして。今日も同じ流れの記事ですが、朝鮮日報が日本と韓国の平均年金受領額(制度が異なるものの)を比較し、韓国の国民年金も制度を改善しなければ、このままだとどうにもならないという趣旨の記事を載せました。平均で、日本は約14万3900円で、韓国は約40万6700ウォン(4万5000円)、と。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・現在、韓国の70代は年金をどれだけ受けているのだろうか。現在、韓国の70代の人口は約400万人だが、そのうち半分が国民年金受給者だ。24日、国民年金公団によると、2022年基準で70代の国民年金の平均受領額は約41万ウォンだった・・・・日本の70代は状況がどうか。24日厚生労働省年金局資料によると、2022年基準日本70代高齢者らの年金(厚生年金+国民年金)平均受給額は月14万3973円だった。もちろん、両国の引退者の年金額を単純比較するのは無理がある。加入者が出す年金保険料の基準となる保険料率が大きく異なるからだ。保険料率とは、月所得から保険料を引く割合をいう。
韓国の場合、国民年金制度が初めて導入された去る1988年から1992年までは保険料率が3%(事業場加入者基準)であり、1993~1997年6%、そして1998年から今までの9%に維持されている(※導入初期は義務加入ではありませんでした。義務加入になったのは金大中政権からです)。月の所得が300万ウォンの会社員は、保険料率(9%)適用時、毎月27万ウォン(加入者13万5000ウォン、会社13万5000ウォン)ずつ出している・・・・基金枯渇の圧迫で年金改革が急がれる中、国会年金改革特別委員会傘下の民間諮問委員会は、国民年金保険料率を現行9%から12%あるいは13%に高める改革案を出した。最終年金改革案は来月500人で構成された市民代表団の討議会と追加議論などを経て決定される(朝鮮日報)・・>>
記事によると、フランスは27.8%(67歳から)、日本18.3%(65歳から)、韓国9%(62歳から)、などです。ちなみに「62歳から」というのは「1957年~1960年生まれ」までのことで、それ以降は生まれた年度によって63歳、64歳と受領開始年齢が遅くなり、1969年生まれからは、65歳から受領開始となります。ある意味、韓国の福祉関連制度において、最大の高難度ミッションになるであろう、年金改革。果たして、これを乗り越える政権はあるのか、5年単任制度において、これを誰がやるのか。気になるところです。電気料金も上げられないでいるのに。
ちなみに、2021年にも、韓国経済研究院というところが、日本と韓国の年金を比べたことがあります。<<・・高齢化が深刻な社会問題で台頭しているが、きちんとした老後対策が不足しており、対策の準備が急がれるという主張が提起された。特に不足した年金による老人貧困問題が深刻だという指摘だ。韓国経済研究院は15日、韓日両国の65歳以上を対象に年金受領実態を調査した結果、個人世帯基準で韓国の年金受領額は月82万8000ウォンで、日本(164万4000ウォン)の50.4%に過ぎないと明らかにした(デイリアン、2021年11月15日)・・>>、と。
最後にちょっと「別の話」ですが、本ブログでも何度か取り上げた医師スト、新しい局面に入りました。ユン大統領が、研修医たちの免許停止を、事実上、無期延期にしました。ハンドンフン与党代表(対策委員長)の提案を受け入れる形になった、とのことです。いまのところ、政府が一歩下がった形になりました。まだ定員増員案はそのままなので、これからどういう折り合いをつけて収めるのか、気になるところです。
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