野党代表の「両岸問題(台湾海峡問題)」関連発言、政治以外ではほとんと話題にならず

韓国語の「良く」は、「生きる」や「暮らす」と一緒に使うと、「豊かに」という意味になります。一般的に「良く暮らす」と言うと、「豊かに暮らす」という意味になります。そういうことで・・最大野党「共に民主党」の李在明代表が、忠清南道という地域の選挙遊説で、「中国にも、台湾にも、謝謝すればいい」「両岸問題(台湾海峡問題)は私たちとは関係ない」「私たちは、私たちが豊かに暮らせればそれでいいじゃないか」と話しました。いや、本当に、「ああ、さすがだ」としか思えないものですが・・

多くのメディアと、与党側は批判しています。いったいどういう考えでそんなことを言ったのか。文在寅大統領も(米韓首脳会談などで)台湾海峡について言及しているのに、どういうことなのか、と。文大統領の場合は、言いたくて言ったわけでもないでしょうけど。韓国経済などがこの件を取り上げ、台湾海峡が私たちにとってどれだけ大事なのかわからないのかとする記事を載せましたので、まずそちらを<<~>>で引用してみます。でも、本題はそこではありません。個人的に気になるのは、この発言そのものではありません。この発言のあと、例えば支持率が下がったとか、批判が起きているとか、そんな話がまったく無いことです。

 

<<・・台湾海峡は台湾と中国本土を分ける海だ。長さ370㎞、幅130~410㎞の狭い海だが、毎年全世界コンテナ船の半分ほどが過ぎる「世界で最も忙しい海上路」だ。ここが封じられると、半導体をはじめグローバルサプライチェーンに大きな混乱が避けられない・・・・当然、他人事ではない。韓国全体の物流量の40%以上が台湾海峡を通過する。中東産原油をはじめ、各種原材料と輸入品がインド洋とムラカ海峡を経た後、台湾海峡を通って韓国に来る。このコースが最短距離だ。まさにライフラインである。2022年、海軍の推定結果、台湾海峡有事の際、韓国は1日に4452億ウォンずつ衝撃を受ける。ブルームバーグ通信は台湾有事の際、韓国国内総生産(GDP)の23%が飛ぶと推算した。台湾(40%)の次に大きい数値だ。日本(13.5%)はもちろん、中国(16.7%)より大きい。中国が台湾海峡を封鎖するだけで、その影響は途方もないのだ(韓国経済)・・>>

 

他にも、在韓米軍の動きを封じるため、中国が北朝鮮を動かす(北朝鮮の動きによっては、在韓米軍が動きづらくなる)可能性もあるなど、いろいろ書いてありますが・・なんか、「自由民主主義を守る」などの話がもう少しあってもよかったのでは、な気もします。そもそも、この発言、与党が取り上げているだけで、問題視する社会雰囲気がまったくありません。まだ文政権だった2022年3月14日、朝鮮日報系列の「週刊朝鮮」が、韓国にとって台湾問題は、ただの「興味深いウォーストーリー」にすぎないと書いたことがあります(2022年3月22日にエントリーしました)。記事そのものは朝日新聞主筆出身の船橋洋一博士とのインタビューですが、こうなっています。

<<・・韓国が見る日本は、概ね、日韓関係の中だけの日本だ。日本が見る韓国は、アジア、さらにはグローバルな観点から、韓国を見るというのが、日本の知識人たちの言葉だ・・・・(※そういう見方の差によって)現実政治に対する姿勢が違う。例えば、韓国で取り上げられている台湾問題は、『興味深いウォー・ストーリー』の一つとして映るだけだ。しかし、日本としては、韓国の無関心が不安に感じられるだけだ。『台湾問題は現実的になった、エネルギー海上ラインはどうなる』というのが、ウクライナ事態に対する日本人の平均的な認識である(週刊朝鮮)・・>>

 

今回の李代表の発言も、政治的には与党から批判で出ていますが、社会的には、これといって問題とされていません。尹大統領がネギの値段を間違えたことは、「大統領がそんなこともわからないのか」と、与党支持率を大幅に下げたと言われています。しかし、野党代表が「私たちだけで」と、北側みたいなことを言ったけど、これは何の影響もありませんでした。これが本当に「左」だけの問題なら、こうはならないでしょう。こまったものです。ちょうど26日に「日本、台湾、韓国で半導体技術(研究開発)協力する戦略的友人になろう」という記事を紹介したばかりなので、なおさらです。

 

 

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