韓国メディアが紹介する、延滞率が低い理由・・業界内部からも「錯視現象」

家計債務やプロジェクト・ファイナンス(PF)などについて取り上げている一部の経済メディアには、「なんでこんなに延滞率が低いのか」について、疑問を提起するところもあります。これはメディアというより、書いた人によりますが、取材などを通じて把握できる市場の現状に比べて、あまりにも延滞率が低いというのです。いまはPF延滞は2.7%ですが、2012年には13%を超えていました。本エントリーはPF(主に不動産建設会社)に関してですが、実は家計債務、商用不動産などでも、同じことを指摘する記事がいくつか出ています。具体的なデータが確認できないまま、どうしても推測による部分がありますが、いままで私が読んだ記事の中でいくつかピックアップしますと、次のようです。

まず、「エバーグリーン化」といって、ローンの満期延長、または追加のローンを許可する、いや「許可し続ける」ことで、何の問題もないように見せている、すなわち「いつまでも緑豊かな状態に見せる」という意味です。もう一つは、第2金融圏、一部の貯蓄銀行などは、3ヶ月連続で延滞しないものは延滞としてカウントしない、という話も出ていました。そして、新型コロナ期間中に続いた数々の措置(満期延長など)についての話もあります。特例措置の期間が終わってから、政府は「金融機関と当事者が相談して決めて」という、よくわからないスタンスを撮りましたが・・22日のアジア経済の記事ですが、同じ趣旨の記事がありました。実はそれもすべて、政府が金融機関側を圧迫している、すなわち満期延長措置の延長など、金融機関が(それまで政府がやっていた)明らかに特例な措置を続けるように圧迫している、というのです。実は、業界内部からも、似たような指摘が出ているとのことでして。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・金融・建設業権を中心に、総選挙後に潜在している関連リスクが浮上してくる可能性があるという懸念の声は大きい。現在の延滞率が過去のグローバル金融危機とそれ以降の局面と対比して低いのは事実だが、各種ソフトランディング措置などで、満期延長が重ねられた錯視効果でもあるということだ。PF大株団協約など、昨年から一連のソフトランディング措置が続いて、まだ認識されていない不良が少なくない、などがその論拠だ。例えば、施行会社が限界に追い込まれた状況だが、満期延長をしておき、利子は後から取る方式でローンを延長して、危機を先延ばしにする事例も多い、というのが業界からの伝言だ。金融圏のある関係者は「4月危機説は、総選挙直後に大規模な不渡り事態が起こるという意味ではなく、本格的な構造調整などを起点に、これまで延期されてきた不良が一つずつ表れてくるだろう、という意味」と述べた・・

 

・・現在の指標が安定的であるという(※政府側の)解釈についても、疑問が多い。最近の金利引き上げに加え、世界的なインフレなどで建設費が上昇した点が問題と指摘される。ある金融会社のハイレベル関係者は「PFローン延滞率が当時(2013~2015年)に比べて低いのは事実だが、市場環境が大きく変わったという点も考えなければならない」とし「当時は金利水準も低く、需要もあったのが、今は金利も高く需要も減ったうえ、建設費はソウルでも事業を放棄する再建築組合があるほど、上がった状態だ」と指摘した・・

・・このような理由で、事業性のない事業場に対する競売・公売処分(※政府が4月から本格的に管理を始めるとしています)など、構造調整の過程も迅速には進できないだろう、という懸念もある。 例えば、ブリッジ・ローン段階にとどまった不良事業場の場合、地方に所在する場合が多く、莫大な建設費などを考慮すると事業性を担保することが難しく、これにより競売・公売が進行されても、両側とも適当な価格帯を妥協するのは難しいだろう、ということだ。本PFに突入した事業場も、高くなった事業費用と、沈滞した不動産市場問題で、自由にできない状況でもある・・・・キム・サンボン、ハンソン大学経済学科教授は、「今年満期が到来するPFローンが多いが、現在、貸倒引当金の水準は十分ではなく、安心できる状況ではない」とし「一部の金融会社は、ダメージを受ける可能性がある」と話した(アジア経済)・・>>

 

必要以上に「コソコソ話」をしたところで、ちゃんと規模が把握できそうにないですが・・建設業界では、「じゃ、5月危機」という話も出ていると聞きます。4月危機説というものがありますが、もともとそれは4月になると一気になにかが起こるという意味ではなく、総選挙後に政府がPF関連の監査・管理を強化すると、数々の問題がどんどん見えてくるだろうというものでした(マネートゥデイ、27日)。それが、4月という話だけ強調されるから、半分ジョークで「じゃ、5月な」という話が出ているわけです。今回のアジア経済の記事などが指摘している、「見えない部分」が、果たしてどれくらいあるのか。エバーグリーンなのか、それとも緑色のスプレーなのか。総選挙後の、政府の「PF管理」がどのようなものなのか、気になるところです。 で、また告知ですが・・27日にも1回休んだばかりなのに実に申し訳ございませんが、今日も更新はこれだけです。次の更新は、30日(土曜)の11時頃です。

 

 

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